ミドルシニア世代の中には、自分の年齢を理由に、挑戦をあきらめている人がいます。
もう若くないから、今さら新しい仕事は難しい、と考えてしまうのです。
しかし、その年齢のイメージは、今の時代に合っているでしょうか。
厚生労働省は2026年9月15日、100歳以上の高齢者が10万7,677人になったと発表しました。
56年連続で過去最多を更新し、統計を取り始めてから初めて10万人を超えています。
医学の発展や衣食住の環境改善にとどまらず、長寿社会が本格的に到来したと言っても過言ではありません。
織田信長が好んで舞ったと伝わる「敦盛」には、「人間五十年」という一節があります。
100歳は、その2倍にあたる年齢です。
働く現場でも、年齢に対する期待は変わってきています。
帝国データバンクが2026年9月11日に発表した調査があります。
全国1,289社に、従業員に何歳ごろまで活躍してほしいかを尋ねたところ、平均は67.9歳でした。
中央値は70歳で、70歳前後まで活躍してほしいと考える企業が少なくありません。
企業規模が小さいほど期待する年齢は高く、小規模企業では68.3歳となっています。
在籍する従業員の最高齢は平均68.3歳で、最も高い企業では91歳の方が働いています。
企業からは、「経験に基づいた仕事・技術・知識の伝承も含め健康であれば活躍してほしい」という声も寄せられています。
国も、70歳までの就業機会の確保を、企業の努力義務として定めています。
つまり、社会の側は、すでに年齢の物差しを変え始めているのです。
よく知られた方々を例に挙げると、分かりやすいかもしれません。
阿部寛さんは62歳、渡辺謙さんは66歳、佐藤浩市さんは65歳です。
矢沢永吉さんは77歳、小田和正さんは79歳、松任谷由実さんは72歳です。
桑田佳祐さんは70歳、布袋寅泰さんは64歳、氷室京介さんは65歳です。
黒柳徹子さんは93歳、五木寛之さんは94歳、草笛光子さんは92歳です。
いずれの方も、元気に活躍しているだけでなく、昔の年齢のイメージより、はるかに若々しく見えます。
問題は、社会が変わっているのに、年齢のイメージを更新できていない人がいる事実です。
それは、ミドルシニア世代の働き手本人だけではありません。
経営者の中にも、50代や60代を、これから伸びる人材として見ていない人がいます。
年齢だけで役割を狭めてしまえば、本人の力も、会社の力も、十分に発揮されません。
もちろん、年を重ねても、誰もが同じように働き続けられるわけではありません。
健康には個人差があり、若くても病気や災害で命を失う場合もあります。
だからこそ、年齢そのものではなく、今どう生きて、どう働くかが問われているのです。
これから求められるのは、年齢に関係なく、いつまでも成長意欲の高い人です。
AIの進化によって、調べれば分かる知識の価値は、急速に下がっていきます。
一方で、人間が自ら体験して得た一次情報や、そこから生まれた知恵は、AIには作れません。
現場で迷い、失敗し、それでも乗り越えてきた経験は、ミドルシニア世代の大きな財産です。
AI時代だからこそ、人間としての経験や知恵が、社会から高く評価される時を迎えていると私は考えています。
ただし、経験は持っているだけでは評価されません。
年齢を理由に学びをやめてしまえば、経験はやがて古くなり、周囲からの評価も下がっていきます。
新しい道具や考え方を学び続け、経験を今の課題に合わせて使い直す姿勢が欠かせません。
経営者にも、ミドルシニア世代の経験を、次の世代へ渡す役割として位置づける視点が求められます。
年齢のイメージを更新できるかどうかで、これからの働き方は大きく変わります。
あなたは、自分の年齢を、『挑戦をやめる理由』にしていませんか。
その経験、地域の会社を支える力になるかもしれません。
これからの挑戦を、心から応援しています。
【出典】帝国データバンク「従業員に期待する『活躍年齢』は67.9歳、小規模企業ほど長い活躍に期待」(2026年9月11日発表)、厚生労働省「令和8年度百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈について」(2026年9月15日発表)


