<ブリヂストン>のビジネスモデルはまさに「不易流行」を体現していると言えるでしょう。
『不易』とは変わらない本質的な価値観や理念であり<ブリヂストン>にとっては『最高の品質で社会に貢献』という使命です。
『流行』とは時代の変化に合わせて柔軟に対応していくことであり<ブリヂストン>は常に新たな技術や製品を生み出し続けています。
変化の波に乗り遅れることなく新たなビジネスモデルを構築することで持続的な成長を目指しています。
具体的には、タイヤの販売だけでなくタイヤのメンテナンスや管理さらにはモビリティサービスなど事業領域を拡大しています。
今回は、<ブリヂストン>の歴史から紐解き現代におけるビジネスモデルの進化今後の展望について解説していきます。
ぜひ変化を恐れずに未来を創造する<ブリヂストン>の姿勢からヒントを得てください。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ外部環境のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営を観察することで自社に活かしてください。
今回も企業のビジネスモデルを取り上げその成功要因や課題について深堀りしていきます。
今日の企業事例は第507話(画像はイメージです)ミッション、ビジョン、バリュー【使命:Mission】最高の品質で社会に貢献【4つの心構え】ミッションの使命を果たすためにブリヂストン社員として常に意識していたい姿勢。
*誠実協調常に誠意をもって仕事、人、社会と向き合うこと。
そして、異なる才能、価値観、経験、性別や人種といった多様性を尊重し協調し合うことで、よい結果へと結びつけること。
*進取独創世の中で起こっていることを常にお客様の目線で理解すること。
その上で、将来何が起こるかを想像しより一層社会の役に立つ様々な「創造」に積極的に挑戦すること。
人の真似ではない方法で世の中の新しい需要を作り出すこと。
*現物現場現場に足を運び「真実」を自らの目で確かめること。
現状を是とせず本来「あるべき姿」と照らし合わせ最善へと向かうための意思決定を行なうこと。
*熟慮断行物事を遂行する際は様々な場面やあらゆる可能性を想定し深く考えること。
「本質は何か」を見定め進むべき方向を決断すること。
そして、スピード感をもって忍耐強くやり遂げること。
一般用目薬でトップシェア1931年3月に<日本足袋>タイヤ部が独立し<ブリッヂストンタイヤ>を設立しました。
1935年にゴルフボールの本格量産を開始しました。
1937年に本社を福岡県久留米市より東京に移転しました。
1942年に太平洋戦争激化に伴い英語表記の社名を<日本タイヤ>に変更しました。
1949年に販売店の登録代理店制度を発足し<ブリッヂストン自転車>を設立しました。
1951年に<ブリヂストンタイヤ>に社名を変更しました。
1962年に日本初のトラック用のスチールラジアルタイヤを開発しました。
1964年に日本初の乗用車用ラジアルタイヤを開発しました。
1982年に日本初のスタッドレスタイヤを発売しました。
1984年に社名を<ブリヂストン>に改称しました。
1988年に米国の<ファイアストン>を正式に買収し子会社化しました。
2008年5月に同業の第4位メーカー<東洋ゴム工業>と業務・資本提携を発表しました。
2013年11月に東京都の『東京スクエアガーデン』へ本社を移転しました。
2014年6月に<国際オリンピック委員会(IOC)>のTOPスポンサーになりました。
2022年10月にロシア国内の製造・販売事業から撤退すると発表しました。
ブリヂストンのビジネスモデル2023年6月にトラック・バス用ラジアルタイヤの中国の生産拠点売却を発表しました。
競合との価格競争が厳しくなり2020年から21年にかけて事業再編や生産拠点再編を進めており中国におけるラジアルタイヤ生産拠点は普利司通輪胎に集約しています。
2023年8月にゴムのシミュレーション基盤技術に関する共同研究を東北大学と開始しました。
東北大ソフトマテリアル研究拠点が企業との共同研究を通じて社会実装を進める計測科学と計算科学に<ブリヂストン>のゴムの知見を組み合わせゴムの分子・原子レベルの計測と物性の計算技術の向上を目指します。
高いレベルの解析を可能とする材料シミュレーションのための技術基盤を構築しタイヤの性能向上に向けた革新的な材料開発を実現します。
2023年8月に輸送車両向けの管理サービスに車両の位置情報確認機能を追加しました。
グループ会社である<ブリヂストンタイヤソリューションジャパン>は輸送車両向けの管理サービス『トータルパッケージプラン』に位置情報確認機能を加えました。
GPSを利用するセンサーを取り付けることで情報を取得し各車両がどこにいるか走行中かどうかなどを一元管理でき配車業務などの負荷を軽減できます。
2023年8月に発表した『2023年1~6月期』の連結決算は純利益が前期比56%増でした。
SUV向けなど高付加価値なタイヤに力を入れるプレミアム戦略を推進し北米での乗用車向けの値上げが浸透したことや高採算な鉱山・建設車両向けが伸びたのが主な要因です。
2023年9月に乗用車タイヤの電子商取引サイトを開設しました。
ECサイトではサイズや車種から選べるほか運転頻度や用途などライフスタイルに合ったタイヤをAI が薦めるサービスも提供します。
購入者がタイヤや店舗を評価するレビュー機能も設けることで透明性と利便性を高めます。
購入したタイヤの取り付けはネットワーク『B-select』と連携し加盟する約700店の中からECサイトで近隣にある店舗を選ぶことができます。
2023年9月に自動車レース『スーパー耐久』へのタイヤ供給を決めました。
構造改革が一段落する中で軽量化技術などを試す場としてレースに再び力を入れる考えです。
どのような技術を試すのですか?
との質問に対し「サステナブルな原料を使うタイヤや(燃費改善につながる)軽量化技術だ。
インディではサステナブルな原料を使ったタイヤを供給している。
さらにレースでは開発や製造のサイクルを早く回す必要がある」と<ブリヂストン>と石橋秀一CEOは述べています。
2023年10月にタイのタイヤ生産拠点を集約すると発表しました。
アジアの景気減速で自動車向け需要が低迷しており工場再編で競争力を維持するためバンコク近郊の工場での生産を終了しタイ東部の拠点に生産を集約します。
2023年12月にロシアでの乗用車用タイヤの製造と販売事業を譲渡したと発表しました。
ロシアによるウクライナ侵攻後の2022年3月以降乗用車用タイヤ工場の稼働とロシア向けのタイヤの輸出を停止していました。
譲渡が完了するまではロシア事業に携わる従業員に給与の支払いや福利厚生の提供を続けてきました。
従業員約1000人は譲渡先になるロシアの投資会社<S8キャピタル>に移籍となります。
2024年1月に『2026年12月期』までの投資額を8000億円程度にすると表明しました。
電気自動車向けや鉱山用のタイヤの技術開発や製造のほか低炭素技術の研究に振り向け高機能タイヤを切れ目なく発売して製品単価の引き上げを狙います。
『2023年12月期』までの3年間に比べ投資額を4割増やします。
2024年2月に中国でのトラック・バス用タイヤの生産販売から撤退すると発表しました。
トラック・バス用タイヤは現地メーカーとの価格競争が激しく今後は強みを持つ乗用車向けの高機能タイヤに経営資源を集中します。
2024年3月に『2024年12月期』から3年間の中期事業計画を発表しました。
『2023年12月期』に4兆3138億円の売上収益を『2026年12月期』には4兆8000億円程度まで引き上げます。
中国メーカーなどとの価格競争が激しい汎用品タイヤから高機能タイヤへのシフトを加速して収益力の向上を図ります。
2024年10月に国際オリンピック委員会と結んでいる最高位スポンサーの契約を年内に終えると発表しました。
今後は持続可能なグローバルモータースポーツ活動に注力していきます。
2024年11月に国内3工場で乗用車用大口径タイヤの生産能力を引き上げると発表しました。
SUV向けなどで拡大する需要に対応するため約270億円を投じ生産ラインを入れ替えます。
今日の企業事例である<ブリヂストン>をもう少し俯瞰してみましょう。
タイヤメーカーとして世界トップシェアを誇りますが自動車業界の変革に対応するため新たなビジネスモデルを構築しています。
具体的には…
- タイヤの販売だけでなくメンテナンスや管理モビリティサービスなどに事業領域を拡大する
- 高付加価値なタイヤに力を入れるプレミアム戦略を推進する
- SUV向けなどの需要に対応するため国内3工場で乗用車用大口径タイヤの生産能力を引き上げる
- アジアの景気減速に対応しタイのタイヤ生産拠点を集約する
- 中国でのトラック・バス用タイヤの生産販売から撤退する
- 電気自動車向けや鉱山用のタイヤの技術開発や製造低炭素技術の研究に投資する
例えば中国でのトラック・バス用タイヤの生産販売から撤退し今後は強みを持つ乗用車向けの高機能タイヤに経営資源を集中させています。
これらの取り組みは<ブリヂストン>が変化を恐れずに未来を創造しようとしている姿勢を示しています。
<ブリヂストン>のビジネスモデルの成功要因は何でしょうか?
3つのポイントが挙げられます。
1)コア事業の強化タイヤ事業というコア事業を強化することで安定的な収益基盤を築いています。
具体的には高品質なタイヤの開発、生産、販売に注力し世界トップシェアを維持しています。
2)新規事業の創出タイヤ事業で培った技術やノウハウを活かし新規事業を創出しています。
具体的にはタイヤのメンテナンスや管理モビリティサービスなど新たな事業領域に進出しています。
3)グローバルな事業展開世界各国に拠点を持ちグローバルな事業展開を行っています。
具体的には各地域の市場ニーズに対応した製品やサービスを提供することで世界中の顧客を獲得しています。
これらの要素が相互に作用し合い成功を収めていると言えます。
変化を恐れずに未来を創造することで持続的な成長を遂げています。


