現代社会において企業は常に変化を迫られています。
テクノロジーの進化グローバル化そして顧客ニーズの多様化…。
これらの変化の波を乗り越え持続的な成長を遂げるためには既存のビジネスモデルにとらわれず常に新しい価値を創造し続けることが求められます。
<ロート製薬>といえば目薬や胃腸薬といったヘルスケア製品のイメージが強いのではないでしょうか?
しかし実際にはその事業領域はヘルスケアにとどまらずビューティー、食品、再生医療など多岐にわたっています。
このような事業展開を行うの背景には『世の中を元気にする』という強い理念があります。
人々のWell-being(心身の健康)を追求することを使命としておりその実現のために既存の枠にとらわれず常に新しい分野に挑戦し続けています。
変化の激しい時代において企業がどのように成長していくべきか必ずヒントが得られるはずです。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ外部環境のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営を観察することで自社に活かしてください。
次回も企業のビジネスモデルを取り上げその成功要因や課題について深堀りしていきます。
今日の企業事例は第506話(画像はイメージです)ミッション、ビジョン、バリュー経営理念
- 豊かで幸せな生活を送るための心身の健康に貢献し続けることがロートの最大の責務と捉えその実現のために長期視点での経営と価値創出に努める
- ロートは社会の公器としての使命を自覚しロートを取りまく全ての人たちと協働して社会課題を解決しこれにより得られた便益を共有する
価値観・行動規範「7つの宣誓」私たちは、社会を支え、明日の世界を創るために仕事をしています。
その為に、いつも謙虚に学び、自らを磨く努力をし続ける決意を持っています。
励ましあい、協力し合える、社内外の仲間との信頼の絆をなにより大切にしています。
高い理想を掲げ、熱く語り、エネルギッシュに行動する文化を私たちは誇りに思います。
明るく、楽しく、和協努力。
驚喜(オドロキ)の輪を世界中に拡げていきます。
まず人がいて輝いてこそ企業が生きる。
主役は人一人ひとりが自らの意志と力で自立し組織を動かして行きます。
私たちの存在を支えてくれるすべてのもの(自然、社会、人々)への感謝と奉仕を固く誓います。
ロートグループ総合経営ビジョン2030Connect for Well-beingWell-beingとは身体も心もイキイキとし さまざまなライフステージにおいて笑顔あふれる幸せな毎日を過ごすことロート製薬は世界の人々がWell-being を実感できる時間が少しでも長くなるように 医薬品、スキンケアに加えさまざまな事業で イノベーションを起こし幅広く「つなげていく」
それを実現するために社内外の仲間同士を組織と組織を しっかり「つなげていく」そして信頼の連鎖の上に人材を育成し一体感ある組織を作り上げ 人々の更なる Well-being に「つなげていく」一般用目薬でトップシェア1899年2月に山田安民氏が大阪市で<信天堂山田安民薬房>を創業しました。
1908年12月に<ロート>が初めて商標登録されました。
1909年4月に「ロート目薬」を発売しました。
1949年9月に信天堂山田安民薬房の事業を継承して<ロート製薬>に改組してロート胃腸薬、ロート胃腸錠、ロート頭痛薬を発売しました。
1962年2月に胃腸薬パンシロンを発売しました。
1974年12月に外皮用薬メンソレータムの製造・販売権を北米の<メンソレータム>から取得し1975年8月にメンソレータム、メンソレータムラブメンソレータムホワイト薬用リップスティックを発売しました。
2004年8月に『肌研(ハダラボ)』シリーズのスキンケアブランドを発売しました。
2009年9月に百貨店向けの機能性化粧品ブランド『episteme』を発売しました。
2013年3月に男性向けデオドラントスキンケアのブランド『デ・オウ』を発売しました。
2017年3月に歯槽膿漏薬『ハレス口内薬』を発売しオーラルケア分野に進出しました。
2019年10月に女性向けスポーツブランド『Propo』を発売しました。
2023年1月に<ユーグレナ>と資本業務提携の締結を発表しました。
2023年4月に学校法人<藤田学園>の子会社<フジタ・イノベーション・キャピタル>と合弁会社を設立しました。
ロート製薬のビジネスモデル2023年5月に<藤田学園>と医療データ共有システムを外販する新会社設立を発表しました。
電子カルテの診療記録や健康診断の結果をクラウドで共有できます。
臨床試験の効率化などに繋がる利点を強調して製薬企業や医療機関に売り込みます。
2023年5月に2023年3月時点で延べ144人の社員が副業を実践していると表明しました。
2020年からは出資の形で社員の起業を応援する取り組みも進めています。
2023年7月に松山市、愛媛大学大学院、レデイ薬局と4者で松山市民の健康づくりに関する連携協定を締結しました。
産官学が連携することで市民の健康意識を高め健康の保持増進をはかる考えです。
2023年7月に『メラノCCディープクリア酵素洗顔』の販売が好調と表明しました。
2022年8月の全国発売から8カ月間で売上20億円を突破しました。
酵素は水分に長時間触れると活性を失う性質があるためチューブ型には不向きでしたが3年ほど掛けて酵素の失活を防ぐ独自の技術を開発し特許を取得しました。
さらに安定して大量生産する条件を探し当てるまでに約1年を費やしました。
ヒットを生み出す過程では部門を超えた連携が欠かせませんが<ロート製薬>は各社員の経歴や得意分野を可視化し個を重視したマネジメントを取り入れているため「ブランディングや工場での製法の検討を含めメンバーと一緒に良い物をつくりあげる好例となった」とスキンケア製品開発部開発1グループマネジャーの福嶋一宏氏は述べています。
2023年10月にスキンケア事業に新たに3ブランドを投入しました。
ドラッグストアなどで販売を始めた『カラミー』はZ世代がターゲットでZ世代が悩むテカリや皮脂を吸着する成分を配合したローションとジェルを揃えました。
『ブルーミオ』は独自に開発したうるおい成分を配合した40〜50代向けのブランドです。
『ダーマセプトRX』は保湿効果があるとされるアゼライン酸を配合した美容液や乳液などを揃えています。
この成分は皮膚科で処方されて肌に合わない人が使うとかゆみなどが出ることがあります。
そのため自社の通販サイト上で販売し肌に合うかどうかを事前に確認し専任のカウンセラーが使い方の相談を電話で受けるという肌トラブルを防ぐための独自の販売手法をとっています。
こうした取り組みが功を奏し販売は当初目標を1割以上上回る勢いで好調に推移しています。
2023年11月に近視進行抑制の目薬を<坪田ラボ>と共同開発を進めていると表明しました。
慶応義塾大学の研究成果をもとに近視の進行を抑える目薬を慶応義塾大学発スタートアップ企業の<坪田ラボ>と共同で開発を進め治験を計画しています。
2024年2月に<医薬基盤・健康・栄養研究所>及び<プランテックス>と共同で薬用植物の水耕栽培を開始しました。
<医薬基盤・健康・栄養研究所>は多様な薬用植物の水耕栽培の技術を持ち根を薬用部位とする植物の水耕栽培を世界に先駆けて成功させました。
植物工場でレタスなどを生産する<プランテックス>の知見を合わせ早期の事業化を急いでいます。
漢方薬の原料となる薬用植物は国内で栽培農家が減ったこともあり漢方薬原料は80%を中国からの輸入に頼っているため国産を増やし状況の改善を目指します。
「薬用植物を加工した生薬は中国に大きく依存しており何とか今のうちに手を打っておかないといけない」と<ロート製薬>の橋本将男執行役員は述べています。
2024年6月にオーストリアの製薬会社を7月末に買収すると発表しました。
<モノケムファーム・プロドゥクト>は欧州で眼科薬の生産拠点や販売網を持っているため欧州での事業基盤を強化する狙いです。
2024年6月に人工知能スタートアップ<Recursive>との資本業務提携を発表しました。
AI技術を活用しヘルスデータの有効利用に向けた収集・分析などで協業します。
企業などの健康経営やバイオ医療分野の事業展開に生かす狙いです。
2024年7月にイスラエルの<BAIBYS>に出資したと発表しました。
体外受精の自動化システムの技術を使った不妊治療を独占提供する権利を得ました。
2024年10月に再生医療向けの培地を販売すると発表しました。
細胞から放出される微粒子『エクソソーム』のほか組織の再生を促す成長因子といった『細胞外小胞』をつくる時に栄養となる培地を開発し研究機関などに販売する考えです。
2024年10月に傾聴に特化した音声対話AIを開発したと発表しました。
問いかけに即答するのではなく利用者に寄り添うような返答を優先して子どもや高齢者らが抱える孤独感の解消を支援します。
孤独感を抱えやすい職場などでの活用も想定して企業向けのサービスも提供を検討します。
今日の企業事例である<ロート製薬>をもう少し俯瞰してみましょう。
<ロート製薬>は目薬というイメージが強いもののヘルスケア、スキンケア、再生医療など幅広い事業を展開し近年では食事業にも進出しています。
これは創業以来『目の健康を守る』という理念からスタートしその技術を応用して事業領域を拡大してきた結果です。
<ロート製薬>のビジネスモデルの成功要因は何でしょうか?
目薬で培った技術を基盤に顧客のニーズを捉えスキンケア、医薬品、機能性食品などヘルスケア分野へと事業を多角化してきました。
既存の技術やノウハウを活かしながら新たな市場を開拓していく戦略です。
例えば目薬の開発で培った粘膜吸収技術はスキンケア商品にも応用されています。
医薬品分野では胃腸薬や皮膚薬など幅広い製品を開発しています。
さらに機能性食品分野では健康志向の高まりを捉えサプリメントや健康飲料などを販売しています。
このように顧客ニーズを捉え既存技術を応用することで多角化戦略を成功させています。
さらに研究開発に積極的に投資することで常に新しい製品やサービスを生み出しています。
これは競争の激しいヘルスケア分野において優位性を維持するために不可欠な戦略です。
研究開発費に売上高の約5%を投資しており業界平均を大きく上回っています。
また大学や研究機関との共同研究も積極的に行い常に最先端の技術を導入しています。
このような積極的な研究開発投資が競争力の源泉となっています。
さらに国内市場だけでなく海外市場も積極的に進出しています。
これは成長の機会を拡大するための重要な戦略です。
アジアを中心に北米、欧州など世界各国に拠点を設けています。
現地企業との提携やM&Aなども積極的に行いグローバルな展開を加速しています。
<ロート製薬>のビジネスモデルはこれらの要素が相互に作用し合い成功を収めていると言えます。


