<カゴメ>のビジネスモデル自民党新総裁に選出された岸田文雄氏は今日にも党四役を決めて新執行部を発足させると思われます。
10月4日召集の臨時国会で第100代首相に指名されたあと新内閣を発足させますが新型コロナウイルス対策と経済再生に向けた対策が直近の最重要課題となります。
緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が30日に全面解除されましたが11月初めまでに希望する全ての国民にワクチン接種を済ませるとしても接種を受けられない人や接種を希望しない人が一定数存在することになります。
服薬治療が確立されて新型コロナが季節性インフルエンザと同じ程度の感染症として扱われるようになればおそらく国内の消費マインドは回復傾向に向かうと考えられますが2021年7月時点での就業者数は2019年の平均と比べると宿泊業、飲食サービス業が420万人から385万人へ生活関連サービス業・娯楽業が242万人から226万人へ製造業は1063万人から1051万人に落ち込んでいます。
経済の緩やかな回復とともに人手不足の深刻化がやがて社会課題として浮上してきます。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第456話<カゴメ>です。
(*写真はイメージです)幾度となく失敗を重ねトマトソースの製造に成功しました1899年に創業者の蟹江一太郎氏が西洋野菜の栽培に着手しました。
1903年にトマトソース(トマトピューレ)の製造を開始しました。
1906年に東海市荒尾町西屋敷に工場を建設しトマトソースの本格的生産に入る。
1914年に成田源太郎氏、蟹江友太郎氏と共同出資し<愛知トマトソース製造>を設立しました。
1923年に株式会社へ改組し<愛知トマト製造>と社名を変更しました。
1933年にトマトジュースの発売を開始しました。
1949年に<愛知罐詰興業><滋賀罐詰><愛知商事><愛知海産興業>と合併し名古屋に<愛知トマト>を設立しました。
1958年にアルミチューブの100 g入りケチャップを発売しました。
1963年に商号を<カゴメ>に変更してトマトマークを制定しました。
1969年にリンゴジュース、ミカンジュースを発売しました。
1973年に野菜ジュースを販売しました。
1986年にフルーツ村を販売しました。
2007年に<アサヒビール>と業務・資本提携しました。
<カゴメ>のビジネスモデル2020年3月に人工知能を活用した農業支援サービスを始めると表明しました。
熟練の農家に代わり人工知能が生育状況や土壌など環境を分析ノウハウが乏しくても適切な手入れで安定的に収穫できるようにし栽培コスト低減にもつなげる狙いです。
<NEC>と共同で開発したシステムを食品メーカーを通じてトマト栽培など向けに提供します。
スペインの食品加工メーカーに対して4月中に有料でサービスを始めるほかポルトガルとオーストラリアのカゴメ子会社でも運用を始めます。
2015年から検証を始め2019年までにポルトガルやオーストラリアなどで実証に取り組んできました。
サービスの最大の強みは水や肥料の適切な量と投入時期を教えてくれる人工知能で分析するのに必要な項目は1000種類を超えます。
産地に設置したセンサーなどからデータを集め現実の農地と同じ環境をデータ空間に仮想的に再現します。
その結果をもとに最大の効果をもたらす方法を提示します。
ポルトガルの農地での検証では一般的な投入量よりも2割少ない窒素肥料でヘクタール当たり127トンになりました。
これはポルトガルの全農家の平均収量よりも3割多く熟練栽培者に匹敵する収量となります。
2020年5月に発表した『2020年1~3月期』の連結決算は純利益が前期比42%増でした。
新型コロナウイルスの感染拡大で消費者の健康志向が一段と高まり主力の野菜ジュースが伸びています。
外出自粛でケチャップやパスタソースなど一般向けの加工食品は堅調でしたが外食店向け業務用商品の需要は低迷し食品事業は減益となりました。
野菜の調理や保存法などを紹介するサイト『VEGEDAY』の訪問者数が4月中旬には14万人を超え過去最多となりました。
4月下旬に『食卓をぱっと明るくする華やかな洋風メニュー』として包丁や火を使わず子どもと一緒に作れる53種類のメニューを公開しています。
2020年6月に『野菜生活100スムージー』シリーズえだまめのソイポタージュを発売しました。
ポタージュカテゴリーでは『とうもろこし』『かぼちゃとにんじん』に次ぐ第3弾の商品でパンとの相性が良く小腹がすいた時のおやつとして人気があります。
スムージーシリーズは2019年に1億本を売り上げています。
2020年6月に名古屋市の本社ビルを建て替え2022年秋に竣工予定と表明しました。
新本社は1階にキッチンを入れ食品スーパーなどと共同で食育教室を開く予定です。
2020年8月に最低週1回の出社を義務付けました。
新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務を原則とする半面社員間のコミュニケーションが不足し生産性が低下したため出社による交流機会を確保する考えです。
2020年10月に『阪急うめだ本店』に直営店を開きました。
『阪急うめだ本店』と共同で開発した野菜や果物で作ったゼリーを食べるスムージーとして販売します。
2020年10月に『カゴメみらいやさい財団』を設立したと発表しました。
子どもたちに無料や低額で食事を提供する子ども食堂に取り組む団体を支援する『カゴメみらいやさい財団』となります。
2021年2月にネット限定で販売する野菜ジュースに紙製のストローを導入すると表明しました。
他の商品でも順次脱プラを進め2021年度に取り入れる紙製ストローは11万5200本を見込んでいます。
紙製ストローは適切な森林管理を証明する国際認証『FSC』を取得済みで飲み心地を良くするため熱で紙を伸ばして表面を滑らかにする加工を施しました。
2021年3月に国内初の植物肉の認証制度を作るため15社で団体を設立しました。
<伊藤忠商事><不二製油グループ本社>など品質や表示基準を農林水産省と共同で検討し2021年度をメドに認証制度を整えます。
植物肉の本格的な普及に向けた動きが活発化しており『プラントベースドライフスタイルラボ』を15社で設立しました。
2021年4月に中国新疆ウイグル自治区で生産されたトマト加工品の使用中止が判明しました。
少数民族ウイグル族らの人権侵害をめぐり国際社会で批判が高まっているため今後は調達しないことを決め輸入済みの原料についても2021年中に使用を終える考えです。
2021年4月に健康関連スタートアップの<TWO>と食品開発で提携したと発表しました。
<カゴメ>は大豆を使ったパスタソースやカレーや野菜を使った「野菜だし調味料」などを開発し植物性たんぱく質を手軽に摂取できる果実・野菜・大豆ミックス飲料『野菜生活Soy+』も発売するなど植物由来原料食品の商品開発に取り組んできました。
<TWO>は卵を使わないドーナツなど植物由来の食品開発に取り組んできており新しい商品の開発を共同で進める考えです。
2021年7月に<ロート製薬>が直営レストランで『野菜がとれるメニュー』を販売しました。
『野菜がとれるメニュー』は<カゴメ>と共同開発した商品でレストラン内には手のひらを当てると野菜摂取量を推定できる<カゴメ>の機器も設置して食生活の改善を促します。
2021年9月に北海道で加工用トマトの生産を支援すると発表しました。
<いわみざわ農業協同組合>と<ヤンマーアグリジャパン北海道支社>と連携して加工用トマトの収穫機を活用します。
<JAいわみざわ>管内の加工用トマトの栽培面積を2021年比の3倍となる30ヘクタールまで拡大する考えです。
今日の企業事例である<カゴメ>を少し俯瞰して見てみましょう。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い外出自粛が続くなか野菜飲料やスープ商品などの国内販売が伸び業務用トマトソースなどを手がける国際事業も米国などの外食需要の回復を受けて増益傾向にあります。
<カゴメ>は2025年の『ありたい姿』として『食を通じて社会課題の解決に取り組み持続的に成長していくこと』を決めました。
解決に向けて取り組む社会課題は以下の3つとしています。
1)健康寿命の延伸2)農業振興・地方創生3)世界の食料問題これらの社会課題の解決に向けて自前の研究に加えてオープンイノベーションの活用を目指しています。
自社の研究と外部の知見を組み合わせて新しいモノを生み出すことを全社的に進めようとしています。
例えばドイツの光学機器メーカーと共同で開発した野菜摂取量の充足度を測る『ベジチェック』。
野菜や果物に含まれる色素をドイツの光学機器メーカーの技術で測りそれを野菜摂取量に換算するアルゴリズムはカゴメが作り人が手のひらを装置に当てると野菜摂取量を測定することができます。
『ベジチェック』は健康経営をしている企業や自治体に貸し出しています。
農業の新会社として<カゴメアグリフレッシュ>を設立し国内の農事業を切り出して引き継ぎました。
意思決定を迅速にしたり他社とのアライアンスを組んだりするなどスピード感をもって次のステージに引き上げる狙いです。
『野菜をとろうキャンペーン』に賛同してもらった19の企業・団体と『野菜摂取推進プロジェクト』を立ち上げ賛同企業と連携した料理教室などの取り組みを進めています。
異業種と一緒に活動することで様々な形で野菜の情報発信ができます。
「深刻化していくこの3つの課題をカゴメが得意とする野菜の力を使って解決していく」「そのために『野菜の会社』になろうと決めました」と<カゴメ>の山口聡社長は述べています。
『トマトの会社』から『野菜の会社』へ多種多様な食品の開発と売上拡大がこれからの課題となります。


