<ヤクルト本社>のビジネスモデル10月11日に米国製薬大手<メルク>などが新型コロナの経口抗ウイルス薬となる『モルヌピラビル』の緊急使用許可を<米国食品医薬局>に申請しました。
承認されれば世界初の『飲み薬』になる見込みです。
日本国内で承認されたコロナ治療薬は現在5種類あり軽症・中等症向けとしては承認された二つの中和抗体薬がありますが申請から約20日間で承認されたといいます。
モルヌピラビルも同様の迅速さで審査が進むとすれば年内にも特例承認される可能性が高いようです。
そのほかにスイスの製薬大手<ロシュ>と<中外製薬>が開発中の薬。
<富士フイルムホールディング>の『ファビピラビル(アビガン)』米国製薬大手<ファイザー><塩野義製薬>など。
いずれも注射器や点滴投与などの必要はなく医師の処方による飲み薬のようです。
ワクチン接種の上に飲み薬が効果的となれば現在の状況はかなり改善するはずです。
衆院選は19日公示―31日投開票の日程で実施することが決まっています。
『afterコロナ、withコロナ』が年明けにも実現しそうな気配です。
2021年度補正予算案の年内成立を踏まえ景気回復策にも期待がかかります。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第457話<ヤクルト本社>です。
(*写真はイメージです)乳酸菌飲料メーカーとして国内最大手に1930年に『ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株』の乳酸菌培養に代田稔氏が成功しました。
1935年に福岡県福岡市で<代田保護菌研究所>を設立ヤクルトの製造・販売を開始しました。
1938年に『ヤクルト』の商標を登録しました。
1955年に<ヤクルト本社>を設立しヤクルトの製造販売を開始しました。
1963年に女性を起用して『ヤクルトレディ』による販売を開始しました。
1970年にプロ野球の<ヤクルト球団>の親会社となりました。
1974年にスーパーなどの量販店でパック売りを始めました。
1978年にビフィズス菌による発酵乳となる『ミルミル』を発売しました。
1998年に『ヤクルト』が特定保健用食品に指定されました。
<ヤクルト本社>のビジネスモデル2020年5月に発表した『2020年3月期』の連結決算は純利益が前期比14%増でした。
売上高は微減の4060億円で国内で清涼飲料の販売が減少し薬価改定の影響で医薬品事業も売上が低迷しました。
しかし前期に計上した医薬品事業に関する減損損失がなくなり純利益が増加しました。
2020年6月に<飲料総研>は5月は全体で18%の減少を見込んでいると表明しました。
新型コロナウイルスの影響で自販機やコンビニ経由の売上が低迷し販売戦略の変更を迫られています。
しかし<ヤクルト本社>は単価の高い乳酸菌飲料『ヤクルト1000』や10本入りのまとめ買い商品が好調でより健康志向に消費者はシフトしているといえます。
2020年8月に海外での化粧品販売に乗り出したことを表明しました。
<中国アリババ集団>の運営する越境電子商取引サイトに出店しこれまで日本で訪問販売してきた基礎化粧品など44種類を揃えました。
訪問販売や通信販売で手がけてきた化粧品のシリーズから化粧品や乳液など基礎化粧品を揃えました。
中国ではアンチエイジング商品を購入する若者層が多いため日本で中高年層向けに展開してきたアンチエイジング商品を売り込む考えです。
2020年9月に『株主優待制度』の内容を変更すると発表しました。
これまで株主に提供していた東京ヤクルトスワローズの公式戦入場券を球団ファンクラブの入会権に変更します。
新型コロナウイルスの感染拡大で球場での現地観戦が制限されるなかファンクラブ制度にはチケットの割引購入やユニホーム提供といった特典があるため2020年9月末時点の株主を対象とした2021年シーズンの野球優待から適用しサービス内容に幅を持たせる考えです。
2020年10月に個人宅に商品を届けるヤクルトレディの正社員化に取り組むと表明しました。
今後3年間で約3万2000人の人員の約1割にあたる3000人を順次切り替えていきます。
全国の販売会社に2020年度内に人事制度を整えるように指示しました。
新型コロナウイルスで雇用環境が悪化するなかでも国内の飲料事業売上高のうちヤクルトレディ経由は65%と重要な販路になるため人手不足を防ぐためにも待遇改善で人材をつなぎ留める考えです。
社会保険料などの負担も増しますが安定した給与を保証してつなぎ留めるとともに1人あたり稼働時間を増やして配達効率を高め売上拡大を目指します。
2020年10月に仏食品大手<ダノン>は<ヤクルト本社>の全株式6.61%を売却すると発表しました。
<ヤクルト本社>の株式は手放しますが戦略的な提携は続けるほかインドとベトナムに持つ合弁会社も維持する考えです。
ヤクルト株の売却に動いたのは<ダノン>が財務体質を改善するためと見られています。
<ダノン>は2000年に<ヤクルト本社>の株式の株式を5%取得しました。
買い増しによって関係を深めたい考えで21%強を保有する筆頭株主になりましたが「ヤクルトレディなどによる売り方などノウハウの理解が不十分だった」と<ヤクルト本社>の関係者が述べるなど<ダノン>との協業の成果はほぼなかったようです。
スイスの食品大手<ネスレ>をライバル視していたこともあり<ダノン>は<ヤクルト本社>をグループに取り込むことで<ネスレ>に対抗する狙いだったようです。
2021年2月にミャンマーのクーデターも落ち着き現地工場で乳酸菌飲料の生産を始めました。
クーデターの影響もあり一時的に経済活動を止めていましたが再開に向け動き出しました。
2021年4月に成田裕取締役専務執行役員が社長に昇格する人事を発表しました。
2020年までの中期経営計画の期間が終了し新・中期経営計画の策定に合わせて経営体制を刷新する考えです。
成田裕取締役専務執行役員は国際事業本部長など海外部門の経験が長く海外での展開を加速させる狙いです。
6月に開く株主総会後の取締役会を経て社長に就任します。
2021年5月に<サッポロホールディングス>との業務提携の検討開始を発表しました。
<ヤクルト>の乳酸菌飲料と<サッポロHD>のレモン飲料など両社の強みを生かして植物性素材を使った飲料の開発を進めるほか生産拠点の相互活用なども検討する考えです。
2021年6月にフィリピン南部のミンダナオ島に新工場を建設すると発表しました。
フィリピンでは所得の増加とともに健康志向が高まり需要も拡大しています。
同国内で2カ所目となる新工場を建設して生産体制を整え成長市場で攻勢をかける狙いです。
2021年6月に『2025年3月期』を最終年度とする中期経営計画をまとめたと発表しました。
乳酸菌飲料『ヤクルト』の販売を国内外で伸ばすほか機能性表示食品など付加価値の高い飲料の国内販売にも力を入れる方針です。
連結売上高を2021年3月期比で21%増営業利益は40%増に引き上げる計画で既存事業への設備投資には約1300億円を投じる計画です。
国内外で生産体制を拡充するほか海外での販売拠点も増やす考えです。
2021年7月に発表した『2021年4~6月期』の連結純利益は前年期比3%増の過去最高でした。
今日の企業事例である<ヤクルト本社>を少し俯瞰して見てみましょう。
『2021年4~6月期』の連結純利益は過去最高でしたが高付加価値の乳酸菌飲料となる『ヤクルト1000』の販売が増収を確保しました。
2021年8月には中国の販売拠点としては50カ所目になる中国・海南島に支店を設立乳酸菌飲料『ヤクルト』を現地スーパーなどで販売しています。
国内に於いては小売店舗の商品棚でどの棚のどの位置にどの商品を置くかを決める棚割りの方法に人工知能やカメラの技術を活用して効果を数値化しそのデータで小売店への提案力を高め自社商品の売上アップにつなげています。
2021年6月に発表した『中期経営計画』によると国内では機能性表示食品などの付加価値の高い飲料の販売に力を入れる方針を掲げています。
海外では市場拡大を見込む東南アジアや中東地域を中心に乳酸菌飲料の販売を加速する考えです。
「プロバイオティクスをさらに大きく発展させていく」*プロバイオティクス=人体によい影響を与える微生物と<ヤクルト本社>の成田裕社長は述べています。
1989年から海外事業を担当してきた成田裕社長ですが<ヤクルト本社>の海外営業利益率は60%以上と高く今後の海外事業の成否で業績に大きな影響を及ぼしかねません。
これから当面の業績は手堅く伸長していくと思われますが主力の乳酸菌飲料や健康飲料などに替わる新たな成長の柱となる事業の育成が新たなビジネスモデルの構築とともにこれからの課題となります。


