<コーセー>のビジネスモデル『価格ではなく複雑な社会性によって制御されている文化へのアクセス』とハーバード大学法科大学院のローレンス・レッシグ教授に定義されたシェアリングエコノミー。
今までの経済ではモノを購入して所有するという概念が主流でした。
シェアリングエコノミーでは借用と貸与という概念が主流になります。
<ウーバーテクノロジーズ>はライドシェアサービスを提供する企業。
<エアビーアンドビー>は空き部屋を宿泊施設として提供する企業。
最近では……
- シェアサイクルサービス
- レンタルバッグサービス
- ゴーストキッチン など
シェアリングエコノミーの新たなサービスが登場し続けてます。
スタートアップ企業の多くがシェアリングエコノミーをビジネスモデルの参考にしています。
われわれ中小企業もビジネスを展開していく視点を変えていく必要がありそうです。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第454話<コーセー>です。
(*写真はイメージです)アジア市場へ積極的に展開してきました1946年3月2日に小林孝三郎氏が東京都に<小林>合名会社を設立しました。
1948年6月に<小林コーセー>を設立しました。
1956年に高級化粧品の製造会社である<アルビオン>を設立しました。
1968年に香港で販売を開始し東南アジアを中心に拡張し始めました。
1976年に業界初のパウダーファンデーション『フィットオン』を販売しました。
1985年に『雪肌精(せっきせい)』を販売しました。
1988年に製品の販売会社となる<コーセー化粧品販売>を設立しました。
1991年に<コーセー>に社名を変更しました。
2001年に百貨店専用ブランドとなる『ボーテドコーセー』を発売しました。
2009年に自然派スキンケアシリーズとなる『ネイチャーアンドコー』を発売しました。
2011年にメイクアップブランドとなる『エスプリーク』を発売しました。
2012年にスキンケアブランドとなる『肌極』を発売しました。
2019年に銀座に新コンセプトストアとなる『Maison KOSÉ』をオープンしました。
<コーセー>のビジネスモデル2020年3月に美容部員が他の部署に異動できるように人事制度を変更しました。
美容部員は専門職として採用してキャリアを重ねるケースがほとんどですが営業や商品企画の部署に配置転換して顧客ニーズと接した経験を生かしてもらう狙いです。
「この美容部員が薦める商品なら使ってみたい」と消費者が思うような発信の仕方が今後は一層重要になると牛村稔人事部長は述べています。
2020年4月に美容部員が自社サイトで商品を紹介する取り組みを始めました。
個人がSNSにメーク動画を公開し人気を集めるケースが増えるなか美容部員の発信力を高めて自社製品の購入に結びつける狙いです。
2020年4月に新型コロナウイルスの感染拡大を受け新商品の発売を延期すると表明しました。
『ヴィセ リシェ』のファンデーションや口紅の発売日を1カ月遅らせたほか傘下の<アルビオン>は外出自粛による需要減少を受け日焼け止めなどの発売を見送ります。
2020年4月に『2021年3月期』の連結純利益が前期比53%減の見込みと発表しました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響からインバウンド(訪日客)需要が減り国内外で電子商取引を強化するための投資も膨らんでいます。
『2020年3月期』の連結純利益は28%減で減収減益は8年ぶりとなります。
国内では消費増税後の買い控えが想定を超え販売が落ち込み米国では高価格帯メーキャップ市場で競争が激化し売上が減少しました。
<観光庁>によれば2019年に2985万人にのぼった一般訪日客の化粧品・香水の消費額は1人当たり1万4439円で客数に単価をかけた単純計算で訪日客向け化粧品市場は4310億円と全体の16%を占めていました。
コロナ禍で3月のインバウンド数は前年同月比で93%減り4000億円市場が消えた計算になります。
<コーセー>の『2020年1~3月期』のインバウンド売上高は前年同期比74%減の16億円で日本人向けも在宅勤務の長期化に伴い口紅などのメーキャップ商品が売れず日本全体でも16%減収でした。
2020年5月に高級化粧品ブランド『コスメデコルテ』のファンデーションを発売しました。
水分を多めに配合し付けた時にみずみずしく感じるよう設計しました。
化粧が好きな20~30代の女性層を取り込み売上の拡大を目指します。
2020年5月にミスト状の化粧仕上げ用ローション『メイク キープ ミストF』を発売しました。
化粧の上から顔に吹きかけることで水分などによる化粧崩れを抑えます。
保湿成分を配合したほかフレッシュシトラスの香りに設計し20~30代の女性層の需要を見込んでいます。
2020年6月に主力ブランド『雪肌精』をリニューアルすると発表しました。
『雪肌精』は1985年に誕生したスキンケアブランドで累計販売本数は6150万本を超えています。
メインのロゴは漢字表記の『雪肌精』でしたが英字の『SEKKISEI』をメイン表記します。
メインのブランドロゴを従来の漢字から英字に変えてグローバル展開を加速させる考えです。
2019年度の売上高海外比率は32%で2026年度までに5割以上に高める目標を掲げています。
2020年8月に最高級ブランド『インフィニティ』をリニューアルすると発表しました。
『インフィニティ』は2002年に発売したロングセラー商品で加齢による肌のたるみに着目した新たな処方により中高年の需要を取り込む狙いです。
10年ぶりのリニューアルとなりカウンセリングのできる量販店やドラッグストアで10月より販売します。
2020年9月に男性向け(メンズ)化粧品市場に本格参入しました。
男性の化粧品使用は従来は若者が中心でしたが最近は20~30代のビジネスマンに広がりつつあります。
日常的にスキンケア用品を使用している美意識の高い層がターゲットで主な購入経路が電子商取引だったため発売後しばらくは電子商取引と銀座にある直営店のみで販売します。
2021年3月にスキンケアの主力ブランドで再使用できる容器の開発を表明しました。
米国スタートアップの日本法人<ループ・ジャパン>と連携し繰り返し使える容器の循環システムに参加し2022年夏に再使用容器を使った商品の販売を目指します。
プラスチック製容器を再使用可能な容器に置き換えプラごみの削減につなげる考えです。
2021年8月に東京五輪で選手にメーク用品を提供し化粧デザインやメーク法で支えました。
アーティスティックスイミングのチーム(団体戦)でチーム種目とデュエット種目で演技テーマに合わせたメークデザインを考案して化粧品を提供しています。
2020年8月に男性向けブランド『マニフィーク』から美容クリームなどの発売を表明しました。
身だしなみや自己表現の一つとして化粧に関心を持つ男性が増えてきており子会社の<コーセーコスメポート>は手軽に使えるアイテムを投入し幅広い層のニーズを取り込む狙いです。
今回発売する『リンクルリフト ジェルクリーム』はシワの改善に有効とされる成分を配合し洗顔やひげそり後に使い肌を保湿して目尻や額にハリを与えます。
今日の企業事例である<コーセー>を少し俯瞰して見てみましょう。
2018年4月に2026年度までの経営ビジョンを公表し海外売上高比率を35%にする目標を掲げました。
『2018年3月期』の純利益が前期比41%増と5期連続で過去最高を更新した原動力の1つが韓国の急成長でした。
2014年に135億円で買収した米国の新興化粧品ブランド『タルト』はSNSを駆使した効率的なマーケティングで『2018年3月期』に売上高が前期比50%近く増えました。
一方で中国の化粧品ブランドが日本市場で存在感を増してきています。
中国人女性の華やかな色使いのメークが日本の若い世代の心をとらえ中国風のメークを指す造語『チャイボーグ』も話題になり注目が集まるようになりました。
2019年12月にオープンした東京・銀座の旗艦店『メゾン コーセー』には複雑なデザインのネイルを10~15分という短時間で完成させる<コーセー>と<カシオ計算機>が共同開発した『ネイルプリンター』を4台設置しました。
タブレット端末でデザインを選びプリンターの中に手を差し込みマニキュアの液体をインクジェットプリンターのように爪に吹き付ける仕組みです。
しかし新型コロナウィルスの感染拡大で在宅勤務や外出自粛の影響もあり自宅にいる時間が増えたことで化粧品の売上が低下しています。
さらに流行の変化が速まり時間をかけて大型ブランドを育てる手法はもはや通じにくくなっています。
そんななか圧倒的な高速計算が可能な量子コンピューターを使った化粧品開発に乗り出しました。
化粧品開発では『さっぱり感』『しっとり感』といった様々な心地よい使用感が重要で「スペックで語れる工業製品とは異なる」と原谷美典経営企画部長は述べています。
例えば看板ブランド『雪肌精』の薬用乳液には様々な植物が使われ成分の数は39に達します。
どの程度の量を使うかどう調合するかで官能は変わります。
「官能表現は数十種類以上に及び安全性、薬事規制、他社特許など検討すべきステータスは膨大」と浜松和芳グループマネージャーは述べています。
この解を短時間で出そうとすると量子コンピューターの計算速度が必要となってきます。
従来の延長線上にない商品開発とインバウンドに依存しない海外比率の目標達成が課題となります。


