大相撲名古屋場所が開催されるのは1964年に建設された『愛知県体育館』ですが老朽化が進み新設移転が検討され2月17日に落札者が決まりました。
設計・建設は前田建設工業で維持管理・運営は<NTTドコモ>が代表企業の『Aichi Smart Arena』。
<三井住友ファイナンス&リース><東急><中部日本放送>などが代表企業以外の構成企業です。
新体育館の設計・建設費は396億円を見込んでいますが『Aichi Smart Arena』が200億円で事業を落札したため愛知県は初期投資の半分を負担するだけで済みます。
さらに<NTTドコモ>が施設を運営することで5GやWi-Fiなどの通信技術やキャッシュレス決済などの技術を取り入れることができます。
海外など幅広い観客に対応する人工知能技術などの導入も予定されています。
『ハコモノ行政』と言われますが構成企業の英国<アンシュッツ・スポーツ・ホールディングス>は中国や米国など世界トップクラスのアリーナを運用しておりスポーツやコンサートなど豊富なコンテンツが提供できます。
いまは単独で事を為すのではなく協力者と連携していくことが求められる時代となりました。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第434話< ANAホールディングス >です。
(*写真はイメージです)合併により事業を拡大しました1952年12月に<極東航空>を設立しました。
1952年12月に<日本ヘリコプター>を設立しました。
1957年12月に<日本ヘリコプター>が社名を<全日本空輸>に変更しました。
1958年3月に<極東航空>と<全日本空輸>が合併しました。
1959年4月に東京 - 大阪直行便を開設しました。
1961年9月に米軍施政下にあった沖縄への定期便の運航を開始しました。
1964年11月に<藤田航空>を吸収合併しました。
1965年2月に<中日本航空>の定期航空部門を吸収合併しました。
1967年12月に<長崎航空>の定期航空部門を継承しました。
1986年3月に国際線定期便の運航を開始しました。
1999年10月に<スターアライアンス>に加盟しました。
2003年に<全日空>から<ANA>へ変更・統一しました。
2012年4月に持株会社制へ移行し<ANAホールディングス>としました。
< ANAホールディングス >のビジネスモデル2019年10月に遠隔操作ロボットを1000台生産すると表明しました。
2020年東京五輪・パラリンピックまでに『アバター』と呼ぶカメラ付きの遠隔操作ロボットを生産し<三井不動産>や<東京都>など提携した18の企業・自治体に提供し事業化を目指します。
百貨店やマンションを動き回って買い物や物件の見学をしたりオフィスに置いてリモートワークに使ったり自由に利用することができます。
2019年11月にプラスチック製品の総重量の70%を環境配慮素材にすると発表しました。
欧州を中心に環境対応への圧力が強まっているなかグループの機材や空港ラウンジの使い捨てプラスチック製品の総重量の70%を2020年度末までにバイオプラスチックなどの環境配慮素材に変更します。
2019年11月に食品販売の新ブランド『ANA FINDELISH』を発表しました。
機内食のグループ会社<ANAケータリングサービス>が手掛ける外販事業で従来の機内での提供商品に加え機内食シェフが監修したオリジナルメニューなど機内食のノウハウを生かしたオリジナルカレーなど外販独自のメニューを新たに展開します。
2019年11月に『定額住み放題』のサブスクサービスを提供する<アドレス>と提携しました。
<アドレス>は一定の料金で全国各地の拠点を住居のようにして自由に滞在できるサービスを提供していますが航空利用と組み合わせた実験では住み放題サービスの利用料金に月額2万~3万円を上乗せすることで指定の路線に月4回もしくは2往復まで搭乗できるようにします。
2019年12月に服や靴などを宿泊先でレンタルできるサービスを始めると発表しました。
<ANAセールス>の始めたサービスは『ANA手ぶら旅行サービス』で事前にネット上でレンタル予約し宿泊先で受け取りや返却ができるため一眼レフカメラや美容家電など重い荷物を持たずに旅を楽しめます。
2020年4月に発表した『2020年1~3月期』の連結業績は587億円の最終赤字でした。
四半期決算の開示を始めて以来過去最大の赤字となりました。
『2020年1~3月期』の航空事業の売上高は3424億円と前年同期比21%減りました。
新型コロナウイルスの影響による旅客収入の減少が大きく響いています。
2020年5月に<エアロネクスト>と物流向けドローンを共同で開発すると表明しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で無人配送へのニーズの高まりが予想されているため航空機の運航ノウハウを開発にいかしドローン機体設計の<エアロネクスト>と新たな需要の開拓につなげる考えです。
2020年6月にドイツのフランクフルトに初となる貨物専用便を運航を開始しました。
欧州では物流の需要が高まりつつあり従来貨物も運んでいた旅客便は運航が減っており<ANAカーゴ>は成田空港からフランクフルトに貨物専用の臨時便で需要に対応します。
2020年7月にオンライン診療で処方した医薬品をドローンで届ける実験を実施しました。
オンライン診療は制限が多く利用が広がっていませんでしたが新型コロナウイルス収束までの期間限定で規制が大幅緩和されたためドローン活用のノウハウを蓄積し非接触医療の実用化を目指します。
2020年8月に<日本政策投資銀行>などと資本調達に向けた協議を始めました。
新型コロナウイルスの収束は見通せず早期の需要回復は見込めないため<日本政策投資銀行>や<三菱UFJ>などと5000億円規模の資本調達に向けた協議を始めました。
2020年10月に退職金を割り増す新たな希望退職を募集することが表明しました。
経営状況が悪化するなかコスト削減を急ぐ考えです。
2020年10月に勤務時間以外に他社とも雇用契約を結べるようにする方針を表明しました。
コロナ禍による業績悪化をうけ一般社員の年収は3割減る見通しで副業制度を見直し従業員が他社からも収入を得やすくする考えです。
2020年10月に旅客機の10%に当たる25~30機程度を削減する方針を固めました。
機材を削減し維持費などのコスト削減を進める考えです。
2020年11月に三重県の鈴木英敬知事は社員の出向を受け入れる方針を示しました。
<ANAホールディングス>との包括連携協定締結式で発表しました。
佐賀県や鳥取県もグループ社員の出向を受け入れると発表しました。
家電量販店の<ノジマ>は受け入れた社員向け研修を実施しました。
2021年1月に2020年12月に運航した国際貨物便数は3カ月連続で過去最高と発表しました。
電子部品など貨物需要は堅調で旅客機を臨時の貨物専用便として運用する動きも続いています。
2021年1月に発表した『2020年10~12月期』の連結決算は最終損益が1210億円の赤字でした。
航空機の早期退役に伴う減損損失など構造改革費用を計上したことで最終損益の赤字幅が拡大しました。
2021年3月に<ANAセールス>は資本金を1億円と原資することを決めたと発表しました。
4月に旅行事業をグループの別会社に移管するため事業規模の縮小に伴い資本金を9億円減らし1億円とします。
減資により税制上中小企業とみなされ税負担が軽くなる効果もあります。
2020年3月に新型コロナウイルスのワクチンの普及期待から株価が高値を付けました。
緊急事態宣言の21日解除の思惑も空運業の株買いを後押ししています。
今日の企業事例である<ANAホールディングス>を少し俯瞰して見てみましょう。
航空事業に携わる人員数を2025年度末までに3万人体制とする計画案をまとめました。
2020年度末に比べ約2割減りますがデジタル技術の活用などで生産性を高め一部職種を除く新卒採用の中止や離職といった人員減に対応します。
2021~22年春に入社する大卒採用はパイロットなど一部職種以外は中止を決めました。
また退職などによる自然減が年間約2000人あります。
全体では2021年度までに大型旅客機の早期退役などにより固定費を中心に約4000億円のコスト削減を見込んでいます。
業績悪化に伴う対応策としてコスト削減と新規事業の開発に取り組んでいますがグループで輸入したバナナについて輸送中に傷みなどで廃棄されるものからエタノールを製造します。
コメなどからエタノールを製造する技術を持つスタートアップの<ファーメンステーション>とエタノールの製造や販売で協業します。
仮想空間で旅行を体験できるスマートフォン向けサービスを開発すると今年1月に表明しました。
『ファイナルファンタジー』の人気ゲームの元開発者と制作し実在する日本や世界の名所を旅する感覚を味わえるようにします。
乗客は一時、前年から9割超減少し2021年3月期は5100億円と過去最大の最終赤字を見込んでいます。
リーマン・ショック後の『2010年3月期』の573億円の最終赤字とは桁違いの額となります。
<ANAホールディングス>の片野坂真哉社長は……「雇用は守る」「自力で再建する」と決意を述べています。
まさに生き残りをかけて構造改革に乗り出しています。
航空機削減などで今後2年間でコストを4000億円削減事業規模を縮小しこれまでの拡大路線を転換します。
「新しいビジネスモデルに変革し感染症の再来にも耐えられる強靱なANAに生まれ変わりたい」と片野坂真哉社長は述べています。
国内路線の一部を本体と傘下の<ピーチ・アビエーション>と運行を分担します。
2023年3月期をめどに子会社の<エアージャパン>を活用し東南アジアやオーストラリアなどを結ぶ中距離の国際線LCCブランドを新たに立ち上げます。
自社のマイレージサービスで集めた顧客データを使って旅行商品をネット販売するなど航空以外の分野を強化します。
コロナ禍を身を縮めて凌いだ先にどのような航空会社の姿を描くのか持続的な成長の再構築に向けた新戦略の立案が当面の課題です。


