コロナ禍でリモートワークなど働き方に変化が出てきました。
『afterコロナ』で元の働き方に戻るかと言えば戻らないと思える職種や職場が増えていることは間違いありません。
食事のテイクアウトなども日常の生活に溶け込んでいます。
<ウーバーイーツ>や<出前館>などの配達員による料理の宅配も珍しくなくなりました。
現在は33都道府県で約10万人の配達員が飲食店から職場や自宅に料理を届けています。
飲食店の廃業などで失業した人の雇用の受け皿になっているケースも増えているようです。
<ウーバーイーツ>は年内にも全国展開する方針です。
全国規模となれば相当数の配達員が必要になると考えられますが収入の保証はなく雇用保険や労災保険も対象外で会社も守ってくれません。
従業員の生活を保障する雇用契約の重要性を考えさせられる社会現象です。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第433話< エーザイ >です。
(*写真はイメージです。)
大手製薬会社を57歳で退職して起業1936年に<桜ヶ岡研究所>を設立しました。
1941年に埼玉県に<日本衛材>を設立しました。
1944年に<桜ヶ岡研究所>と<日本衛材>とで<日本衛材>株式会社となりました。
1952年に高単位B2B1剤『チョコラBB錠』を日本で発売しました。
1955年に<エーザイ>に社名を変更しました。
1966年に岐阜県各務原市に工場を開所しました。
1972年に<生科研>と共同研究を開始し農業分野へ参入しました。
1996年に<エルメッドエーザイ>を設立しジェネリック医薬品業界に参入しました。
2019年4月に<エルメッドエーザイ>を<日医工>に営業統合しました。
< エーザイ >のビジネスモデル2019年9月にアルツハイマー病の治療薬候補の臨床試験を中止すると発表しました。
米国<バイオジェン>と共同開発中の経口治療薬『エレンベセスタット』で製品化前の最終治験に入っていました。
「治験を継続しても最終的にベネフィットがリスクを上回ることはない」と治験データを分析する独立委員会からの判断を受けました。
2019年9月に米国製薬大手<メルク>との併用療法で<米食品医薬品局>から承認を受けました。
子宮内膜がんを対象とし<エーザイ>が創製した抗がん剤『レンビマ』と<メルク>のがん免疫薬『キイトルーダ』との併用療法で<米食品医薬品局(FDA)>から承認を受けることができました。
2019年10月に共同開発のアルツハイマー病の新薬を米国で承認申請を目指すと発表しました。
アルツハイマー病の新薬を米国製薬会社<バイオジェン>と共同開発していますが早期アルツハイマー病患者を対象とした治験で認知や日常生活に関わる機能で症状悪化を遅らせる効果が認められたため2020年に米国での承認申請を目指します。
2019年12月にアルツハイマー病が血液から診断できる可能性があると学会で発表しました。
血液検査装置大手<シスメックス>はアルツハイマー病の診断法に関し原因の一つとされる脳内のアミロイドベータ蓄積が血液から把握できる可能性があるとする最新データを学会で発表しました。
実用化へ向けて<エーザイ>と共同開発を進めます。
2020年1月にがんを治療する社員を対象に復職支援プログラムの制度を始めます。
休職後や復職時のサポートを充実させ闘病しながら就労できる環境を整備して社員のがん離職を防ぎます。
抗がん剤を開発する企業の社会的責任として支援の強化に取り組む考えです。
2020年4月に創薬の<プリズムバイオラボ>とライセンス契約を結んだと発表しました。
<プリズムバイオラボ>は創薬のスタートアップですが認知症などの神経疾患領域で発見したいくつかの新薬候補の化合物を<エーザイ>に提供します。
2020年5月に発表した『2020年3月期』の純利益は前期比92%増の過去最高益でした。
抗がん剤『レンビマ』など主力製品が伸びました。
2020年5月に新型コロナウイルス感染症向けに臨床試験を始めると発表しました。
重症敗血症の治療薬候補として開発していた『エリトラン』ですが新型コロナ感染症で重い呼吸障害をもたらす免疫機能の暴走を食い止める効果が期待されます。
2020年5月に脳の認知機能を管理できるサービスを企業や自治体向けに本格販売します。
3月末に発売した脳の認知機能の管理サービス『のうKNOW』を拡大販売します。
2020年6月に米国で不眠症治療薬『デエビゴ』を発売したと発表しました。
睡眠時に目が覚めてしまったり寝付きが悪かったりする症状が改善し繰り返し使うと効果が低減するものもありますが『デエビゴ』は起きにくいといいます。
2020年6月に新型コロナウイルスの抗原を測定する検査機器の開発に乗り出しました。
<徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所><大阪大学><神戸大学><シスメックス><JVCケンウッド>などと協力し光技術によって測定する検査機器の開発に取り組み2020年度内に製品化に向けた技術の確立を目指します。
2020年7月に新型コロナウイルス感染症の入院患者に臨床試験を開始すると発表しました。
米国<ピッツバーグ大学医療センター>と共同で新型コロナウイルス感染症の入院患者を対象に新型コロナウイルス感染症の肺をはじめとする多臓器の損傷を防ぐと期待される臨床試験を開始します。
2020年7月に新型コロナウイルスの軽症患者を見守るシステムの開発を発表しました。
<アルム>や<東京医科歯科大学>と新型コロナウイルスの感染の疑いがある人や軽症患者をスマートフォンで自宅などで見守るシステムを開発します。
2020年7月に脳の健康管理アプリの提供を始めたと発表しました。
<ディー・エヌ・エー>と提携し共同開発したアプリ『easiit』は40~50代の利用を想定しスマートフォンを通じて食事や運動睡眠などを管理できます。
2020年9月に人工知能を使った新薬開発に取り組むと表明しました。
化合物を使った新薬開発は一巡し新薬候補を見つけることが困難になっています。
人間が気が付かなかった物質を人工知能が発見・設計することで新薬開発につながる可能性があります。
2021年2月に『2021年3月期』の連結純利益が前期比68%減の見込みと発表しました。
新型コロナウイルスの影響で患者の受診抑制が広がり主力薬の販売が計画を下回っています。
2021年3月に岐阜県の川島工園に研究開発棟を新たに立ち上げると表明しました。
バイオ技術を使う医薬品は注射剤にするケースが多く新たな研究開発棟でこの分野の研究開発に力を入れる考えです。
今日の企業事例である< エーザイ >を少し俯瞰して見てみましょう。
2021年1月に米国<バイオジェン>と開発するアルツハイマー型認知症治療薬は<米食品医薬品局>の新薬承認審査の期間が3カ月延びて6月になったと発表しました。
世界の製薬大手も認知症薬に力を入れるなかで先行できている理由として『がん治療』と『認知症分野』に開発分野をフォーカスしていると内藤晴夫最高経営責任者は説明しています。
さらに続けて……「新薬開発は正しい仮説と患者層、用量、評価項目という4つが整わなければうまくいかない」「しかも技術の進歩や病態の解明がありそれにも対応しなければならない」「当社が順調に進めてこられたのはこの4つを巧みに調整してきたからだ」と述べています。
薬の開発から得られたデータを使って生活者の疾患啓発や予防につながるビジネスができないかと考えていて入り口は薬の研究開発でも出口は薬だけでなく生活者向けのビジネスも視野に入れ生活分野から医療分野までカバーする考えです。
上場企業で最も女性役員が多いのは<エーザイ>の5人ですが2020年には新たにESGの専門家として明治大学教授の三和裕美子氏が社外取締役に就きました。
インドの中堅都市ビシャカパトナムに<エーザイ>が工場を構えていますがここで製造されているリンパ系フィラリア症治療薬は世界中に無償で提供しています。
『象皮病』の俗称が示すように足が象のようにはれあがり最悪の場合は死に至ります。
アジアやアフリカなどを中心に世界54カ国で約10億人が感染リスクにさらされ1億2000万人が発症しているといわれていますが新興国や発展途上国の人たちには高価すぎて手が届きませんでした。
薬を各地に輸送するコストや患者に服用してもらう講習会の費用も負担しています。
『患者満足の増大』という<エーザイ>のミッションに合致した無償配布という社会貢献です。
<エーザイ>を率いる内藤晴夫最高経営責任者は創業者の内藤豊次氏の孫で1988年代表取締役社長に就任して30年以上経営トップを務めています。
内藤晴夫最高経営責任者は「認知症薬とともに生きて死ぬ覚悟だ」と述べています。
複数の後継者候補について話し合っているといいます。
辞めるのは後継者の育成を終えてからにしてと覚悟を決めています。
創業の精神を受け継ぎ会社のミッションを実践していく後継者指名が当面の課題です。


