今年1月に<Apple>が電気自動車の委託生産先として韓国の<現代自動車>と交渉を進めているという報道が伝わりいよいよ<Apple>が自動車産業に進出することでこれから自動車産業はその産業構造を根底から変わる可能性が濃くなったと感じました。
それまでの携帯電話メーカーやAV機器メーカーなどは<Apple>が創出する機器のため革命的な発想の転換を余儀なくされました。
<Apple>が本気で自動車産業に進出すれば携帯電話やAV機器などと同様にユーザーインターフェースなクルマの提供が期待されます。
いわゆる<Apple>は『ファブレス企業』なのでクルマを自社工場で製造することは考えられません。
既存の自動車メーカーなどと委託生産先として交渉するのは当然と思われます。
これまで自動車産業は巨大な製造設備や研究開発能力を必要とする参入障壁の高い産業でした。
業界の境界線という常識は崩れますますボーダーレスの時代がこれからも加速していきます。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第435話< RIZAPグループ >です。
(*写真はイメージです)次々と連結子会社化を進め事業を拡大2003年4月に創業者の瀬戸健氏が<健康コーポレーション>を設立しました。
2007年9月に持株会社に移行し商号を<健康ホールディングス>に変更しました。
2012年1月に子会社の<健康コーポレーション>を吸収合併して商号を<健康コーポレーション>に変更しました。
2016年7月に会社分割により事業部門を<健康コーポレーション>に分社して持株会社体制へ移行し商号を<RIZAPグループ>に変更しました。
2017年の2月に<ジーンズメイト>3月に<ぱど>、6月に<堀田丸正>12月に<ビーアンドディー>を連結子会社化しました。
2018年3月に<ワンダーコーポレーション>と<サンケイリビング新聞社>を連結子会社化しました。
2019年4月に中核子会社の10社とその傘下のグループ会社群から構成される体制に再編・集約しました。
<RIZAPグループ>のビジネスモデル2019年11月にフリーペーパーなどを発行する子会社の<ぱど>を売却すると発表しました。
『2019年3月期』に最終赤字となり業績が低迷していましたが10億円の株式売却益が発生するため『2020年3月期』連結決算に計上します。
2019年11月に発表した『2019年4~9月期』連結決算は最終損益が6600万円の赤字でした。
『4~9月期』の期間の最終赤字は2年連続となりました。
急速な M&A で抱えた子会社の採算改善を進めましたが利払い費用や税負担などを吸収することができませんでした。
このうち本業のRIZAP関連事業の売上高は微増で営業損益は27億円の黒字でした。
前年同期にあった構造改革費用がなくなったほか上場子会社の業績改善が進みました。
「この1年間取り組んできたことを通して黒字を一歩一歩出せる状況になっている」と瀬戸健社長は述べています。
前年同期に赤字だった上場子会社6社のうち広告事業を手がける<ぱど>を除く5社が黒字転換しました。
2020年1月に神奈川県と『未病』改善に向けて連携する包括協定を結びました。
食や運動、社会参加などに関するノウハウを活用し県民の健康づくりに役立てる考えです。
健康促進だけではなく参加者同士の交流も促すことで高齢者の生きがいづくりを後押しする考えです。
2020年2月に発表した『2019年4~12月期』連結決算は最終損益が5億円弱の赤字でした。
本業のRIZAP関連事業で新規会員数が伸び悩んだほか暖冬の影響でアパレル子会社の売上が計画を下回りました。
2019年3月にアパレル子会社の<三鈴>を売却すると発表しました。
2016年に子会社した<三鈴>は赤字が続いており本業の美容やヘルスケア事業とのシナジーが小さいと判断しました。
IT コンサルティングの< IT bookホールディングス>の子会社に売却します。
2020年3月に子会社<サンケイリビング新聞社>の子育て情報誌事業の譲渡を発表しました。
子育てに関するフリーペーパー『あんふぁん』などの事業を<小学館集英社プロダクション>の子会社に譲渡します。
2018年に子会社化した<サンケイリビング>は赤字が続き事業の一部を譲渡することで経営のスリム化を図る考えです。
2020年4月に<RIZAPグループ>監修で開発したハイボールなどを発売しました。
沖縄県の<オリオンビール>は<RIZAPグループ>監修のもと糖質をゼロに抑え健康に役立つ成分を加えた『FITTER』シリーズを発売しました。
2020年5月に無償で新型コロナウイルスの抗体検査を実施すると発表しました。
グループの社員や利用客パーソナルジムのトレーナーなど対象者は約3万人規模の見込みです。
2020年6月に『2020年3月期』の連結最終損益が60億円の赤字の見込みと発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け本業のRIZAP関連やアパレル子会社が不振でした。
これにより最終赤字は2期連続となります。
「6月は回復はしているものの売上高は前年に比べると2~3割少ない」「ジムやゴルフ事業は高齢者や医療関係者の戻りが鈍い」と瀬戸健社長は述べています。
2020年11月にフィットネスジムのトレーナーなどにPCR検査を実施すると発表しました。
対象者はRIZAPブランドのトレーナーやカウンセラー全員でジムのほかゴルフや英会話教室の従業員も含まれます。
2020年11月に遺伝子分析のスタートアップ企業と協業すると表明しました。
遺伝子分析のスタートアップ企業<ジェノプランジャパン>と協業することで子会社<RIZAP>が手掛けるトレーニング指導などのサービスに遺伝子解析を組み合わせて効果を高める狙いです。
2020年12月に<ジーンズメイト>など傘下の3社を経営統合すると発表しました。
新たに共同持ち株会社の<REXT>を設立します。
統合による規模拡大で高付加価値なプライベートブランド開発や電子商取引の強化などを図ります。
2020年2月に発表した『2020年10~12月期』の連結決算は最終損益が16億円の黒字でした。
2018年から買収による肥大化を修正して経営再建を進めてきましたが安定して黒字を出し続けられるかは様子見となります。
2021年3月に『2021年3月期』の連結最終損益が黒字の見込みと発表しました。
5000万円の黒字を見込んでいますが達成すれば黒字は3期ぶりになります。
主力のフィットネスジム事業などの営業時間を短縮した影響で減収となりますが従業員の配置見直しなどで人件費などのコスト削減を図り黒字を確保する考えです。
今日の企業事例である<RIZAPグループ>を少し俯瞰して見てみましょう。
『2021年3月期』の連結最終損益が5000万円の黒字の見込みと発表し3期ぶりの黒字転換となるため株価は買いが集まり急伸しました。
『2019年3月期』からの構造改革で人件費などのコスト削減が寄与しています。
コロナ禍で主力のフィットネスジム事業などの営業時間短縮などにも影響が出ていますが新規入会者数は外出自粛による運動不足解消を目的に増加傾向にあります。
トレーニングの指導が自宅で受けられるオンラインサービスも継続し夜間に自宅で運動ができる動画コンテンツなどの配信も検討しています。
M&Aで抱えた多くの子会社で不採算事業を売却するとともに収益構造の見直しを進めています。
さらに固定費の削減などで損益分岐点売上高の引き下げに取り組んでいます。
今までのような積極的なM&Aではなくアパレルやサプリメントなどを扱うグループ各社の通販サイトやアプリの使い勝手向上や業務効率化のためのソフトウエアなどに投資します。
本業のトレーニングジム事業と同様に『企業の体質改善』を図り『成長の柱』を着実に育成する新たなビジネスモデルの構築が当面の課題となっています。


