【管理職になりたい人が17.2%まで減った理由】年上部下との向き合い方を仕組みで支える経営
あなたの会社の次世代リーダー候補は、いま静かに管理職を辞退していませんか。
パーソル総合研究所の調査によると、現在の会社で管理職になりたいと回答した人はわずか17.2%でした。
2021年の24.0%から、3年でおよそ7ポイント下落しています。
日本能率協会マネジメントセンターの調査でも、管理職になりたくないと答えた一般社員は77.3%に達し、5年間で4.5ポイント増加しました。
人材派遣大手のマンパワーグループも、年上部下との関係に悩み、転職を検討する若手管理職が一定数いると報告しています。
背景には、役職定年制度の普及と高年齢者雇用安定法の改正があります。
年功序列の慣習が崩れ、年下上司と年上部下という組み合わせは、この数年で一気に増えました。
多くの経営者はこの数字を、「今どきの若者は出世欲がない」と受け止めがちです。
しかし現場を見ると、若手が恐れているのは責任の重さそのものではありません。
経験も年齢も上回る年上部下を、支えのないまま一人で率いる『孤軍奮闘』の姿です。
私はかつて、コミュニケーション学の博士号を持つ方から、対人関係における心理的距離の作り方を学びました。
人は自分自身を直接否定されると防衛的になりますが、問題を自分の外側に置いて眺めると、素直に向き合いやすくなります。
年上部下との摩擦がこじれるのも、実はこの原理と同じです。
『指摘』を、人格への攻撃と受け取ってしまう構造が、対話を止めているのです。
年下上司は、年上部下への対応を、たいてい一人で背負わされています。
経営層は、「そこは君に任せた」と言うだけで、具体的な支援をほとんど用意しません。
指示を出さず、注意すべき場面で黙り、評価面談で課題をぼかす。
この遠慮は、経験を敬う姿勢ではなく、『責任の回避』に近づいていきます。
結果として、年下上司は疲弊し、やがて管理職そのものを避けるようになります。
管理職になりたくない理由の多くが、「責任の重さ」ではなく「支えのなさ」にあるのは、この構造が原因です。
つまり摩擦の正体は、個人の対人スキル不足ではありません。
会社が支援を仕組み化していない経営課題です。
一つ目は、決定権の線引きです。
年上部下から意見を募る領域と、年下上司が決める領域を、あらかじめ分けてください。
意見を求める行為は、決定権を譲る行為ではありません。
二つ目は、年上部下への対応そのものを評価項目へ組み込む判断です。
難しい対応を任せているにもかかわらず、評価基準に含めていない会社は少なくありません。
三つ目は、対立が起きた際、経営者が年下上司の決定を後ろから支える約束です。
年上部下から不満の声が上がった場面で決定を覆すと、以後だれも本気で管理職を引き受けなくなります。
私自身のコンサルティングではホワイトボードを前にして、年上部下と年下上司の双方の、頭の中の論点をそのまま書き出します。
人と課題を切り離して眺めると、年上部下を否定せずに問題だけを扱えます。
プライドを守りながら、実務の軌道修正ができる理由がここにあります。
管理職になりたい人が17.2%まで下がった今、若手を責めても流れは変わりません。
年上部下を持つ若手管理職を孤立させず、会社として支える体制を整えれば、彼らは必ず力を発揮します。
あなたの会社の次のリーダーを守れるかどうかは、経営者の後ろ盾にかかっています。


