経営戦略【ビジネスモデル】7月30日に投稿予定のメルマガを急遽お休みさせていただきました。
スケジュールが重なり執筆できなかったことが要因です。
これまで断片的な『心理学』や『脳科学』の知識で現場の課題に取り組んできましたがいつか『実践的な心理学』を体系的に学びたいと考えていました。
『顧客心理』『経営心理』『組織心理』『ビジネスコミュニケーション心理』を体系的に学ぶ機会に出会い6月から週2回のペースでオンライン受講に取り組んでいます。
半年間かけて座学と課題の実践そしてレポートの提出という若い頃のような体験ですがコンサルティングの現場で実践して喜んでいただけることでモチベーションが高まっています。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第452話<三越伊勢丹ホールディングス>です。
(*写真はイメージです)老舗の<三越>と新興の<伊勢丹>2008年4月に<伊勢丹>と<三越>の共同株式移転により<三越伊勢丹ホールディングス>を発足。
2009年5月に子会社として<札幌丸井今井>と<函館丸井今井>の2社を設立しました。
2009年10月に<岩田屋>との間で株式交換を実施し完全子会社化としました。
2010年4月に<三越>8店舗を地域店舗運営子会社の8社に事業譲渡しました。
2010年10月に<岩田屋>が<福岡三越>を吸収合併し<岩田屋三越>が発足しました。
2011年4月に関東地区の店舗運営会社を<三越伊勢丹>として統合しました。
<札幌丸井今井>が<札幌三越>を吸収合併し<札幌丸井三越>が発足。
2016年3月にJR名古屋駅前の大名古屋ビルヂングに『イセタンハウス』がオープンしました。
2018年9月に<伊勢丹>の相模原店、府中店と<新潟三越>の閉鎖を発表しました。
2020年8月に大名古屋ビルヂングの『イセタンハウス』を閉店しました。
<三越伊勢丹ホールディングス>のビジネスモデル2020年2月に『三越日本橋本店』に<ビックカメラ>を開業しました。
<ビックカメラ>と定期賃貸借契約を結び売り場を貸す『不動産モデル』ですが定額の賃料を得ながら<三越>が接客や売り場づくりで協力します。
「家電売り場をつくるのは長年の夢だった」と<三越伊勢丹HD>の杉江俊彦社長は述べています。
店内の雰囲気は木目調の床にソファを設置し顧客がくつろぎながら接客を受けられるようにしました。
<ビックカメラ>の店舗販売員には<三越>がビジネスマナー研修を実施し定番の赤いベストではなく服装もスーツを着用して接客します。
2020年3月に『伊勢丹新宿本店』で3Dを使った足の計測機器を導入しました。
足を入れると機器に内蔵したカメラが15秒程度で足の長さや幅などを計測します。
既に導入している婦人靴向けが好調なことから紳士靴にも対象を広げました。
2020年3月に首都圏の6店舗を対象に営業時間を短縮すると発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で東京都や埼玉県が週末の外出自粛を要請したことに対応します。
2020年4月に『2020年3月期』の連結最終損益が110億円の赤字になったと発表しました。
新型コロナウィルス禍でインバウンド需要が激減したほか外出自粛の影響から国内の居住者の店頭への来店も減少しました。
「1カ月あたり150億円の営業減益要因になる」と全店休業の影響について杉江俊彦社長は述べています。
2020年6月に刷新したスマートフォンのアプリにオンラインの接客機能を取り入れました。
利用者は販売員やスタイリストにチャットで商品のサイズや色などを問い合わせることが可能になりその場で商品を購入することもできます。
2020年6月に店舗での一斉セールを中止してネット通販を強化しました。
従来の衣料品に加え寝具や台所用品など生活用品や食料品もセール対象とします。
2020年11月にネット接客や販売用の専用アプリを立ち上げてサービスを始めました。
『伊勢丹新宿店』の婦人服や紳士服時計・宝飾品など14分野の約200ブランドの全商品が対象で今後は家具や食品などの全分野に広げる考えです。
ネット通販との違いは実店舗の店員が商品を紹介や販売する点で利用者はチャット上で好みや予算相談事を打ち込むことで店員からはおすすめの商品などが返信され気に入った商品があればそのままアプリ上で購入できます。
さらに詳しい相談や商品説明を受けたい場合は動画を使った接客を申し込みます。
2021年1月に実店舗に先駆けて通販サイトで初売りの専用コーナーを設けました。
取り扱いブランドは約2000と前年比で30%増やしました。
緊急事態宣言の発令で実店舗の集客が難しくなっておりネット通販を強化しています。
2021年2月に子会社『岩田屋三越』の細谷敏幸社長が4月に社長に就任すると発表しました。
細谷敏幸氏は構造改革で地方百貨店を再生した実績があります。
『岩田屋三越』では1000人以上の全社員と座談会などで直接話し合い係長級の以上の社員とは1年かけて一人ずつ面談しました。
部署をまたいだ顧客情報の一元管理を始めたほか従業員に接客や在庫管理などの複数業務を任せるなど就任1年後に『岩田屋三越』の営業利益を前期比で80%増と大きく改善させました。
「百貨店のビジネスモデルはもう消費者から受け入れられないのではないか」と細谷敏幸氏は記者会見で述べています。
2021年2月に1994年から営業してきた『三越恵比寿店』を閉店しました。
駅ビルや近隣の商業施設との競争が激化し業績が低迷していました。
2021年3月に『三越伊勢丹研究所』を解散しました。
1967年に伊勢丹研究所として発足し優れた情報収集力で数カ月から数年先のファッショントレンドを予想するなど『ファッションの伊勢丹』のイメージを定着させました。
2021年4月に『2021年3月期』の連結最終損益が415億円の赤字と発表しました。
従来見通しから赤字幅が35億円縮小しましたが今夏の賞与引当金や営業費用など各種経費の削減が寄与しました。
2021年6月に『伊勢丹新宿本店』と『三越日本橋本店』の再開発着手に意向を表明しました。
「単純に百貨店のリモデルで終わらせず上手にエリアを街にしたい」と細谷敏幸社長は述べました。
百貨店を中心にオフィスビルやホテル住居などを配置し回遊性を持たせた再開発を目指す考えです。
2021年8月に百貨店初の不用品買い取りサービスを今秋から始めることを表明しました。
服や宝石、絵画、楽器などが対象でどこで購入したかは関係なく顧客にはその場で現金で支払います。
その上で『三越伊勢丹』が特定の買い取りサービス会社に売却します。
使わなくなったモノへの責任まで果たさなければ顧客からの支持を得られないとの考えです。
今日の企業事例である<三越伊勢丹ホールディングス>を少し俯瞰して見てみましょう。
2021年7月に発表した『2021年4~6月期』の連結決算は86億円の最終赤字でした。
新型コロナウィルスの影響下で宣伝費や人件費を絞って高コスト体質からの転換を進めてますが減収の影響を補えない厳しい状況が続いています。
百貨店は高品質なサービスや売り場を維持するためコストが重く利益が出にくい構造です。
2021年7月に<三井物産>と組んで移動店舗用のトレーラーハウスを導入しました。
事前に法人顧客の社員とのチャットでニーズを聞き取った上で要望に合いそうな服など20~30点を載せて顧客企業まで出向きカラーコーディネーターの社内資格を持つ販売員が同行しその場で最適な着合わせも提案します。
移動店舗を導入するなど顧客数を現状の2倍の2000社まで増やす狙いです。
コロナ禍において百貨店の上層階で物産展などを開き集客し帰り際に買い回りにつなげる『シャワー効果』と呼ぶ百貨店の典型的なビジネスモデルはもう限界を迎えています。
ネット通販の普及で消費者の買い物の仕方は欲しいものしか買わない『目的買い』に変わりました。
2024年度までの中期経営計画では『高感度上質戦略』を打ち出しました。
年100万円以上購入するカード会員向けの売上高は前年実績を上回っています。
この層に訴求するため販促の主体を従来のマスマーケティングから個のマーケティングへと転換します。
顧客の属性や嗜好を把握し関係性を強化する『個客とつながり戦略』です。
顧客の要望があれば店頭にない商品も扱う。
ニーズに広く対応し嗜好に合う商品やサービスを柔軟に提案します。
細谷敏幸社長が進める『百貨店の当たり前』を打破し『伊勢丹新宿本店』と『三越日本橋本店』の将来の再開発を断行するなど『意識改革』と『構造改革』をグループ内で実行できるかが今後の大きな課題となります。


