2019年から国内のパソコン市場の活況が続いています。
2019年は『Windows 7』のサポート終了前の駆け込み需要でしたが2020年の国内のパソコン出荷実績は前年比1.3%増の1591万台となり1995年に調査を開始して以来過去最高となりました。
2021年に入っても勢いは止まらず2021年1月が前年同月比で約2.1倍。
2021年2月も約2.2倍という記録的な伸びをみせています。
その要因の一つはコロナ禍で普及が加速したテレワーク向けに購入する動きでパソコンを調達しやすい量販店店頭で個人向けパソコンを購入するケースが相次いでいます。
個人向けパソコン市場は前年比11.3%増と2桁成長を遂げています。
二つ目は小中学校で生徒1人1台のパソコンを配備するという政府の『GIGAスクール構想』で小中学校へのパソコン配備は2021年3月まで進められました。
GIGAスクール構想の対象となるモバイルノートの平均単価は2020年2月の約11万5500円が2021年2月には約5万1900円と半値以下になりました。
時間の経過による社会の変化をピンチと受け止めますか?
チャンスと受け止めますか?
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第438話<スズキ>です。
(*写真はイメージです)同業メーカと提携やOEM供給に積極的1909年10月に大工の創業者・鈴木道雄氏が浜松市で<鈴木式織機製作所>を創業しました。
1920年3月に<鈴木式織機>として設立しました。
1954年6月に<鈴木自動車工業>と社名を変更しました。
1981年8月に<ゼネラルモーターズ>と提携しました。
1990年10月に<スズキ>と社名を変更しました。
2009年12月に<フォルクスワーゲン>との包括的業務資本提携を発表しました。
2012年11月に<アメリカンスズキモーター>が『連邦倒産法』を申請しました。
米国での四輪車販売から撤退し二輪車販売に注力すると表明しました。
2013年8月に<日産自動車>と<三菱自動車工業>へOEM供給で基本合意しました。
2018年3月に<トヨタ自動車>と印度・欧州市場での相互OEM供給で基本合意しました。
<スズキ>のビジネスモデル2019年10月に開幕する東京モーターショーの出展内容を報道陣に公開しました。
買い物時に荷物を運ぶなど生活を手助けする移動体(ロボット)『MITRA(インドの言葉で友達)』や電動車椅子の形状のほか手押し車の形状にも姿を変えるなど電動により少ない力で歩けるよう手助けする『KUPO(クーポ)』。
人が運転に関わらない完全自動運転の電気自動車『HANARE(ハナレ)』など完全自動運転車や生活を手助けするモビリティー(移動体)などを初めて披露しました。
2019年10月に発表した『2019年度上期』の四輪車は生産販売統計が前期比16%減でした。
海外は2020年春に導入される新たな排ガス規制を見据えた買い控えが続いているなど主力のインド市場の低迷が響き国内は検査不正の再発防止策の徹底に伴い生産を落としました。
2019年11月にインドで建設中の新工場の稼働を3カ月先送りすると表明しました。
インドの新車販売市場の低迷が続いているため2020年4月から7月へと3ヶ月先送りします。
2020年1月に発表した2019年の四輪車生産・販売統計は世界生産が前年比11%減でした。
市場シェアが50%を占めるインドは13%減と6年ぶりのマイナスでした。
金融機関の貸し渋りや経済成長の鈍化で消費が冷え込み販売が低迷しました。
2020年3月にミャンマーのヤンゴン市南東の工場を増強すると発表しました。
建屋の面積は10倍に広がり生産能力は4倍になり2021年9月の稼働を見込んでいます。
ミャンマーの新車市場の伸びを受けて新車をスピード供給できる体制を整える考えです。
2020年4月にインドで人工呼吸器やマスクなどの生産を始めると発表しました。
1カ月あたり1万台の生産能力を目指しインドのメーカーと人工呼吸器を共同生産します。
インド政府が自動車メーカー各社に人工呼吸器の製造を要請していました。
別の現地メーカーと提携し3層構造のマスクや防護服も製造する考えです。
2020年4月に発表した2019年度の四輪車の世界生産は2018年度比13%減でした。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けて主な海外拠点が相次ぎ操業を停止し3月は前年同月比20%減でした。
2019年度の海外生産は15%減と8年ぶりに減少しましたが最大市場のインドが15%減と6年ぶりに減りタイが47%減ハンガリーが11%減パキスタンが38%減インドネシアの20%増以外は軒並み振るいませんでした。
2020年5月に発表した『2020年3月期(前期)』連結決算で純利益は前期比25%減でした。
四輪事業は景気悪化の影響で海外での販売が振るわなかったほか円高も収益の目減りにつながり期末にかけては新型コロナウイルスの感染拡大で販売が減少しました。
2020年6月に定時株主総会が浜松市内で開催されました。
「インドでは2030年においても現在のシェア50%を確保したい」と<スズキ>の鈴木俊宏社長は述べています。
2020年8月に次世代移動サービス『MaaS』の実証実験を共同で始めました。
<富山県朝日町>や<博報堂>と地域住民の移動を支援する自家用車を使った住民同士の送迎を新たな移動手段とするなど次世代移動サービスの実証実験を始めました。
2020年8月に<トヨタ自動車>との相互出資による提携を発表しました。
7月には<トヨタ自動車>からプラグインハイブリッド車の供給を欧州市場で受けると表明しました。
自社技術で欧州の排ガス規制に対応するのは難しいと判断しました。
『CASE』と呼ばれる100年に1度の大変革を迎え「トヨタなど他社の力を借りていきたい」と鈴木修会長は述べています。
2021年1月に発表した2020年の四輪車生産・販売統計で世界生産は前年比16%減でした。
主力のインドを中心にコロナ禍からの回復が進み12月として過去最高を記録しましたが新型コロナウイルス感染拡大が響きマイナスは2年連続となりました。
2021年2月に鈴木修会長が会長を退くと正式発表しました。
6月の定時株主総会後に取締役も退任し相談役に就きます。
2021年4月にインド西部で建設を進めていた新工場が稼働したと発表しました。
新工場立ち上げで新車販売が回復基調のインド市場で攻勢をかける考えです。
2121年4月に静岡県にある乗用車の2工場の一部生産ラインを停止しました。
世界的な半導体不足が響き一部の部品の調達に支障が出る恐れがあるためです。
スズキが半導体不足を理由に工場を停止するのは初めてのことになります。
今日の企業事例である<スズキ>を少し俯瞰して見てみましょう。
国内では政府の方針を受けて2035年までに軽自動車をすべて電動化することを迫られています。
簡易型のハイブリッド車を全車種に設定して乗り切る考えですが世界で勝ち残るには本格的なハイブリッド車や電気自動車への対応が必須です。
「地球温暖化の問題は差し迫った危機スズキとしても脱炭素に向け協力していかなければならない挑戦しよう!」
と鈴木修会長は社内で訴えてきました。
「若手のチーム力を利用して一気に30年や50年につなげる努力をしてもらいたい」とも鈴木修会長は退任会見で述べています。
世界の自動車市場ではこの1年で脱炭素の動きが加速しました。
環境規制が進む欧州市場では資本・業務提携している<トヨタ自動車>から環境性能に優れるプラグインハイブリッド車の供給を受けています。
ただ他社に頼りすぎると自社の技術を磨く機会が失われるリスクもはらんでいます。
「あくまで自社開発を進めていきたい」と鈴木俊宏社長は述べています。
<トヨタグループ>の創業者である豊田佐吉氏と<スズキ>の創業者である鈴木道雄氏はお互い遠州(現:静岡県西部)にルーツを持ち創業家同士はお互いを尊敬し合うという間柄。
カリスマ経営者の鈴木修会長からバトンを渡された鈴木俊宏社長が自動車の産業構造が大きく変わる中社内のベクトルを一つにまとめ創立100周年を超えた<スズキ>の独自性と独立性を守り抜きながら新たなビジネスモデルを構築し今後の成長戦略を描くことが当面の課題となっています。


