『シン・チホウ』という言葉を聞いたことはありますか?
最近のトレンドとして『シン・チホウ』の考え方が話題になっています。
テレワークの普及や副業解禁で都心のビジネスパーソンが「よそもの」として地域のビジネスに参画し『シン・チホウ=新・地方』が生まれると予測されています。
個性あるものづくりや文化に恵まれた『地方』ですが街中の商店街に空き店舗が増え地域の基幹産業の縮小など地方の衰退化の声を聞きますが『地方』に足りないのはマネジメントやマーケティングの知見・知識と言われています。
さらに足りないものが何かと言うと『リーダーシップ』だと考えています。
そしてリーダーシップで一番重要なことそれは『グランドデザイン』です。
(grand design)中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第437話<AGC(旭硝子)>です。
(*写真はイメージです)三菱グループの一員として創業1907年に<三菱財閥>の2代目総帥である岩崎俊彌氏が兵庫県に創業しました。
1909年に尼崎工場で板ガラスの製造を開始しました。
1944年に<日本化成工業>と合併して商号を<三菱化成工業>に変更しました。
1950年に『企業再建分割法』により3分割され<旭硝子>が設立されました。
1987年に創業80周年を機に『AGC』のシンボルマークを導入しました。
2002年にカンパニー制を導入しました。
2018年に<AGC>に商号を変更しシンボルマークを改修しました。
<AGC>のビジネスモデル2019年10月に『2019年12月期』の連結純利益が前期比54%減の見込みと発表しました。
北米地域の自動車ガラス工場を減損処理し約230億円の減損損失を計上します。
減損処理の対象は米国、カナダ、メキシコにあるほぼ全ての自動車ガラス工場です。
主要顧客である日系自動車メーカーを中心に自動車販売が落ち込みガラスの販売も苦戦しています。
2019年10月に携帯電話向け基地局アンテナの運用を<NTTドコモ>と始めたと発表しました。
基地局は建物の屋上や壁面に設置しますが設置場所が限られるほか観光名所などでは街の景観を損ねるとして問題視されることもあります。
<NTTドコモ>と共同開発したガラス製の透明なアンテナは板状のガラスに見える携帯電話向け基地局アンテナのためビルの窓に取り付けて使用できます。
2019年12月に<セントラル硝子>との建築用ガラス事業の統合を発表しました。
国内ガラス3位の<セントラル硝子>と2020年12月末までに統合することで輸入品などとの競争が激化している建築用ガラスで採算改善を目指します。
2020年1月に両面表示ができる厚さ 9 ㎜ 以下のデジタルサイネージの開発を発表しました。
両面表示タイプでは<AGC>で最も薄型となり有機ELを採用して薄型化を実現しました。
鉄道やバスの車内で天井から吊るす広告などでの活用を想定しています。
2020年2月に発表した『2019年12月期』の連結決算は純利益が前期比50%減でした。
自動車用ガラスの販売が落ち込み北米の自動車ガラス工場で計上した減損損失の影響もありました。
2020年2月に電柱などに自在に巻きつけられる『5G』向けアンテナを試作しました。
<NTTドコモ>と試作したアンテナは28ギガヘルツ帯と呼ばれる次世代通信規格『5G』向けの周波数帯の特性に合わせたものです。
2021年5月に新型コロナウイルス感染症の治療を目指す原薬や候補物質の製造受託を発表しました。
ライフサイエンス部門を成長分野のひとつと位置付けており今回の取り組みを契機として受託事業拡大につなげる考えです。
2020年6月に英国製薬大手<アストラゼネカ>から米国の工場を買収したと発表しました。
米国コロラド州にあるバイオ医薬品の原薬製造工場で新型コロナウイルス治療薬の受託生産拠点として活用することも視野に入れています。
2020年6月に米国<ノババックス>が開発しているワクチンの補助物質の製造を始めました。
新型コロナウイルス向けに開発しているワクチンを補助する物質の製造です。
2020年7月に新型コロナウイルス向けに開発した治療薬の候補物質の製造を受託しました。
スイスのバイオ企業である<モレキュラー・パートナーズ>が4月に開発した物質でたんぱく質で構成しています。
2020年7月に半導体製造に使う素材の生産能力を約2倍に増強すると発表しました。
半導体製造に使う素材『EUVマスクブランクス』は半導体の回路パターンを半導体ウエハーに転写する際の原版となる材料です。
建屋を拡張するほか新たに生産設備を導入し2022年に稼働を開始する予定です。
2020年7月にイタリアの医薬品製造・開発受託会社を子会社化すると発表しました。
買収を通じてヒト由来の細胞や遺伝子を使った最先端治療薬の医薬品製造・開発受託に参入します。
2020年11月に鏡とディスプレーの両方の機能を持つ『ミラリア』の本格販売を表明しました。
顧客が化粧の手順を解説する動画と鏡を同時に見て自ら化粧することも可能でコロナ禍の非接触に対する需要も取り込み2021年前半にも製品を拡販します。
2020年11月に『横浜テクニカルセンター』に完成した研究棟を公開しました。
最先端の技術や製品サンプルを展示し外部の企業や研究機関との共同研究用のスペースを充実させました。
「いっしょに新しい価値をクリエートする場として活用していきたい」と平井良典最高技術責任者は述べています。
2021年1月に平井良典取締役専務執行役員が社長に昇格した人事を発表しました。
「『5G』関連の電子材料や医薬品の製造受託を伸ばしたい」と平井良典氏は社長就任の記者会見で抱負を述べています。
2021年1月に『2020年12月期』の連結純利益が前期比26%減の見込みと発表しました。
建築や自動車用のガラス需要が想定より早く回復したほか塩化ビニル樹脂の販売価格上昇なども寄与しました。
2021年1月に<セントラル硝子>との事業統合の協議を中止すると発表しました。
2019年12月に基本合意していた国内建築用ガラスの事業統合ですが将来の見通しや評価額について両社の見解が一致しませんでした。
2021年3月にウレタン樹脂の原料価格を引き上げると表明しました。
ナフサ以外の原材料価格が上昇しており製品価格に転嫁する考えで値上げは約4年ぶりになります。
今日の企業事例である<AGC(旭硝子)>を少し俯瞰して見てみましょう。
2021年に予定していた<セントラル硝子>との国内建築用ガラス事業の統合を中止しましたがガラス事業は供給過剰が続いているため「業界全体の構造改善にやっぱり取り組みたい」と<AGC>の宮地伸二副社長は述べています。
2021年2月には『2023年12月期』までの3年間の中期経営計画を発表しました。
半導体向け材料や医薬品の受託製造などの戦略事業に2000億円を投資し採算が低い建築や自動車向けガラスはコストを削減する考えです。
『極端紫外線』と呼ぶ最先端の製造技術向け材料医薬関連や車載用ディスプレーなどに力を入れ収益性が低い建築や自動車向けなどガラス3事業のコア事業領域では投資額を40%減らします。
「コア事業と戦略事業を両輪とする『両利きの経営』を追求し事業内容の転換を加速する」「(次の戦略事業では)エネルギー関連の領域に注目している」と<AGC>の平井良典社長は述べています。
燃料電池車向けの既存製品の販売拡大も目指しています。
『2021年12月期』は2期ぶりに新型コロナウィルス感染拡大前の『2019年12月期』の売上高と営業利益の水準に戻る見込みです。
利益の伸びは戦略分野に位置付ける医薬品の受託生産と半導体向け先端材料の両事業が牽引しています。
医薬品の受託製造は付加価値の高いバイオ医薬品に集中して事業を拡大しています。
2020年6月には英国製薬大手<アストラゼネカ>から米国の原薬製造工場を100億円で買収しました。
2020年9月にはイタリアの医薬品製造企業を約300億円で買収しました。
コア事業のガラス3事業に収益を依存しないため医薬品や先端材料などの戦略事業への事業構造への転換を一段と加速させるなど祖業のガラス事業主体からのビジネスモデルの再構築が当面の課題となっています。


