なんといっても最近のニュースの中でビッグニュースと言えば<NTTドコモ>が親会社<NTT>のTOB(株式公開買い付け)によって完全子会社化されることが決まったことだと思います。
買収総額は4兆2500億円と国内企業へのTOBとしては過去最大規模となります。
菅義偉氏が首相に就任して携帯電話料金の値下げ圧力が強まることも今回の完全子会社化することのきっかけになったと考えますが<NTTドコモ>の上場廃止が日本の株市場を押し上げるインパクトになりそうです。
日本の社会変革のスピードを早めた『withコロナ』の影響もあと2〜3年は続きそうな気配です。
平時でも今の時代は2〜3年もあれば経営を取り巻く『外部環境』も様変わりするほどなので『Beforeコロナ』の状況に戻ることなど有り得ません。
『Newノーマル』を見据えた新たなビジネスモデルの構築を急速に進める必要があります。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第411話<日立製作所>です。
(*写真はイメージです。)
日本を代表する総合電機メーカーへ発展1910年7月に<日立鉱山>久原鉱業所の付属の修理工場として創業しました。
1911年に<日立鉱山>から独立して<久原鉱業所日立製作所>としました。
1920年に株式会社<日立製作所>として完全に独立しました。
1925年に大型電気機関車を完成させて<鉄道省>に納入しました。
1932年にエレベーター第1号機を<東京電気(東芝)>に納入しました。
1961年に全自動洗濯機を開発しました。
1970年に世界初の列車運行管理システムの開発に成功しました。
1979年に大型汎用コンピュータを開発しました。
1997年にDVD-RAMの基本技術開発に成功しました。
2016年5月にIoTプラットフォーム『Lumada』のサービス提供を開始しました。
2018年9月にWoooブランドのテレビの国内販売を終了させることを発表しました。
<日立製作所>のビジネスモデル2019年4月に中央研究所内に研究施設『協創の森』を新設したと発表しました。
自前の技術にこだわらず顧客企業らと幅広くアイデアを共有し日立や顧客が持つ技術『 IoT』を組み合わせて迅速な事業化を目指します。
「協創の森で顧客とともにイノベーションを起こしていきたい」と研究開発グループ長の鈴木教洋執行役常務は述べています。
2019年4月に米国<JRオートメーションテクノロジーズ>を買収すると発表しました。
産業用ロボットを使った効率の高い生産ラインや物流システムを構築することに強みを持っています。
北米の自動車や航空機産業などに顧客基盤を持つ同社の買収を通じて『 IoT』事業を拡大する狙いです。
2019年4月に『2019年3月期』の純利益は39%減と3期ぶりの最終減益となりました。
『2018年4~12月期』に計上した英国の原発事業の凍結に伴う約3000億円の損失が重荷となりました。
2019年6月にエレベーターの稼働状況の見える化サービスの開始を表明しました。
エレベーターの情報などがスマートフォンで一元的に把握できます。
保守契約をしていればサービスは無償で提供する考えで機器の新設や保守契約をする顧客の囲い込みにつなげる狙いです。
2019年6月に中国・河北省に新たな拠点を設立したと発表しました。
この地域には教育や医療など多くの機能が集積する見通しでデジタル技術を活用した健康ビジネスや製造効率化などのノウハウを生かし事業の拡大を図ります。
2019年8月に電力の需給調整取引に使うシステムを受注したと発表しました。
電力調整市場で取引する基盤となるもので<東京電力パワーグリッド>と<中部電力>からの2社が国内の送配電事業者10社を代表して開発を進めています。
2019年9月に中国の<京大北京技術>に30%出資しました。
人工知能を使ったシステム開発を手掛けている会社で日本のノウハウを活用した介護保険制度向けシステムを共同開発する考えです。
2019年10月にタイの有力財閥<TCCグループ>と都市開発のデジタル化で提携しました。
『 IoT』を駆使して施設内の人の混雑を緩和したりエネルギー消費を抑えたりします。
2019年10月に<ホンダ>と共に傘下の自動車部品メーカーを合併し新会社を設立すると発表しました。
<日立オートモティブシステムズ>とホンダが筆頭株主の<ケーヒン><ショーワ><日信工業>の4社合併で国内の自動車部品業界では3位の売上高の規模になります。
『CASE』に代表される自動車業界の構造転換に対応します。
2020年3月にビデオ会議ツールを使った学生向けの就活相談座談会を開催しました。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため2021年3月卒業予定の学生と日立本社の人事担当者が参加しました。
2020年3月にデジタル事業の海外展開の強化に向けた新たな取締役候補者を発表しました。
新たに3人の候補者を選び13人中6人が外国人の社外取締役となりグローバルで多様な知見を生かしデジタル事業の海外展開を加速させる考えです。
2020年4月に企業の信頼性高めるトラスト事業を強化することを表明しました。
セキュリティ事業統括本部に「デジタルトラスト推進部」を新設し顧客企業の製造現場などで規程通りに生産活動が行われたことを検証したり証拠となるデータを保管したりするサービスなどを提供します。
2020年4月にマレーシアの<フュージョテックHD>を買収したと発表しました。
人工知能やビッグデータ関連サービスを手掛けており SaaS事業を手掛けています。
SaaS事業とは人工知能やデータ分析を使ったソフトウエアをクラウドを通じて提供するサービスです。
従業員は330人にもかかわらず人工知能にたけた人材やデータサイエンティストを260人抱えています。
2020年5月に新型コロナウィルスの飛沫感染を防ぐフェースシールドの生産を始めました。
医療現場への支援につなげるため全国の医療機関へ無償提供します。
2020年7月にスイス重電大手である<ABB>の送配電事業の買収が完了しました。
IT との相乗効果も見込める送配電分野で世界首位の事業基盤を迎え入れ原子力などが主体の電力事業の転換を急ぐ考えです。
2020年7月に<帝人>と素材の研究開発のDX推進に向けて協業すると発表しました。
デジタル技術の活用で素材開発の高度化と効率化を目指します。
2020年8月にメーカーや ITサービスの世界展開で<マイクロソフト>と提携しました。
製造現場の人や設備などのデータを吸い上げ設備の稼働状況や生産の進み具合を『見える化するサービス』を拡大します。
2020年9月に英国で原子力発電所の一貫プロジェクトから撤退すると発表しました。
再生可能エネルギーが台頭するなか2019年に計画凍結を発表しましたが総事業費が膨張して採算のメドが立たず建設から運営までを担う原子力発電所の一貫プロジェクトから撤退します。
2020年10月に非接触でエレベーターの呼び出しや行き先階を指定するサービスを始めます。
対話アプリ『LINE』を使ってエレベーターの呼び出しや行き先階の指定ができるサービスを10月16日から始めると発表しました。
今日の企業事例である<日立製作所>をすこし俯瞰して見てみましょう。
<日立製作所>は独自のデザイン思考の手法を活用して顧客企業のデジタル変革(DX)を提案できる人財の育成を急ピッチで推進しています。
社内での名称は「デザインシンカー」ですがトップレベルの『プロフェッショナル人財』を500人にする計画です。
デジタル化の波が進むにつれてどうデジタル化すればいいか分からないという顧客企業の声が増えてきました。
ユーザーを徹底的に観察しユーザーの課題を捉えたうえで課題を解決する『エクスペリエンスデザイン』(Exアプローチ)を提唱しました。
「デザイン思考で顧客の課題をくみ取り解決方法まで一緒に考えることで相手が本当に必要な製品やシステムを提供しようと考えた」「そのための手法がExアプローチだった」とデザインシンカーの育成を担当するデジタルソリューション推進本部の豊田誠司シニアエクスペリエンスデザイナーは話しています。
『Exアプローチ』は……
- 変える対象を考える『理解』
- 何に変えるかを検討する『展望』
- どうやって変えるかを検証する『納得』
という3つの工程で構成しています。
東原敏昭社長は2014年に就任して以来単純なモノ売りからの脱却を掲げ事業の売却と買収をそれぞれ2兆5000億円分実施しました。
売上高営業利益率は就任時の6.6%から2019年度は7.7%に改善しています。
「デジタル技術で世界のインフラをより良いものに変え社会イノベーションを起こす」と述べ現在は約1000人いるデータサイエンティストを2021年度に3000人に増やす計画を掲げています。
得意とする産業機器や鉄道などハードの製造・販売にとどまらずより収益性が高いサービスでも『稼ぐビジネスモデル』への移行が<日立製作所>にとって当面の課題になっています。


