コロナ禍で飲食や観光などの業界は売り上げが激減しました。
そんな状況下でも『塚田農場』の<エー・ピーカンパニー>は売上高が40%減でも赤字にならない態勢をつくりました。
さらに『第2波』と呼ばれる感染拡大の危機を迎えています。
しかし『第1波』と呼ばれる段階から着々と次の手を打っていました。
昼の定食を柱とした『つかだ食堂』地鶏料理の専門店『地どり屋つかだ』をそれぞれ都内などにオープン。
今秋には寿司店を開業し洋食も含めた多様な食事メニューや生鮮野菜半調理した食材セットなどを宅配する『キッチンクラウド』の展開にも乗り出す考えです。
『外部環境』が変化したことに対して嘆いている場合ではなくこの状況が常態化する『Newノーマル』を想定して『withコロナ』の時代に生き残るため自社の『強み』を生かした手を打つ。
これが今の時代に生きる経営者に『課せられた使命』であると考えています。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第406話<しまむら>です。
チェーン店を開業して全国展開へ1923年に『島村呉服店』を埼玉県にて創業しました。
1953年に株式会社<島村呉服店>を設立しました。
1961年に『しまむら』チェーン1号店を埼玉県東松山市に開業しました。
1970年に『東松山ショッピングセンター』を複合商業施設として開業しました。
1972年9月に株式会社<しまむら>へ社名を変更しました。
1997年に株式会社<アベイル>を設立し『カジュアル&シューズ アベイル』を開業。
1999年に服飾雑貨の専門店『シャンブル』専門店『バースデイ』を開業しました。
2002年に沖縄県へ進出したことで47都道府県へ展開しました。
2006年に靴専門店『ディバロ』の初単独店を開業しました。
<しまむら>のビジネスモデル2019年3月に『2019年2月期』の連結純利益が前期比46%減と発表しました。
暖冬の影響で冬物衣料の販売が伸び悩み商品や売り場の見直しに着手しましたが十分な成果が出ませんでした。
純利益は『2005年2月期』以来14年ぶりの低水準になります。
2019年4月に『2020年2月期』の連結純利益が前期比47%増との見通しを発表しました。
利幅の厚いプライベートブランド商品の拡販で採算を改善し値引きによる販売促進を減らして利益率の底上げを狙います。
<しまむら>の北島常好社長は……「既存店の立て直しが最優先課題だ」と述べています。
2019年6月に『2019年2月期』のPB商品の定価販売が前期比7ポイント低下したと表明しました。
プライベートブランド商品の定価販売した割合は77%で『2016年2月期』と比べ10ポイント下がりました。
「強化する商品数に絞り込んだがそれが売れず値引きするだけに終わってしまった」と<しまむら>の北島常好社長は述べています。
2019年6月にネット通販サイト『ZOZOTOWN』から撤退したと発表しました。
商品の売れ行きや顧客属性など店頭とは異なるネット上の傾向が分かったため全国に約2100店舗を展開する実店舗での販売に注力するほか自社で通販サイトを開設する考えです。
2019年6月に発表した『2019年3~5月期』の連結決算は純利益が前期比21%減でした。
天候不順で気温の低い日が多く肌着など夏物衣料品が振るわず冬物商品の在庫処分に伴う値引きセールの影響で利益率が低下しました。
2019年9月に発表した『2019年3~8月期』の連結決算は営業利益が前期比微増の143億円でした。
値引き販売の抑制で採算が改善し人件費など経費削減の効果も出ましたが売上高の80%を占める『ファッションセンターしまむら』の既存店売上高は6%減少しました。
2019年12月に『2020年2月期』の連結純利益が前期比1%増の見込みだと発表しました。
気温が高い日が多くダウンジャケットなど冬物商品の販売が振るわず台風上陸に伴う店舗の休業と営業時間の短縮も響いています。
2020年1月にバイオマスプラスチックを使った袋にレジ袋を切り替えると表明しました。
4月から順次店舗で配布する植物由来の原料を配合したバイオマスプラスチックに切り替えます。
<しまむら>のレジ袋の消費量は年間約2億枚になるため年間の石油由来のプラスチックの使用量を従来の20%強にあたる800トン削減でき二酸化炭素(CO2)の排出量を抑える効果も期待できます。
2020年1月に鈴木誠取締役が2月21日付で社長に昇格する人事を発表しました。
北島常好社長は販売不振の責任を取る形で会長に就任し経営体制を一新既存店の立て直しなどを進める考えです。
2020年3月に発表した『2020年2月期』の連結純利益は前期比18%減でした。
暖冬の影響で冬物衣料の販売が振るわず不採算店舗に関わる減損損失を計上したほか繰り延べ税金資産を取り崩して税負担も増えました。
2020年5月に藤原秀次郎相談役が9年ぶりに取締役に復帰したと発表しました。
藤原氏は小さな衣料品店<しまむら>を大手チェーンに育てた『中興の祖』ですが経験豊富な藤原氏の復帰で収益力の回復を目指す考えです。
しかし株主総会では高齢の藤原秀次郎相談役が9年ぶりに取締役に就く提案への反対票は33%にのぼりました。
2020年6月に発表した6月の既存店売上高は前年同月比27%増でした。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う『巣ごもり需要』で着心地のいい室内着の販売が伸びたほか夏物衣料が好調でした。
2020年6月に『2021年2月期』の連結純利益が前期比13%増の見込みと発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増えており所得や雇用環境の悪化による節約志向の高まりも廉価品を扱う同社にとっては収益機会となりそうでカジュアル衣料品の需要が高まり値引き抑制で採算も改善するとの見込みを立てています。
2020年7月に東京都で新型コロナウイルスの新規感染が過去最多を更新しました。
経済活動再開と感染防止の両立を迫られ自衛策として不要不急の国内出張を控え顧客の本社訪問についても商談件数を1時間あたり1社のみに限定しました。
2020年8月に猛暑日が続き冷感素材を使った肌着寝具やマットレスの販売が伸びました。
家の中で少しでも快適に過ごそうという人が増えたことが要因のようです。
第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「コロナの影響で暑さによる経済のプラス効果は限定的だが生活様式の変更で伸びる需要もあり企業は知恵を絞る必要がある」と述べています。
今日の企業事例である<しまむら>をすこし俯瞰して見てみましょう。
『しまラー』と呼ばれる女性得意客の来店頻度が鈍っています。
プライベートブランド商品でヒットがなかなか出ず消費者からみたブランドの特徴が見えにくくなっていることも要因の一つです。
地方での成長鈍化に対応するため『都心部戦略』で東京偏重になりヤング向けは強くなりましたが都市ばかりに目が行くようになり地方都市の40~50代の女性の離反を招きました。
季節の変わり目のセールで安く衣料品を購入するという発想は今の消費者にはありません。
個人間売買サイトの<メルカリ>や月額で新品の衣料品をレンタルできるサブスクリプション手法など消費者の需要や利用形態はリアル店舗だけではなくネットの利用など多様化しています。
<小島ファッションマーケティング>の分析によると国内で2018年に出回った衣料品は29億点と1990年と比べて約2.5倍に膨らんでいます。
これに対し購入されたのは約13億点にとどまり市場に投入された衣料品のうち半数以上が売れ残っています。
生産コストを抑えるために1990年代にアパレル各社が中国や東南アジアに進出しました。
一定数量を発注しなければ現地の工場が生産を引き受けてくれず需要よりも生産数を基準に計画を立てる傾向が強まりました。
アパレル業界特有の商慣習も過剰生産の背景にあります。
国内市場が先細りするなか流通企業は販売量を競う経営から消費者の購買意欲を促すビジネスモデルに転換することが喫緊の課題になっています。
さらに独自性のある商品を取り扱う専門店はネット通販と親和性が高いはずですが<しまむら>は自社サイトの開設を検討していますが実店舗中心のビジネスモデルから転換できていません。
これまでの成功体験から脱却して新たなビジネスモデルを構築することが生き残るための最大の課題です。


