<日立製作所>の上場子会社である<日立金属>の売却を検討していることを表明しました。
売却に向け外資系証券会社をファイナンシャルアドバイザーとして雇い入札の準備に入りました。
<日立金属>は日立製作所グループの『御三家』のうちの1社。
『御三家』だった<日立電線>は2013年に<日立金属>と合併。
もう1社の<日立化成>は2020年4月に<昭和電工>に売却されています。
<日立製作所>は……<日立化成><日立キャピタル><日立物流><日立工機><日立国際電気>などの上場子会社の株式を次々と売却していて<日立金属>と<日立建機>の2社が上場子会社として残っていました。
1956年以降に展開された子会社が事業を拡大して上場を目指す『分散経営』から脱皮をし『選択と集中』を旗印に新しい成長ステージに向けて歩み始めています。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第405話<ニトリHD>です。
創業の地は北海道札幌市1967年12月に『似鳥家具卸センター北支店』を北海道札幌市で創業しました。
1972年3月に株式会社<似鳥家具店>を設立しました。
1978年6月に<ニトリ家具>に商号を変更しました。
1986年7月に<ニトリ>に商号を変更しました。
2000年8月に<マルミツ>を完全子会社化しました。
2010年3月に<ニトリ分割準備会社>を完全子会社として設立しました。
2010年8月に会社分割により『持株会社制』へ移行しました。
販売部門を<ニトリ>とし物流部門を<ホームロジスティックス>として分割し持株会社を<ニトリホールディングス>という社名に改めました。
2016年7月に『ニトリ小樽芸術村』をオープンしました。
<ニトリHD>のビジネスモデル2019年2月に人材マネジメントプラットフォームを構築すると発表しました。
『Workday』の導入により社員の経歴やスキルキャリア志向などのデータを基に社員一人ひとりに最適化した学習カリキュラムの提供を目指します。
2019年3月に札幌中心部で複合施設を開発すると表明しました。
札幌市が所有する土地を借り地上10階地下2階建ての建物を新築しバス乗降場や美術館ホテルが一体になった複合施設を開発します。
2019年4月に発表した『2019年2月期』の連結決算は売上高が前期比6%増でした。
国内の店舗数は38店増の505店となり客単価が伸びたことにより既存店売上高も前年を上回ったことで32期連続の増収営業増益を達成しました。
冷感寝具『Nクール』や花粉の吸着効果を期待できるカーテンなど機能性を高めた商品が貢献しました。
2019年6月に人材管理・教育の新手法を2019年秋をメドに導入すると表明しました。
<グロービス>のオンライン学習システムを全社員が無料で利用できるようにし新たな人事管理システムも導入し学習成果などを反映した人員配置にも繋げることで多様な人材を育て今後の事業拡大に繋げる考えです。
2019年7月に発表した『2019年3~5月期連結決算』は純利益が前期比3%増でした。
機能性を高めた寝具や商品群を強化している家電などが好調で『令和』への改元に伴う大型連休で来店客数が伸び国内の既存店売上高は5%増えました。
2019年7月に<中国アリババ集団>が開発した画像検索エンジンの導入を発表しました。
自社アプリに導入することで家具や日用雑貨の写真をアプリに入れるとニトリ商品から同一品や類似品を自動で探して表示するため日常生活やSNS上で見かけた商品などが簡単に見つけやすくなります。
2019年7月に<札幌市><北海道大学>とIT人材育成で協力する産官学連携協定を結びました。
<北海道大学>で文理に関わらずIT技術を学べる寄付講座を開いたり似鳥昭雄会長の個人資産で学生向けの奨学金制度を設けたりします。
店舗運営から製造、物流などでIT技術を活用しているため高度なIT技術を使える人材と学生の段階から接点をつくる狙いです。
2019年10月に発表した『2019年3~8月期連結決算』は営業利益が前期比1%減でした。
上期としては2年ぶりの減益でしたが改装などの戦略投資の拡大が大きく影響しています。
既存店の売上高は4%近く増えていて営業利益は従来予想を上回っています。
2019年11月にシャープ旧本社ビル跡地で新店を開業することを表明しました。
シャープ旧本社ビル跡地を2016年に取得しましたが『2020年東京五輪・パラリンピック』後に新店を開業する予定です。
2020年3月に似鳥昭雄会長は鈴木直道北海道知事にマスク50万枚の目録を手渡しました。
新型コロナウイルス感染症対策が目的で鈴木知事は学校や介護現場などにできるだけ早く提供したいと述べています。
2020年6月に発表した『2020年2月期』の連結決算は純利益が前期比5%増でした。
接触冷感素材を使用した『Nクール』や吸湿発熱素材を使った『Nウォーム』シリーズなどの寝具・寝装品の売上が好調で為替予約による売上総利益率の改善も寄与しました。
2020年4月に『ニトリ』31店と『デコホーム』36店を休業すると発表しました。
多くは商業施設や百貨店内にある店舗で政府の緊急事態宣言を受けた対応です。
必要な生活関連用品を求める消費者が大変多いとの判断から今回休業しない店舗では従業員の健康管理の徹底や店内の定期消毒をして営業を継続します。
2020年6月に自社株が前週末比2%高の上場来高値を約2年ぶりに更新しました。
2万円の大台まであと50円に迫り幅広い消費者に受け入れられ株式市場でも評価されています。
新型コロナの影響から在宅勤務の需要でホームオフィス家具などが好調です。
家で過ごす時間が増えたことでより住みやすい住環境に整えようとする需要も取り込んでいるようです。
近隣の店が休業していたり店舗で品切れしたりしてもネットで気軽に買えることもあり『ニトリネット』も好調で通販事業の増収が続いています。
2020年6月に発表した『2020年3~5月期』の連結決算は純利益が前期比25%増でした。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の緊急事態宣言による『外出自粛要請』で『巣ごもり需要』が高まり収納整理やキッチン・ダイニング用品ホームオフィス家具の売上が伸びました。
ホームオフィス家具は在宅勤務の増加に伴いパソコンデスクやワークチェアなどが大きく伸びました。
臨時休業した110店舗は国内店舗の5分の1に当たりますが開いていた店が前年実績を2〜3割上回り臨時休業の受け皿としてEC(電子商取引)も機能しました。
通販が前年比2.7倍と大きく伸び3~5月期全体では40.9%増と過去最高の売上高となりました。
今日の企業事例である<ニトリホールディングス>をすこし俯瞰して見てみましょう。
他の小売り会社では感染が広がった中国の生産拠点が稼働を停止したことで商品が調達できなくなるケースがありました。
<ニトリ>は大半の商品が感染が軽微だったベトナムの工場で生産されているため一部の商品を除き欠品が避けることができました。
百貨店内にある店舗などを除き感染防止対策をしたうえで営業を続行し主力店舗が外出自粛の影響が小さい郊外に集中していることも奏功し販売面で貢献しました。
さらに『巣ごもり消費』で整理・収納用品の販売が増加し在宅ワークの拡大によりPCデスクや椅子などの販売も伸び店舗だけでなくネット通販も好調でした。
<ニトリホールディングス>傘下の物流事業会社である<ホームロジスティクス>は約150の中小運送会社と委託契約し商品の宅配や全国約550店舗への搬入を担っていますが今秋にもブロックチェーンを利用した新たな物流システムを稼働させます。
人工知能による配送ルート策定や在庫管理の高度化など約500の機能も開発し運送会社に導入を促します。
東京から大阪まで荷物を運んだトラックが空荷で帰ってくるのは無駄ですが新たな物流システムではブロックチェーンを使ってトラックの現在地や作業内容を追跡し機動的に発注できる仕組みを整える考えです。
国内アパレル大手や食品大手と物流面での提携で話しを進めていますがデジタル技術を投入し新たな売り上げを稼ぐ新規事業に変貌させれば家具販売に次ぐ事業の柱を育成することができます。
デジタル技術で事業を変革する『DX』を導入することで<ニトリホールディングス>の業態を変える可能性が高くなります。
*DXとは?
(デジタルトランスフォーメーション)企業がビジネス環境の激しい変化に対応しデータとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に製品やサービスビジネスモデルを変革するとともに業務そのものや組織プロセス、企業文化・風土を変革し競争上の優位性を確立すること(経済産業省:ガイドラインより)


