2008年のリーマンショックを受け『100年に一度の大転換期』と言われ2020年の新型コロナウィルスで『企業の価値観が問われる時代』を迎えることになりました。
この難局を乗り越えて生き残るためにはどのような考え方どのような視点を持ち取り組んでいけばいいのでしょうか?
今日のメルマガの企業事例は<花王>です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取ってぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
今日の企業事例[第382話]のテーマは『経営の軸を大きく転換する時期』石鹸などの販売店からメーカーに転身1887年6月に創業者の長瀬富郎氏が石鹸や文房具などを販売する<長瀬商店>を設立しました。
1923年に原料仕込みから包装までを一貫生産する直営工場で石鹸の生産に乗り出しました。
1925年に<花王石鹸株式会社長瀬商会>を設立しました。
1946年に<花王石鹸株式会社長瀬商会>を株式会社<花王>に社名を変更しました。
1964年にタイに初の海外拠点となる<花王インダストリアル>を設立しました。
1985年10月に<花王>株式会社へ社名を変更しました。
2006年1月に化粧品大手の<カネボウ>を買収して子会社化しました。
2016年に米国<コリンズインクジェット>を買収し<花王コリンズ>に改称しました。
2017年に米国<オリベヘアケア>を買収しました。
<花王>のビジネスモデル2018年11月に5つの新技術を2019年に製品にすると発表しました。
- 肌を緊密になめらかに整える作用がある人工皮膚の『ファインファイバー』
- 空気を含んだフィルム容器の『エアインフィルムボトル』
- 顔の皮脂中のリボ核酸から健康状態などを分析する技術
- メラニン色素を活用することで容易に髪の色を変える染髪技術
- 汚れがつきにくくなる洗剤用の界面活性剤
5つの技術については製品として発売する前に技術概要を公表することで異業種の企業との共同開発などのオープンイノベーションを進める考えです。
<花王>の沢田道隆社長は……「価値観が多様になるなか自前主義を貫くのは限界がある」「従来の研究資産の活用方法を大転換し外部と協力したオープンイノベーションを進めたい」と記者会見で述べています。
2018年12月に『ESG』の視点を設備投資の実施基準に取り入れると表明しました。
『ESG』は
- Environment(環境)
- Social(社会)
- Governance(企業統治)
の頭文字を取った略語ですが環境や社会への配慮企業統治の向上を通じて企業価値の拡大を目指す考え方です。
『ESG』に積極的に取り組むとブランド力向上や事業リスクの低減に繋がり持続的な成長が可能になると考えられています。
たとえばプラスチック使用量を大幅に減らせる容器を世界的に普及させることができればライセンス料を得たり先行者としてのブランド価値を高めたりできます。
50兆円にのぼるプラスチック容器の世界市場で使用削減の流れが強まっています。
11月に発表した新型容器は単一のプラスチック素材を使用しているため100%のリサイクルが可能です。
2019年2月に発表した『2018年12月期』の連結営業利益は前期比1.4%増でした。
6期連続で過去最高を更新しましたが会社計画は下回りました。
中国でプレミアムブランドとして強い地位を築いた紙おむつ『メリーズ』が他社と競合して収益力が低下しました。
「通常25%程度の新製品や改良品の比率を30%以上に引き上げる」と沢田社長は述べています。
2019年4月に『2030年』までに実現を目指す『ESG戦略』を発表しました。
環境負荷の少ないプラスチック製の包装容器を年3億個流通させるほか工場を含めた同社の全拠点でリサイクルできない廃棄物をゼロにするなど『消費者・社会・地球環境』の3つのテーマで構成し2030年までに達成する19個の目標を立てました。
2019年5月に『女性が活躍する会社ベスト100』で<花王>が1位になりました。
『日経ウーマノミクス・プロジェクト』と『日経ウーマン』による2019年版の女性活用度調査の結果です。
女性正社員の半数以上が既婚者で子どものいる女性正社員比率は45%着実に女性管理職を増やし2018年12月時点の女性管理職比率は27%となりました。
2018年はグループ会社2社の社長に女性が就任するなど性別や国籍を問わず能力のある人材を登用しています。
2019年9月に『LINE』を活用して肌の状態を確認できるサービスを始めたと発表しました。
LINEで友達に登録するとサービスを受けられスマートフォンで自分の顔などを撮影すると肌年齢や改善点をその場で解析します。
2019年12月に最新の商品やサービスを体験できる店舗を東京・銀座にオープンしました。
訪日外国人の多い化粧品の街という立地を生かし情報発信拠点と位置づける狙いです。
2019年12月に肌分析サービスを2020年春に実用化すると表明しました。
人工知能開発の<プリファード・ネットワークス>と組みサンプルデータの解析精度を高め皮脂から採取したRNA(リボ核酸)を活用した肌分析サービスを実用化します。
2020年2月に発表した『2019年12月期』の連結決算は純利益が前期比4%減でした。
昨年10月の消費増税増税後の買い控えが重なり秋冬の書き入れ時に日用品の販売が振るいませんでした。
「想定していた以上に増税後の落ち込みが大きかった」「基本的に中国人の訪日客需要は見込まない」と沢田道隆社長は記者会見で述べました。
【ここからがメルマガの加筆文です】沢田道隆社長は『経営の軸足』を『短期の業績重視』から『中長期の企業価値向上』へシフトする考えを表明しています。
「財務的な企業業績中心の会社から企業価値向上を目指す会社に変わっていく必要がある」「財務的な業績だけでなく企業価値をいかに上げてきたかを反映させるといったことを検討している」「数字に落とし込みにくいため難しいが日々の仕事でどれだけ『ESG』の取り組みをしたか360度で評価するなど方法はあると思う」「当社を支えるのは『ESG』と技術だ」
これら沢田道隆社長の言葉から読み取れるように『ESG(環境・社会・企業統治)』への取り組みこそが企業価値の向上へ繋がる道筋との考えを持っています。
2030年に売上高を2兆5000億円に拡大する目標を掲げています。
これが実現できれば業界3位のフランス<ロレアル>は視野に入ります。
2020年12月期は中期経営計画の最終年度にあたり売上高営業利益率を15%に高める目標を掲げています。
<花王>は強みがある技術で革新的な商品やサービスを生み出し続けられるかが当面の経営課題として問われています。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
100年に一度の大転換期を迎え新型コロナウィルスの影響で大きく時代の価値観が変革する今……どの業界や分野においても『経営の軸足』を再考する必要に迫られている。
この時代の変化に『気付く』ことができ手を打つことができた企業だけがこれからの時代にも生き残ることができ事業を継続することができる。


