あなたの会社(事業)が長期的に縮小傾向にある業界であれば将来の事業の盛衰を見据えて『事業継続』のための次の一手を今から打っておく必要があります。
会社の事業承継を考える場合は『持続的経営』に可能なメドをつけて会社経営を承継する必要があります。
あなたの会社の事業を承継してこれから経営を担う者にとってはますます不透明感を増す市場や予測不可能な外部環境の変化への対応で舵取りするだけでも困難になります。
あなたの会社の将来を見据えた『ミッション(会社の目的)』と『ビジョン(事業の目標)』をあなたが経営者という立場の段階でしっかりと確立しておくことが事業承継にとって最重要課題になります。
今日のメルマガの企業事例は<JXTGホールディングス>です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
企業事例[第357話]のテーマは『業界再編と事業の構造改革への取り組み』規模拡大による生産力・販売力の強化を図る2006年に<新日本石油>と<ジャパンエナジー>が業務提携を締結しました。
開発・精製・物流・燃料電池・技術開発の各分野における業務提携になります。
2009年10月に<新日本石油>と<新日鉱HD>は経営統合契約を締結しました。
2009年12月に統合後のサービスステーションブランドを『ENEOS』に統一すると発表しました。
2010年4月に<新日本石油>と<新日鉱HD>が持株会社<JXホールディングス>を設立しました。
2010年7月に傘下の子会社を合併・再編して中核事業会社として<JX日鉱日石エネルギー><JX日鉱日石開発><JX日鉱日石金属>の3社を発足させました。
2016年8月に<東燃ゼネラル石油>との経営統合契約を締結しました。
2017年4月に<JXホールディングス>が<東燃ゼネラル>を完全子会社化しました。
同時に<JXホールディングス>を<JXTGホールディングス>に<JXエネルギー>を<JXTGエネルギー>に名称変更しました。
<JXTGホールディングス>のビジネスモデル2018年4月に<JXTGエネルギー>の杉森務社長が次期社長に就任すると発表しました。
<JXTGホールディングス>の現社長である内田幸雄氏は会長に就任します。
杉森氏は<JXTG>の誕生後に価格体系を一本化し安価な石油製品の流通を絞りました。
激しかった価格競争がようやく落ち着き杉森氏の改革を断行する豪腕ぶりが業界にとどろきました。
2018年5月に発表した『2018年3月期』の連結決算は純利益が3619億円でした。
経営統合前の<JXホールディングス>と<東燃ゼネラル石油>の前期の合算値に比べ70%増えました。
石油製品の市況好転でガソリンなどの販売マージンが大きく改善しました。
<富士フイルムHD>へ譲渡を決定した米国と日本の医療関連会社の売却益も利益を押し上げました。
2018年7月に杉森務社長は『石油主体の事業体制』を変える考えを記者の取材で述べました。
2019年3月期までに基本戦略を策定し遅れていた再生エネルギー事業の展開を加速させる考えです。
次世代エネルギーとして期待される水素の普及にも取り組みます。
2019年度に旧<東燃ゼネラル石油>の『myでんき』を旧<JXホールディングス>の『ENEOSでんき』にブランドを一本化します。
現在の電気販売は首都圏ですが関西と中部にも進出するなど電気とガスの販売も拡大する考えです。
2018年9月にイラン産原油の輸入を一時停止しました。
イラン制裁を再開した米国トランプ政権からイラン産原油の輸入停止を求められそれに応じました。
2018年8月に発表した『2018年4~6月期』の連結営業利益は前年比5倍の2273億円でした。
安売り業者への供給を絞るなど採算改善を徹底したほか原油高も利益を押し上げました。
しかし小野田泰取締役常務執行役員は決算会見で……「生き残っていくために羅針盤として長期ビジョンを策定する」と世界的な低炭素社会への動きに危機感を示して高収益の結果にも喜びを見せませんでした。
2018年9月にプラント補修大手の<新興プランテック>と子会社が経営統合すると発表しました。
<新興プランテック>は石油や石油化学プラントの施工管理やメンテナンスに強みを持っていますが国内の石油製品需要の減退で製油所などプラントの設備市場も縮小するため2019年4月に子会社の<JXエンジニアリング>と経営統合することで基本合意しました。
2019年4月に<出光興産>と<昭和シェル石油>が経営統合しました。
これにより石油元売り業界は最大手の<JXTGホールディングス>との合計シェア80%という2強体制になりました。
元売り2強でガソリンの供給過剰はなくなるという再編後の予想を石油商社の営業関係者はしています。
ガソリンの供給過剰がなくなれば元売り各社の収益を押し上げることになります。
2019年5月に発表した『2019年3月期』の連結決算は純利益が11%減でした。
2018年10~12月の原油価格急落で石油製品精製の利幅が縮小し原油在庫の評価益もなくなりました。
2019年7月までに約1万3千店ある給油所のブランドを『ENEOS』に統一しました。
コンビニエンスストア大手に次ぐほどの店舗数を保持していますが現状の給油所としての機能に対してどれだけの付加価値を高められるか?
生き残り策が問われています。
国内の石油製品需要は人口減少などの影響で年に2~3%ずつ減少しています。
国内の石油需要は2040年までに半減すると言われています。
石油元売り最大手の<JXTGホールディングス>は再編に次ぐ再編で売上高が11兆円を超える規模になりましたが需要半減時代をどう生き抜くのでしょうか?
<出光興産>と<昭和シェル石油>が2019年4月に経営統合したことで20社近くあった元売り会社は<コスモエネルギーHD>を加えた大手3社にほぼ集約されました。
各社は低価格以外のサービスを顧客に提供できるかどうかという知恵比べの競争力が問われています。
<JXTGホールディングス>は『2040年における長期ビジョン』を2019年5月に発表しましたが将来の成長事業領域(ドメイン)として洋上風力や地熱といった再生可能エネルギーによる大型の発電事業や石油化学事業を育成して補っていく考えを示しています。
現時点で製油所を11拠点製造所を5拠点抱えていますが内需の縮小で統廃合は避けられません。
しかし様々な痛みを伴うだけに決断は容易ではありませんが事業の構造改革のためには不可欠です。
「自前主義を捨てスタートアップ企業とも連携する」「100億円規模の投融資をする資金を確保したが失敗しても構わない」「M&A(合併・買収)や提携も成長事業の育成に役立つなら当然やる」「あと4年で成長事業に道筋をつけて将来に向けた大きな方向性を出す」と事業の構造改革や異業種を巻き込んだ再編について杉森務社長は取材に応えています。
全国に約1万3千カ所の給油所のネットワークがあり来店客が訪れやすい好立地が多い利点を生かし稼ぐ力を高めるため……『様々な生活関連のサービスを提供する企業』に変える取り組みになります。
現在のビジネスモデルから1段階上の付加価値を加えた新たなビジネスモデルを構築していく杉森務社長の経営者の覚悟が見えます。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
業界全体が縮小傾向にある会社は……今までに培った自社の資産を活かし次に主力とする事業は何が良いのか?
あの手この手を使ってチャレンジしていく必要がある。
そのために重要となる指針は自社のミッション(企業の目的)でありビジョン(事業の目標)である。


