第307話のテーマは『大きく変動する収益モデル』です。
ラジオやテレビの普及にも貢献
<村田製作所>と言われても何を作っている会社かわからない。
社名を聞くだけではどこかの町工場と思う人もいるはず。
B2Bの会社なので一般人には馴染みのない会社だと思います。
しかし経済新聞を読んでいる人や企業に関心のある人であれば知らない人は誰もいないと思う世界有数の電子部品専業メーカーです。
1944年10月に創業者である村田昭氏により京都市で工場が設立されました。
「碍子(がいし)」などの陶器を製造する町工場でしたが当時の重要な情報源のひとつであったラジオの温度補償用に使われた円筒形の磁器コンデンサを製造し始めAMラジオ用のセラミックフィルタを商品化しました。
カラーテレビの登場によりセラミックフィルタを高周波化・精密化してヒット製品になりました。
村田製作所のビジネスモデル
2017年4月に「2017年3月期」の連結決算は純利益が前期比23.4%減と発表しました。
製品価格の値下がりやモジュールの大幅な減収がその要因です。
2017年6月にイタリアのソフト開発ベンチャーである<ID―ソリューションズ>を買収しました。
<ID―ソリューションズ>はパルマ大学発のベンチャー企業で無線自動識別(RFID)機能を持つICタグのシステム開発が強みです。
<村田製作所>は自社のICタグ部品と組み合わせて在庫管理サービスを一括提供できる体制を築きます。
すでに部品を販売していますがシステムとセット販売することでコスト削減などの提案をしていきます。
同じく2017年6月に横浜市の「みなとみらい21地区」に研究開発拠点を新設すると発表しました。
「みなとみらい21地区」に集まる自動車などの各企業との連携も図りながら自動車や電池や医療関連分野など向けに電子部品を開発していく考えです。
2017年9月に<ソニー>から買収する海外の電池工場で2020年3月期までに500億円を投資します。
スマートフォン用リチウムイオン電池などの売上高を30%増に引き上げ新たに自動車の電装品向け電池にも参入する考えです。
中国江蘇省とシンガポールの工場に電極の加工装置や試験設備を導入します。
スマホやタブレット端末向けの電池で現在は15%の世界シェアを20~30%まで高める考えです。
エンジンのアイドリングストップ機能や電装品に使う車載機器用電池など自動車向け電池にも参入します。
2017年10月にアメリカの医療機器メーカーである<バイオス・メディカル>を買収しました。
ヘルスケア・メディカル分野を成長分野の1つと位置づけていて買収によって成長に弾みをつける狙いです。
<バイオス・メディカル>はヘルスケアIT分野のベンチャー企業で心拍数や呼吸数などを計測するチェストセンサーなどを手掛けています。
<村田製作所>の主力である電子部品事業は需要の変動が大きいという課題があります。
このため安定的な収益を期待できる医療機器などを新たな事業の柱として育成する考えです。
同じく2017年9月に<京都府>と<ソフトバンク>と「IoT」で地域を活性化する「スマートシティ化促進プロジェクト」を立ち上げました。
たとえば橋などインフラのIoTデータで老朽化を判断するとか道路の交通量を渋滞対策に生かすなどの観光や交通や災害対策などで協力します。
2017年10月に<ソニー>から石川県にある部品工場を取得しました。
スマートフォンに搭載する樹脂多層基板の生産が需要に追いついていなかったため樹脂多層基板の生産工場として使い全体の生産能力を2018年春には2016年度比の2倍強に増やす考えです。
2017年11月に岡山県瀬戸内市の工場でスマートフォン用電子部品に使うセラミック原料の新生産棟を需要増に対応して建設すると発表しました。
原料となる粉状の鉱物を成形・焼成してセラミック原料にして電気をためる特性を出すための設備を岡山でも生産することにしました。
2017年11月に携帯電話の次世代通信「5G」に使う通信部品に参入する方針を発表しました。
成長期待の高い自動車向けの電子部品を2018年3月期の売上高を年10%のペースで増やす計画です。
村田恒夫会長兼社長は……「新たな市場を狙い通信部品の販売拡大を目指す」と事業説明会で話しています。
2018年4月に電気自動車向け電子部品の生産能力増強に2019年度末までに最大1000億円を投じることを明らかにしました。
主力だったスマートフォン市場が頭打ちになるなかで投資の軸足を成長するEV向けに移して収益源を多様化する考えです。
このようにスマートフォンの部品供給市場においては圧倒的シェアを誇る<村田製作所>ですがスマートフォン市場の浮き沈みが大きく市場も頭打ちになるなかで安定した収益を得られる第2、第3の成長の柱を育てることが喫緊の課題になっています。
従来の最先端品で先行し続けるビジネスモデルではなく第2、第3の成長の柱に沿った新たなビジネスモデルを構築する必要があります。


