第272話のテーマは『 M&Aによる事業拡大』です。
(ブログ=月水金の平日投稿です)
3人の尊敬する経営者
尊敬する経営者の方は多いですが無理やり3人に絞るとすれば……◉ 鈴木敏文氏(元セブン&アイHD・CEO)◉ 丹羽宇一郎氏(元伊藤忠商事社長)◉ 永守重信氏(日本電産・創業者)この3人の経営者が尊敬する経営者だと2000年の頃から周囲に話していました。
<日本電産>の創業者である永守重信氏は尊敬する経営者のひとりですが1973年4月に京都で精密小型ACモーターを生産する会社を設立しています。
1976年4月にはアメリカの現地法人である<米国日本電産>を設立しました。
1984年2月にアメリカの<トリン>の軸受ファン部門を買収しましたがこれが<日本電産>で初めての本格的なM&Aの案件になります。
<日本電産>のビジネスモデル
2016年12月にアメリカのエレベーター設備メーカーの<カントンエレベータ>の買収を発表。
低中層施設向けエレベーターのカゴ(籠)とカゴが昇降するガイドレールなどの設備を手掛けています。
これは「詰め物型買収」と呼ぶ買収シナジーを高めるための戦略的なM&Aになります。
2012年11月に買収したエレベーター用モーターや制御機器のアメリカの<キネテック>の事業をカゴ(籠)の事業で補完することでエレベーターの完成品に近づけて事業の利益率を高める狙いです。
同じく12月に京都のけいはんな学研都市で生産技術研究所の建設開始を発表しました。
IoTやロボットや人工知能のほか材料や加工法などの基礎技術を研究します。
さらに2016年の年末からは俳優の佐々木蔵之介氏を起用したテレビコマーシャルや新聞広告を出稿。
「広告を出すぐらいならば生産設備の1つでも買った方が良いと思っていた」という永守社長ですが……<日本電産>を知っている学生やその親層が少ないことに危機感を抱き優秀な人材採用のためには知名度向上が欠かせないと考え「2020年にはBtoC企業並みの知名度にする」と大号令をかけました。
2020年までの広告費も300億円程度の広告宣伝費を考えています。
2017年1月には2020年の2兆円の売上目標に向けて技術者の採用を加速する方針を示しました。
国内では管理者クラスの技術者を2016・17年度の2年間で1000人採用する目標を立てましたが人工知能やソフトウエアの開発者などこれまで在籍していない技術者を集めました。
2017年2月にアメリカの電機大手である<エマソン・エレクトリック>の産業用モーターや発電機などの事業を買収しました。
産業・商業分野の製品群を強化できるほか欧州や北米でのブランド力と顧客基盤を獲得できるなどの相乗効果を見込んでいます。
2017年3月にアメリカのプレス関連機器メーカーである<ヴァムコ・インターナショナル>を買収したと発表しました。
グループで手掛けるプレス機と併せて販売することで顧客に対する提案力を強化する狙いです。
2017年7月にはイタリアの家電部品メーカーである<LGBエレットロポンペ>を買収しました。
ヨーロッパの家電メーカー向けにモーターや関連する部品の販売を強化する狙いです。
<日本電産>は今回の企業買収で通算54件目の買収案件になります。
企業の買収に関しては……「過去に54社の企業をM&Aしてきた。
買収した時点ではなぜそんな企業を買うのかと疑問を呈された」「当社の事業とは関係ないのではとも言われたが今やすべて関係している」と永守社長は記者の取材に答えています。
<日本電産>はスマートファクトリー戦略で工場の自動化を急ピッチで進めています。
自動化の工場では自律走行する搬送装置やアーム型ロボットを導入しています。
自動化の工場での必要人員は従来の20%程度で済んでいます。
自社の稼ぐ力を自動化で高めると同時にそれを顧客の目で実際に確認してもらい関連製品の販売につなげる戦略のことを工場の「ショールーム」と呼んでいます。
アジアのグループ会社工場で人工知能やロボットを活用して自動化するスマート工場化を進めていて2016年3月末に約8万人いた従業員数を2017年6月には約4万8000人へ大幅削減することに成功しました。
1年間程度で3万2000人の人員減を達成しましたがアジアでは短期間で辞める従業員が多く募集活動を抑えると自然に人員が減るためリストラによる人員削減は実施していません。
2017年12月にドイツの車載向け電子制御ユニットの設計・開発会社である<ドライブエクスパート>を買収しました。
電気自動車などの普及で車載用部品の電動化が進むと見込まれていますがソフトウエア面からもモーターなどの車載用部品を強化する狙いです。
同じく12月にフランスの<PSAオートモービルス>と折半で合弁会社を設立すると発表しました。
電気自動車に使う省エネルギー型の駆動用モーターの開発と生産を目指します。
2018年2月には吉本浩之副社長が6月20日付で社長兼COOに昇格すると発表しました。
永守社長は2030年度に売上高10兆円という高い目標を掲げておりそのなかでも車載部品は一つの柱で2030年度に売上高4兆円という目標を持っています。
吉本浩之氏は<タイ日産自動車>の社長を務めていたキャリアもあることから大きな期待を寄せられていると思われます。
<日本電産>は事業の重点をハードディスク分野から家電、自動車、ロボット部品分野へと転換しています。
吉本浩之氏が新社長としてM&Aで大きくなっている国内の組織をどうまとめていくか?
また海外のM&Aで広がっている組織をどうまとめていくか?
今後もM&Aを繰り返して拡大を続けるビジネスモデルは変わらず継続していくと思われます。
(次回ブログ=5月28日月曜投稿です)


