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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第260話 三井物産のビジネスモデル

2018年4月23日 執筆:渡邉ひとし

第260話のテーマは『資源に大きく依存する商社』です。

(ブログ=月水金の平日投稿です)

日本の総合商社は世界に類がない

日本の総合商社といえば日本特有の業態であるため海外でも「Sogo Shosha」と呼ばれていますがすぐに名前が浮かぶのは<三井物産><住友商事><三菱商事>の3社の財閥系商社です。

それ以外に「関西5綿」と言われた……◉伊藤忠商事◉丸紅◉東洋棉花(トーメン→豊田通商)◉日本棉花(ニチメン→双日)◉江商(兼松江商→兼松)この中から<伊藤忠>と<丸紅>を加えて「5大商社」と呼ぶようです。

この2社は<大建産業>が戦後の財閥解体により<伊藤忠>と<丸紅>に分割されました。

商社で一番歴史が長いのは<三井物産>で1874年に設立された<先収会社>が<三井物産>のルーツになっています。

<三井物産>のビジネスモデル

2016年11月に医療機器大手である<パナソニックヘルスケアHD>に出資。

アメリカの投資ファンドである<コールバーグ・クラビス・ロバーツ>に続いて第2位の株主になりました。

これは2016年3月期に資源価格が急落して戦後初の最終赤字になったことを受け価格変動の大きい資源以外の分野の事業育成を急いでいるための投資です。

2011年5月には東南アジアで富裕層向け病院を運営する<IHHヘルスケア>の株式30%を取得。

2016年7月にもアジア最大手の中間所得層向け病院の<コロンビアアジアグループ>に出資。

2016年8月には米国最大手の透析クリニック事業会社の<ダビータ>傘下になる<ダビータ・ケア>に出資しています。

さらに2016年1月にドイツの<バイエル>から糖尿病患者用血糖測定器の事業を買収。

<三井物産>は2016年4月に◉ヘルスケア関連事業◉医薬品事業◉アウトソーシングサービス事業◉人材・教育などを再編成したヘルスケア・サービス事業本部を発足して「ヘルスケアエコシステム」を世界の国や地域で構築しようとしています。

「ヘルスケアエコシステム」とは病院を中核プラットフォームとして◉専門医療◉医薬◉情報◉サービスなどの各種周辺事業を有機的につなぎ合わせることで医療の質と効率性を高めていく次世代型の医療インフラです。

2020年3月期までに医療分野へ1200億円を投資する方針です。

2016年12月に<ロイヤル・ダッチ・シェル>から米国で原油・ガスの権益を取得しました。

そしてメキシコ湾の4鉱区のそれぞれ20%の権益を総額1500億円超で買いました。

中長期的に見れば新興国の資源消費は増加するため新興国の将来の需要を考えて原油価格が低いため投資を決めました。

2017年度から始まる「3カ年の新中期経営計画」では強い資源をより強くする方針です。

安永社長は「我々にしかアクセスできない資産を徹底的に安く買う」と述べています。

<三井物産>は資源分野で活路を見出す考えのようです。

2017年度に<新日鉄住金>の鉄鋼商社である<日鉄住金物産>の出資比率を引き上げます。

<三井物産>の傘下に鉄鋼製品の商社を抱え本体でも鉄鋼製品の事業を持っています。

今後は<日鉄住金物産>と重複する事業を整理して役割分担をしていきます。

2017年1月にロンドンとケンブリッジなどを結ぶ主要鉄道路線の4割の権益を事業主体であるオランダ国鉄から取得してイギリスで鉄道事業に参入すると発表。

ブラジルで旅客や貨物の鉄道事業を手がけ車両納入やインフラ整備でも鉄道事業のノウハウを培ってきました。

イギリスでは<JR東日本>などと組んで中部の主要路線に参画する入札にも参加。

イギリスやヨーロッパなどで旅客鉄道事業を広げていく狙いです。

2018年3月期の純利益は過去最高を更新する見込みです。

総合商社では3期ぶりに利益水準で<伊藤忠商事>を抜いて2位になる見込み。

ただし資源高の恩恵を大きく受けて収益が拡大しています。

鉄鉱石液化天然ガスなどの資源事業が安定的に収益を生むという見方に他の大手商社が懐疑的で新規投資に慎重になっていますが<三井物産>は継続的に資源分野への投資を続けています。

2017年度からの中期経営計画では◉金属・エネルギー◉機械・インフラ◉化学品を中核分野と位置づけて収益基盤を強化して得た資金をヘルスケアなどの成長分野に振り向けて次の柱を育成していきます。

ただし現実は純利益に占める資源事業の比率が70%(17年4~12月期)です。

45%の<三菱商事>や23%の<伊藤忠商事>に比べて資源への依存が大きくなっています。

<三井物産>の安永竜夫社長は……『我々は製品をつくる会社ではなくシステムをつくる会社でもない。

創っているのは自ら考えて行動できる人材とその人材が生み出す新しい発想とビジネスモデルでありそれを顧客に提供することで生まれる新しい価値ということになる。

「人の三井」の社員が目指すのは時代の先駆者であること。

それを私は「ジャングルガイド」と表現している。

単なるガイドにとどまっていては新しいビジネスは生まれない。

ソリューションを提供し新たな事業をつくっていかないといけない。』

と2017年11月に開催された「世界経営者会議」で講演しています。

さらにチーフデジタルオフィサーを新たに任命したことに関しては『既存のビジネスモデルを進化させ全く新しい価値を生み出す』と期待を込めて語っています。

<三井物産>にとって「資源事業」はこれまで支えてきた中核事業でしたが今後は「非資源事業」を育てていき「資源事業」とのバランスをどう決めるかが最大の課題になります。

今後の<三井物産>のビジネスモデルがどうなるかを見ていきたいと思います。

(次回ブログ=4月25日水曜投稿です)

このことから何を学べるでしょうか?

市況により大きく左右される企業は……安定して収益を得られる成長分野の事業を育てていき新たな事業の柱を立てる必要がある。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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