第251話のテーマは『独自の成長分野の開拓』です。
(ブログ=月水金の平日投稿です)
やり手の営業マンが牙城を崩した
広告会社のときに制作部のデザイナーが活用したのは<キヤノン>の大型カラー複写機でした。
出力枚数は驚くほど多いためメンテナンスに訪れる担当者の方がいつも驚き、嘆いていました。
カラー複写機用の用紙も尋常な枚数ではないこともあり頻繁に補給されていましたがメンテナンスの方がいちばん驚くのは1台あたりの毎月の出力カウント数です。
全国でもトップではないかと言われ毎月複写機の平均枚数の30%以上で多い月には50%にまで達することもあり機械の限界を超えていると言われました。
1台だけを酷使しているわけではなく複数の複写機が限界を超えていました。
コピーライターや営業、総務などの事務系は長い間<富士ゼロックス>の牙城でしたがある日、飛び込みで<リコー>の優秀な営業マンが訪れて<富士ゼロックス>の契約から<リコー>へと一気に切り替わりました。
<リコー>のビジネスモデル
1936年に<理化学研究所>で開発された感光紙の商品化のため<理研感光紙>を設立。
1937年に<理研光学工業>に社名を変更し1963年4月に現在の社名である<リコー>に商号を変更しています。
2015年10月に<アスペクト>と開発した3Dプリンター「RICOH AM S5500P」を発売しました。
大手のプリンターメーカーも3Dプリンター事業に参入しはじめアメリカの<ヒューレットパッカード>は2016年に発売を開始しました。
いまでは製造業に不可欠な製造装置になりつつあります。
試作段階での利用だけではなく一部の製品に使う部品の製造へも活用が広がりつつあります。
同じ物を大量に製造するのは従来の製造手法に軍配が上がりますが個別や少量の生産であれば3Dプリンターの方が手早く安価に生産できるようになりました。
しかも従来の製造手法では難しいと思われる複雑な形状なども3Dプリンターであれば容易にできるため従来の製造手法の一部に組み込まれる可能性が高くなっています。
2016年10月には国内外18カ所ある主要工場のうち複写機などを生産する米国の工場など2カ所の生産拠点を閉鎖する方針を発表しました。
併せて本社部門の経理や人事などの人員を半減することも発表しています。
2008年のリーマン・ショック後の金融危機の影響で業績が悪化し2012年3月期に最終赤字に転落しました。
グループ従業員の約1割にあたる1万人の人員削減や拠点統廃合など大規模な構造改革を断行しました。
2016年の世界シェア調査によると世界の複写機・複合機市場は前年比3.8%減になっています。
2017年4月1日付で社長に昇格した山下良則氏は「現場に赴き現実を認識して問題の本質を捉えたい」と述べています。
2018年2月に事務機や周辺機器の生産拠点の埼玉事業所を2018年3月に閉鎖すると発表しました。
市場の成熟から価格競争に陥りプリンター本体などの価格も下落しました。
2017年4月には2019年度に1000億円以上の営業利益を出す中期経営計画を発表。
個人向けは撤退も含め検討してカメラ事業を縮小することを説明。
2011年に<HOYA>から「ペンタックス」事業を買収しましたがスマホ市場の拡大を受け個人向けカメラ事業は販売が伸び悩み赤字が続いていました。
2017年3月期の1年間で社員を約3700人を削減しました。
2017年3月期の連結決算は売上高が前期比8%減となり純利益は94%減の34億円でした。
山下良則社長は「過去の経営との決別」を掲げて構造改革に挑んでいます。
山下社長が打ち出した方針はシェア至上主義を否定することでした。
物流子会社の<リコーロジスティクス>を売却する方針を決めました。
半導体子会社の<リコー電子デバイス>も売却する検討を始めました。
北米などの販売会社を相次ぎ買収して直営の営業網を武器に複合機の世界シェアを高めてきましたがリーマン・ショック後に裏目に出て直販の固定費が収益を圧迫しました。
北米では約2600人を削減して代理店販売に切り替えてきました。
さらに不採算の契約を結ぶシェア重視の見直しで約70億円の増益効果がありました。
その結果2017年4~6月期連結決算は純利益が前年同期比2.3倍になりました。
しかし今後は少子高齢化やペーパーレス化による複合機の国内市場は縮小化の傾向にあり連結売上高のうち約90%を事務機関連事業が占めている<リコー>にとっては中長期的にみれば経営環境はかなり厳しいと言わざるを得ません。
本業と相乗効果が見込みにくい非中核事業を切り離す構造改革により産業印刷やヘルスケアといった成長事業に経営資源を振り向けるべく進めています。
インクジェットプリンターの開発で得た技術やノウハウを建材や衣類にも応用して産業印刷分野を強化しています。
2018年2月に2022年度までの5年間の成長戦略を発表しました。
成長分野と位置付ける商業・産業印刷やデジタルサービス分野ですが<キヤノン>や<富士フイルム>などの競合他社も同様の分野に着手していてそれ以外の成長分野にも積極的に投資してM&A(合併・買収)を進めています。
複写機を置いて保守メンテナンスという従来のビジネスモデルから脱却して競合他社が進出しない独自の成長分野をどれだけ早く開拓して育成できるかが<リコー>の喫緊の課題になっています。
(次回ブログ=4月4日水曜投稿です)
このことから何を学べるでしょうか?
本業の市場が縮小する企業は……現在の本業の比率を下げながら新たな成長分野の事業比率を高めていくことが必要不可欠である。


