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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第233話 凸版印刷のビジネスモデル

2018年2月16日 執筆:渡邉ひとし

第233話のテーマは『多岐にわたる事業』です。

(ブログ=月水金の平日に投稿します)

お世話になった大手印刷会社

大手の印刷会社といえば<凸版印刷>と<大日本印刷>の社名がすぐに思い浮かぶと思います。

広告会社で働いていた頃は特にお世話になっていた会社でした。

しかし徐々に会社のイメージが変わってきて大手2社の社名から「印刷」の文字を他の文字に置き換えた方がいいのではないかと思うようになりました。

それはなぜかと言うとかなり多岐にわたり業務を拡大していてそれぞれの会社が「何屋さん」なのか?

外から見ていると分からなくなりました。

その一方で世の中は「ペーパーレス化」が進み印刷の需要がどんどん減少していきました。

おそらく大手2社はこのような世の中の変化を先読みすることで印刷業務以外に事業を広げる必要を感じて多方面の事業に挑戦していたのだと思います。

<凸版印刷>のビジネスモデル

きょうは大手印刷会社の中でも<凸版印刷>のビジネスモデルを取り上げます。

まず多方面に挑戦していた事業にはどのようなものがあるか直近の状況をみていきましょう。

2016年8月にスーパーや百貨店の近くを通ったお客さまに割引情報を自動で配信するサービスを開始。

<凸版印刷>が発行する電子チラシアプリの「Shufoo!」のスマホユーザーに配信。

「Shufoo!」の利用者はすでに739万人いますが利用者が店舗の近くを通ると割引情報やクーポンが配信されます。

これは店舗近くの利用者に配信することで店舗へ誘導することが狙いです。

2016年10月からはシート型の生体センサーをサンプル出荷し2017年4月から本格的に販売を始めました。

この整体センサーをベッドや椅子に埋め込み寝ている人や座っている人の異常を検知します。

病院や介護施設でセンサーを設置すれば患者などの心拍や呼吸を常時計測できます。

自動車の運転シートに内蔵すれば心拍数を確認して異常などを検知できます。

医療関係や自動車業界などに売り込みをして2020年に100億円の売上を目指します。

2016年11月には農業法人の<福井和郷>に出資して約16%の株式を取得しました。

画像解析センサーを使い農産物の生育状況や最適な収穫時期を予測します。

<凸版印刷>の製品やサービスを活用してIoTを農業に導入していきます。

この提携を通じて農業のノウハウを獲得し農業分野への本格参入を目指しています。

同じく11月に産業機器向け液晶パネルを製造する台湾の<ジャイアントプラステクノロジー>を買収。

<凸版印刷>の子会社である<オルタステクノロジー>は産業機器向け液晶パネルの小型パネルを製造していますが産業機器や車載用の液晶パネルでパネルの大型化が進んでいるため中型パネルの生産ラインを持っている<ジャイアントプラス>を買収しました。

2016年12月には透明バリアフィルムを増産するため深谷工場の生産能力の増強を開始。

今年秋までに工場の生産能力を2倍に増強させます。

透明バリアフィルムは酸素や水分を遮断することができるためレトルト食品の容器や精密機器の保護材として使います。

従来はアルミ材料を使っていましたがそのまま電子レンジで温めることができず外から中身を確認することもできません。

透明バリアフィルムの世界シェアが<凸版印刷>は約40%になっています。

2021年3月期にはこれらの増産で海外向けをさらに伸ばして1300億円の売上を目指しています。

2017年3月に人間の感情をAIで推定するシステムを<シーエーシー>と共同開発することを発表。

カメラで撮影した画像から喜怒哀楽などの人間の感情を分析しますがたとえば落ち込んでいる人に気分が高まる映像を流すこともできるため販売促進やイベントなどでの活用を進めます。

2017年4月には脳神経科学を活用した人財育成プログラムの開発拠点である「人財開発ラボ」を設立。

行動できる社員と行動できない社員の違いを脳の情報処理の視点から分析して新たな仮説を構築するなど能力開発プログラムの開発を進めていき社員の生産性向上や成長を図る狙いです。

2017年7月に四国・中国地方での観光やヘルスケアなど地方創生事業を強化していくと表明しました。

スマホなどを史跡にかざすことで現存していない建築物などを画面上に再現することなどを考えています。

スマホのほかに観光案内施設で上映するバーチャルリアリティーの映像やPR動画などのコンテンツにも対応します。

ヘルスケア分野については健康増進に向けたキャンペーンなどを自治体と一緒に考え支援していきます。

2017年12月にはこの地方創生事業を九州や沖縄にも本格的に拡大していて地方創生事業を2018年3月期の重点事業と位置づけています。

これは豊かな地方がないと本業が立ちゆかなくなるという危機感があるからだとしています。

今月の2月に発表した2017年4~12月期の連結決算は純利益が前年同期比85%増でした。

印刷事業は苦戦が続いていますが半導体や液晶パネルの事業が好調でした。

<凸版印刷>の事業は……印刷 (紙など)電機 (液晶パネル向け部材など)生活環境 (食品包装材など)情報管理 (情報媒体など)高機能材料(フィルムなど)など多岐にわたっています。

中でも主力の印刷事業の需要縮小が大きくこれに替わる成長路線を明確にすることで事業の選択と集中が一段と進み次代に成長するビジネスモデルを構築することができます。

(次回ブログ=19日月曜に投稿します)

このことから何を学べるでしょうか?

本業が先細る場合は……次の時代に通用する事業の定義を決めその事業のタネを見つけそのタネを育てていき開花させていかなければ生き残れない。

一番やってはいけないことは「チャンス追求型」になることである。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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