第227話のテーマは『大胆に事業を売却する』です。
(ブログ=月水金の平日投稿です)
MacintoshとWindows
前職の広告会社にパソコンが導入されたのはいつ頃だったか?
デザイナーがMacintoshで原稿を制作し始めたのは1990年代だったと思います。
営業職の我々が使い始めたのはWindowsのパソコンでした。
メールで送られてきたファイルを開けようとしてもできない場合はデザイナーに頼んで開いてもらいモニターで見せてもらいました。
それでもエクセルデータで表作成する場合や見積書や請求書を発行する時などはいまはMacintoshを使っていますが当時はWindowsのパソコンでなければ互換性で不都合が起きるのでWindowsを使い続けていました。
サラリーマンを卒業する頃は<富士通>のFMVを使っていました。
<富士通>のビジネスモデル
<富士通>の事業や業態がおおきく変わってきています。
パソコンを自宅で使い始めた時のインターネットサービスプロバイダは<ニフティ>でした。
当時は<ニフティ>を利用するのが当たり前の時代でした。
<ニフティ>はもともと<日商岩井:NI>と<富士通:F>が1986年に折半出資で設立した<エヌ・アイ・エフ>でした。
1991年に<エヌ・アイ・エフ>の商号を<ニフティ>に変更しています。
1999年3月に<日商岩井>が<富士通>に<ニフティ>の株を売却したため<ニフティ>は<富士通>の完全子会社になりました。
そして2017年4月に<ニフティ>は<ノジマ>に売却され<ノジマ>の子会社になっています。
2017年10月には半導体のウェハーを製造する会津若松工場をアメリカの<オン・セミコンダクター>に売却すると発表しました。
これによって半導体事業からの撤退を順次進めていくことが予想されます。
2017年4月にはカーナビ事業の<富士通テン>の株を<デンソー>に譲渡すると発表。
2017年11月に<デンソー>の子会社となり<デンソーテン>に社名を変更。
2017年11月には中国の<レノボ>とパソコン事業で合弁会社を設立すると発表しました。
<レノボ>が株の過半を出資するため経営の主導権は<レノボ>になります。
これにより<レノボ>は日本国内のパソコン市場の40%のシェアに達することになります。
日本のパソコンの国内メーカーは<東芝>と<パナソニック>と<VAIO>などになり合計してもパソコン市場の15%程度のシェアになります。
2017年11月に<富士通>の携帯電話事業の売却に向けて入札を実施しました。
<富士通>が撤退すると残る国内の携帯電話メーカーは<ソニー><シャープ><京セラ>などになります。
このように事業を売却するのは事業の選択と集中をするためですがこれらをまとめると……◉ニフティ 470億円◉半導体ウェハー 4895億円◉カーナビ 3600億円◉パソコン 4000億円◉携帯電話 1500億円という各事業の売上になり単純合計すれば…1兆4465億円。
これだけの売上が計算上は失くなるということになります。
2000年度の売上は5兆4000億円でした。
2017年度3月期は4兆5000億円です。
2018年3月期の予想は4兆1000億円としています。
事業の売却などで売上は年々減少していますが純利益は増え続けています。
つまり事業の選択と集中により減収増益になっているのです。
2015年に社長に就任した田中達也氏の「選択と集中」は着々と前に進んでいますが事業の「選択と集中」とは事業を絞り切ることだけではなく次の時代の成長戦略を描いてあらたな事業のタネを植えて育てていく必要があります。
その点で言えば田中達也社長の打ち手は2016年11月に「デジタルマーケティング」の事業を拡大させるため担当者を大幅に増員。
企業の個別の行動に合わせた効果的な販売促進のシステムを構築する事業を拡大していきます。
2017年1月からAIやIoTなどを活用していく「デジタルフロントビジネスグループ」を設立しています。
その人員を今年4月から3000人程度にまで増やします。
2017年3月から想定外の状況に陥っても適切な対応策を選択できる次世代型のAIの開発に理化学研究所と共同で取り組みます。
2017年度からはフランス国立情報学自動制御研究所とAI関連の共同研究を実施。
アイルランドの<ユビキューブ>には5億円を出資することで利用者の用途に合わせてネット回線を自動制御する仕組みを開発します。
このことで数週間かかるネット回線の変更が1日程度で済む可能性が高まります。
2017年9月にはカナダのトロント大学にAIや量子コンピューター技術などを研究する拠点を設立すると発表。
医療や金融や物流などの分野で複雑で解決が困難だった問題を高速で解く量子コンピューターの実用化をめざし共同開発します。
2017年11月に<アウディ><BMW><ダイムラー>の3社の子会社である<ヒア>と提携。
デジタル地図大手の<ヒア>と人や車の移動を効率的にするあらたなサービスを共同開発します。
同じ11月には<島津製作所>と組んで質量分析装置に搭載する世界初のAIを開発しました。
ほぼ全自動で質量分析が可能になるディープラーニングのプログラムです。
さらに11月に量子コンピューター用ソフト開発のカナダの<1Qビット>に出資。
量子コンピューターは従来型のコンピューターの1億倍以上という演算速度を持っています。
2017年12月に<NEC><日立>と3社が連携して「サイバーセキュリティ人材育成スキーム策定共同プロジェクト」という人材育成の仕組みの標準化を目指して取り組みます。
今年1月には「居住者の見守りソリューションリモートモニタリングサービス」を提供すると発表しました。
転倒の可能性などの異常が疑われる場合に介護スタッフに通知するシステムです。
このように<富士通>は従来の「ハード事業」から「ソフト・サービス事業」へと業態の転換を推進しています。
事業の選択と集中が途中段階なので推進のスピードを速めるとともに「ソフト・サービス事業」のあらたなタネを育てていき次世代のビジネスモデルを構築することが喫緊の課題になります。
(次回ブログ=2日金曜に投稿します)
このことから何を学べるでしょうか?
従来の事業を脱却するには……事業の選択と集中が必要になる。
次の時代に生き抜くための自社の業態を明確にすることで捨てる事業が見えてくる。
事業を絞り込んだあとはあらたな業態に見合った事業を育てていくことになる。


