NECが2026年3月末で、量子コンピューターの実機開発を中止しました。
同社は1999年に世界で初めて「超電導量子ビット」を実現した、この分野の先駆者です。
それでも、有力な方式が定まらないなどの課題を理由に、費用対効果が見合わないと判断しました。
一方、富士通は研究を継続し、2025年には理化学研究所と共同で世界最大級の量子コンピューターを開発しています。
出典は、日経ビジネス「量子計算機、続ける富士通と撤退するNEC 開発を阻む投資回収の壁」、Yahoo!ニュース「NEC、量子コンピューター実機開発を中止」です。
先に始めていたのはNECです。
実績も、世界初という肩書きもありました。
それでも、続ける理由にはなりませんでした。
このニュースを見て考えたのは、経営判断において、過去の実績や先行者としての立場は、続けるかどうかの決め手にはならないという点です。
重要なのは、それぞれの会社が将来をどう設計しているか、つまり事業ドメイン(事業の領域)を未来のどこに置くかという分岐点です。
これまでの投資や研究の蓄積が重くのしかかっているのは間違いありませんが、判断の軸は過去ではなく未来にあります。
富士通は将来設計における事業ドメインとして量子コンピューターを据え、NECはそれ以外の事業領域に重点を置きました。
両社の違いは、そこにあると考えられます。
問われているのは、未来から逆算した事業ポートフォリオの検証です。
過去の実績にとらわれず、未来を見据えて現在の事業を見直す。
この事業ポートフォリオを逐一検証する姿勢こそが、経営にとって重要だと思います。
もちろん、これまでの投資や技術的な蓄積を軽視していいわけではありません。
撤退という判断が、常に正しいとも限りません。
ただ、判断の起点を「これまでやってきたから」ではなく「これからどこを目指すか」に置けているかどうかは、事業ポートフォリオを見直すたびに問い直す価値があります。
これは、弊社(株式会社未来デザインカンパニー)が大切にしている考え方と重なります。
社名の通り、私たちは「未来を設計する仲間たち」でありたいと考えています。
顧問先企業の数年先の未来を見据えて未来設計図を描き、その未来から逆算して事業計画を立てていく。
NECと富士通の分かれ道は、規模もテーマも違いますが、根っこにある姿勢は同じだと感じています。
未来から逆算して今の事業を見直す。
それは、過去の実績を否定するのではなく、実績も含めて、これからどこに賭けるかを選び直す判断だと思います。
あなたの会社の事業ポートフォリオは、過去の実績ではなく、未来から逆算して見直されていますか。


