隔週月曜日に企業の事例をもとにブログとメルマガを発行していますデジタルトランスフォーメーションという言葉が聞かれるようになり各業界での取り組みが進んでいますが一方で新型コロナウィルスの感染拡大で事業領域を転換する企業も増えています。
こうした状況下では同じ組織で働いていても異なる景色を見ている社員が混在するようになりました。
そのまま放置すれば生産性の低下を招く事態に陥りやすく何か手を打つ必要があります。
その特効薬となるのがミッションとビジョンの浸透です。
ところがミッションとビジョンの言葉が美しすぎて社員に理解されにくいケースが多いのです。
何をすればいいか不明…どこへ行こうとしているか見えない…という表現になっているのです。
ミッションとビジョンは額縁に入れて応接間に飾るものではありません。
ミッションとビジョンを表現する言葉が作者の独りよがりになっていないか今こそ見直す必要があります。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第468話<レンゴー>です。
(*写真はイメージです)板紙や段ボールの業界で最大手1909年8月に井上貞治郎氏が<三盛舎>で日本で初めて段ボール事業を始めました。
1920年5月に<聯合紙器>を東京で設立しました。
1938年2月に本店を大阪市福島区に移転しました。
1957年3月に本社研究所を開設しました。
1972年1月に<聯合紙器>から<レンゴー>に商号を変更しました。
1991年10月に<福井化学工業>を合併しました。
1998年6月に<朋和産業>を完全子会社化しました。
1999年4月に<セッツ>を合併しました。
2000年7月に<丸三製紙>を子会社化しました。
2009年5月に<日本マタイ>を子会社化しました。
2011年5月に<山陽自動車運送>を子会社化しました。
2018年9月に<トッパンコンテナー>を子会社化しました。
<レンゴー>のビジネスモデル2020年9月に<サン・トックス>の株式46%を<トクヤマ>より譲受すると発表しました。
<サン・トックス>はコンビニエンスストアで販売しているおにぎりやサンドイッチなどの包装フィルムの製造が主力の会社です。
2020年10月にドイツの段ボール大手のメキシコ法人を買収したと発表しました。
メキシコは北米市場向けの自動車の一大生産拠点で関連企業が集中しています。
2019年にメキシコでの産業用段ボール事業に参入しており自動車関連企業向けに産業用段ボールの供給を強化する考えです。
2020年10月に発表した『2020年4~9月期』の連結決算は純利益が前期比13%減でした。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で自動車や鉄鋼業界向けの産業用段ボールの生産量が落ち込みました。
訪日客の減少により家電や土産物などの包装に使う製品の需要が大幅に減り売上高は3%減でした。
2020年11月に<サントリーHD>や<東洋紡>などと共同出資会社を設立しました。
プラスチックを燃やさずに新たな原料とする『ケミカルリサイクル』の研究開発を進めます。
資源の再利用に加え二酸化炭素の排出を抑えた新しい技術として2027年の実用化を目指します。
2020年11月に生分解性の包装フィルムのブランド『REBIOS』の立ち上げを表明しました。
包装フィルムはレジ袋と異なり生分解性の製品の採用が遅れておりセロハンや紙と植物由来のプラスチックを組み合わせた製品を展開する考えです。
2020年11月にプラスチック削減につながる植物由来の素材を強化すると表明しました。
自動車を軽量化できる新素材セルロースナノファイバーの実証プラントを2021年にも新設し量産技術を開発し自動車向け素材への参入を目指します。
セルロースナノファイバーは紙の原料であるパルプをナノメートル単位に細かくときほぐして作ります。
強度は鋼鉄の約5倍で重さは5分の1といわれています。
2022年に化粧品向けも生産能力を4倍に増やし脱プラスチック需要を取り込み段ボール以外の収益源を育てる考えです。
2020年12月にベトナムの段ボール大手を買収したと発表しました。
人口増加や経済発展で需要拡大の見込めるベトナム市場を開拓する狙いでベトナムで段ボールの2工場を持つ<ビエンホア・パッケージング>の全株式の94%超を取得しました。
2021年1月に<大興製紙>が会社更生法の適用を申し立て<レンゴー>との再建の模索を表明しました。
産業用包装紙製造の<大興製紙>は穀物やセメントを入れる袋などに使われるクラフト紙の国内需要の落ち込みや原材料である石油とパルプの高騰米中貿易摩擦による輸出向け包装紙の需要減が倒産に至った理由です。
2021年2月にエンタメ関連の包装材印刷で国内最大手の<金羊社>を買収すると発表しました。
エンターテインメント分野に事業領域を広げるとともに<金羊社>のノウハウを吸収しデザイン力や企画力を磨く狙いです。
2021年3月に2022年4月に埼玉県で同社最大級の物流拠点を設けると表明しました。
人工知能による搬出作業の一部自動化や原紙のロールを運ぶ無人搬送機の導入で作業効率を高め中間原料の段ボール原紙を一時的に保管し首都圏の成形工場に出荷します。
2021年4月に子会社<レンゴー・トッパンコンテナー>を完全子会社化しました。
凸版印刷の子会社でしたが発行済み株式の60%を取得していました。
経営判断を迅速にして営業活動を強化し首都圏などで販売を伸ばす狙いです。
2021年5月に発表した『2021年3月期(前期)』の連結決算で営業利益は前期比3%減でした。
自動車向けなど産業用の段ボールの販売が回復し巣ごもり需要を受け通販や食品向けの段ボールの需要が安定しています。
2021年11月に段ボール原紙を2022年2月1日出荷分から1kg10円以上値上げすると発表しました。
ガスや古紙といった原燃料費の上昇や段ボールを貼り合わせるのに使う補助材料費や物流費の上昇分を転嫁します。
段ボール箱などの製品についても原紙価格やエネルギーコスト物流費や環境対策費用などの上昇分をもとに個別に価格改定を実施します。
2021年12月にコート白ボールを2022年2月1日出荷分から1kg15円以上引き上げると表明しました。
石炭や重油といった原燃料や物流のコストの上昇のほか二酸化炭素削減など環境対策費用の負担増が理由で化粧品や菓子の箱に使う白板紙の値上げに踏み切ります。
2022年2月に『2022年3月期』の連結純利益が前期比2%減の見込みと発表しました。
原油価格の上昇で主力の段ボールの輸送費や製紙用の薬品のコストが膨らんでいます。
2022年3月に段ボールの製造・販売の<ヒロパックス>を子会社にしたと発表しました。
<ヒロパックス>はプラスチックの成形品をつくる工場も持ち段ボールに入れて運ぶ荷物を入れる容器なども組み合わせて提案できる点を強みとしています。
2022年3月に段ボールの製造・販売の<大津製函>を子会社にしたと発表しました。
<大津製函>の近くにある<レンゴー>やグループ会社の工場から原料である段ボールシートを供給し各工場の稼働効率を高める狙いです。
今日の企業事例である<レンゴー>を少し俯瞰して見てみましょう。
段ボール箱が店頭や通信販売で商品の魅力を伝える道具としての役割を果たすようになってきました。
店頭で積み上げれば広告効果があるほか短納期で少量から生産できることも特徴で茨城県内の工場でデジタル印刷機を導入しロール状の段ボール原紙に色鮮やかな画像をデジタル印刷しています。
デジタル印刷を販売促進に貢献する新しい付加価値パッケージと位置づけてデジパケという名称を商標登録しています。
小売業界の人手不足は慢性的で店頭での品出し作業などの効率化が課題となっているため「店頭での人手不足と通販の台頭が背景にある」「簡単に開封してそのまま店頭に並べられるデジパケならば商品を一つ一つ出して陳列棚に並べる手間を省け置くだけで販促効果も得られる」とデジタル印刷を導入した経緯についてパッケージング部門開発本部課長の藤野健氏は述べています。
SDGsが浸透し始め世界の『脱プラスチック』の動きが加速されてきました。
そんな中で『セロハン』が見直され始めています。
1920年代後半から国内で生産が始まった『セロハン』はピーク時には13社に達しましたが今でも国内で生産を続けるメーカーは2社だけになりました。
『セロハン』は紙と同様で木材から取り出した繊維であるパルプを加工して製造します。
社内ではセロハン事業からの撤退論も出てきましたが「ペトロケミカルに対しウッドケミカルがあるが今後はウッドケミカルが大事になる」と大坪清会長がその都度退けてきました。
2019年から工場のDXを進めてきましたが段ボール原紙の国内4工場でセンサーや人工知能を使いベテランの従業員の経験や勘をデータに置き換え機械の故障を未然に防いだり原料の使用量のムダを省いたりします。
生産現場の人手不足を踏まえ成長を持続できる体制を整える考えです。
「業界の先陣を切ってDXに取り組んできた」と<レンゴー>の長谷川一郎副社長は述べています。
海外に於いては東南アジアで稼働する工場は5カ国で拠点数は新設予定を含め30カ所。
2020年にフィリピンの製紙会社へ出資しマレーシアやタイでも段ボール関連会社と連携を深めています。
「有能な人材獲得などレンゴーグループに多様なシナジーを生み出す」「継続的な海外事業の展開により真のグローバル化を目指す」と<レンゴー>の川本洋祐社長は述べています。
国内と海外で積極的な企業のM&Aを進めていますが国内で総合パッケージ企業としての地位を確立できるか。
海外で収益力の強化を図れるかがこれからの課題となります。


