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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第362話 UACJのビジネスモデル

2019年10月4日 執筆:渡邉ひとし

2021年までに日本GDPの約50%はデジタル製品やデジタルサービスが占める見通しであると<日本マイクロソフト>が調査結果を発表しています。

企業が持つ競争力の源泉のひとつが『ビジネスモデルの独自性』です。

他社が真似することができないようなビジネスモデルを持つ企業はライバル企業が増えて市場での競争が激化しても一定の存在力を示し続けることができます。

独自性のビジネスモデルを持つリーディングカンパニーは後発のフォロワーに比べて数倍の恩恵を受けるとされています。

今日のメルマガの企業事例は< UACJ >です。

大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。

企業事例[第362話]のタイトルは『有望な市場へと転換する試み』アルミ事業の統合を繰り返した会社1964年に<昭和電工>と<八幡製鐵>米国<カイザーアルミナム>の3グループの合弁により<スカイアルミニウム>を設立しました。

1993年に<古河電工>のアルミニウム事業子会社を吸収合併して継承しました。

1998年に<古河電工>と<スカイアルミニウム>がアルミニウム事業の業務提携を始めました。

2003年に<古河電工>の軽金属事業を会社分割して<スカイアルミニウム>に承継し商号を<古河スカイ>に変更しました。

2005年に<ユニファスアルミニウム>を吸収合併して製造と販売を統合しました。

2013年に<住友軽金属工業>と経営統合して< UACJ >に商号を変更しました。

『United Aluminum Company of Japan』の頭文字が社名の由来です。

< UACJ >はグループ統括機能と板事業の製造・販売に特化して押出・箔・鋳鍛・銅管・加工品の各事業は子会社が担当することになりました。

< UACJ >のビジネスモデル2018年3月に<日本アルミニウム協会>は2018年度のアルミ圧延品(板・押し出し品)の需要が2017年度見込みに比べて0.1%減になりそうだと発表しました。

< UACJ >の社長であり<日本アルミニウム協会>の岡田満会長は米国が鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動したことは「国際ルールに反し、誠に遺憾だ」「日本鉄鋼連盟とともに政府に働きかけたい」と記者会見で語っています。

< UACJ >はアルミニウム圧延の国内最大手の会社です。

2018年4月に米国・シカゴに研究開発拠点を新設したと発表しました。

北米は世界最大のアルミ缶材市場であり自動車や I T 関連で新たな需要が期待できるとの考えです。

数人程度の研究員を置いて北米の自動車や I T 関連などについて情報を集めることから始めます。

同じく2018年4月に山内重徳会長と岡田満社長が6月に代表取締役退任の方向で調整に入りました。

2月に公表した人事案を撤回して石原美幸取締役常務執行役員が代表権を持ち社長に就任します。

筆頭株主の<古河電気工業>が人事案の発表直後に異議を唱え山内会長と岡田社長の退任を強く求めていました。

2位株主の<新日鉄住金>も同調する動きを見せたことで山内重徳会長と岡田満社長の代表取締役退任の調整となりました。

2013年に<古河電気工業>の子会社である<古河スカイ>と<住友金属工業>系の<住友軽金属工業>が統合して< UACJ >が発足しました。

<住友軽金属工業>出身の山内会長と<古河スカイ>出身の岡田社長の2頭体制が発足以来続いていましたが2月の人事発表で<住友軽金属工業>出身の石原美幸取締役常務執行役員が新社長に昇格山内重徳会長が留任し岡田満社長が副会長になり3人に『代表権』を付与しました。

この人事案に対し……役割分担が不明確で誰が経営の責任者かわからないという理由で<古河電気工業>の小林敬一社長は公表された人事案に異議を唱えました。

株主主導の企業統治改革が生んだ新たな形の一つといえます。

2018年5月に2020年度までの3年間の中期経営計画を発表しました。

2020年度までの3年間に1440億円を投資する計画です。

成長市場の北米やアジアを中心に過去3年間と比べ27%増やします。

2018年8月に韓国の<チョイルアルミニウム>との資本提携を解消したと発表しました。

韓国の<チョイルアルミニウム>は……<古河スカイ>が2008年に出資して提携していました。

原料のアルミ地金を溶かした後いったん冷やすことなく連続して圧延する連続鋳造法と呼ぶ製法に強みがあります。

合併後の< UACJ >も提携を通じて連続鋳造法を利用することで自動車向けなどのアルミ材料で新商品開発を狙っていましたがグループ内でも中国とマレーシアに連続鋳造設備を保有していることなどから資本提携の意味合いが薄れました。

同じく2018年8月に<住軽日軽エンジニアリング>の保有株式を<日本軽金属>に売却すると発表しました。

<住軽日軽エンジニアリング>は<日本軽金属>と折半出資していますが飲料などの缶材や自動車向けを注力分野にしているため今回の事業の売却を通じて『選択と集中』を進める狙いです。

2018年10月にタイでアルミ材の研究開発拠点を開設すると発表しました。

日本と米国に次いで3カ国目ですが東南アジアでアルミ缶などの既存事業に加え自動車の車体など市場の拡大が有望な分野を現地の市場調査を強化して製品開発に生かす狙いです。

2019年5月に発表した『2019年3月期』の連結決算は純利益が前期比91%減でした。

アルミ圧延に使う電力国内外での人件費や輸送費の増加などのコスト増が利益を押し下げました。

2019年6月に<UACJ銅管>を<豊川ホールディングス>に売却すると発表しました。

子会社の<UACJ銅管>はアルミニウム事業とシナジー効果が薄いため銅管事業を切り離すことを決めました。

2019年8月に国内のアルミ圧延品市場の減速を表明しました。

タイなどで缶材需要が増加し軽量化需要を背景に自動車向けも堅調ですが世界景気の減速によるアルミ市況の悪化で棚卸し評価損益が悪化しています。

さらに国内のアルミ圧延品市場の減速で事業構造改革のプランを策定しています。

2019年5月に開催された自動車技術の展示会では『鉄』が主流だったドアのパネル材や車の骨格に使う構造部材でも『アルミ』を使った新技術を提案しました。

アルミは鉄に比べて加工がしにくかったのですがより複雑な形状でも加工できると提案しています。

さらに2019年3月には米国で自動車向けアルミ製品を増産することを決めています。

車体向けアルミ板生産で米国への再参入を目指しています。

2020年までに車体向けのアルミ板が2017年に比べ約1.5倍超に増えると予測しています。

『2018年度以降』の3カ年計画で飲料などの缶材や自動車向けを注力分野にして事業の売却を通じて「選択と集中」を進め資本効率の向上を重点方針に掲げています。

自動車の軽量化と東南アジアや中近東の缶飲料需要の急増という大きなビジネスチャンスをつかむため先行投資が不可欠と考えて2000億円近い投資を拡大してきましたが当初想定した収益が得られていません。

さらに缶材向けアルミ需要がペットボトルに押されています。

軽さやリサイクルのし易さなどから2017年から飲料メーカー各社はペットボトル入りコーヒーに参入しました。

日本アルミニウム協会の発表では2018年度上期の缶材向けアルミ板製品の出荷量は前年同期比8%減でしたが前年同期割れは2年連続となっています。

国内需要の減少が見られるなかタイや米国などの収益性改善で利益を上げていくことと自動車の軽量化で工業用のアルミ需要が増えているなど缶材に依存しない有望な分野での買収による規模拡大なども視野に入れて経営体質の強化のため新たなビジネスモデルの構築が喫緊の課題となっています。

今日の事例で何を学べるでしょうか?

市場の需要が減少化している会社は……国内の市場から海外への市場へと供給の重心を変えていくとともに従来の需要のあった市場(業界)から新たな需要が見込める市場へと供給の重心を変えていくことが重要な課題になる。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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