外食や小売り大手が人手確保へ向けて非正規従業員の待遇改善を進めています。
2019年の春季労使交渉では非正規従業員に賞与を支給するなど正社員と同等の制度を取り入れる動きが相次いでいます。
実質的な単純労働の受け皿だった『技能実習生』は3年で帰国しますが5年間雇用できて追加試験もない『特定技能』は技術やノウハウを伝承しやすいと言われています。
<ワタミ>の小田剛志取締役は「安定的に外国人材を受け入れ人数を増やしたい」と話しています。
今日のメルマガの企業事例は<ワタミ>です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
企業事例[第354話]のテーマは『過去数年の業績低迷からの脱出』創業者・渡邉美樹氏が参議院議員に当選1984年4月に神奈川県横浜市南区に有限会社<渡美商事>を設立して株式会社<つぼ八>とフランチャイズ契約を締結しました。
1986年5月に神奈川県横浜市中区に株式会社<ワタミ>を設立しました。
1987年2月に<ワタミフードサービス>株式会社に商号を変更しました。
1992年4月に自社ブランドの新業態1号店として居食屋「和民」笹塚店を出店しました。
1992年4月に「つぼ八」本部とフランチャイズ契約の解除をしました。
2005年4月に<ワタミフードサービス>株式会社を<ワタミ>株式会社へ商号を変更しました。
2011年2月に創業者の渡邉美樹氏が東京都知事選挙に出馬しましたが落選しました。
2013年7月に創業者の渡邉美樹氏が参議院議員選挙に出馬して当選しました。
2014年5月に『2014年3月期』の連結最終損益が上場以来初の赤字であると発表しました。
2015年9月に2012年4月から国内外食事業が41カ月連続で売上が減少しました。
2016年1月に自社株約4%を<神明ホールディング>が取得して資本・業務提携をしました。
<ワタミ>のビジネスモデル2018年1月からPOSレジアプリ『Airレジ』の導入を4業態・200店強へ順次進めています。
<リクルートライフスタイル>が提供するスマホ決済サービスの「モバイル決済for Airレジ」です。
スマホの画面に表示された2次元バーコード「QRコード」を読み込むと決済が完了します。
2018年2月に『2018年3月期』の営業損益が数億円の黒字になりそうと表明しました。
主力の国内外食事業が黒字に転換するのは5年ぶりになります。
格安ドリンクや新メニューの投入で宴会需要などを取り込み来店客数が増加しています。
2018年3月に2040年までに事業で使う電気の全量を再生可能エネルギーにすると表明しました。
消費電力の全量を再エネで調達することを目標に掲げる企業が参加する国際的な連合『RE100』に加盟しました。
2019年4月に兵庫県と京都府で運営する農場で『JGAP』を取得することを表明しました。
食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証が『JGAP』です。
2018年5月に農業支援システムの<ウォーターセル>と業務提携しました。
<ワタミファーム>が運営する農場に<ウォーターセル>の農作業管理ソフト「アグリノート」を導入します。
作業の進捗状況などを把握し全国10カ所以上の農場の情報を一元管理することができます。
外食や小売業者からの食材のニーズを把握して効率的な農場運営に生かせるかを実証し販路開拓に生かす狙いです。
2018年8月に<STIフードホールディングス>に埼玉県の自社工場を売却すると発表しました。
弁当や総菜を製造している『ワタミ手づくり厨房白岡センター』を<STIフードホールディングス>の子会社の<新東京デリカ>に承継します。
宅配弁当の事業は単価が低く競争が激しいため自社内での供給体制を見直して収益性を高める考えです。
2018年9月に農業子会社を通じて北海道・美幌町で生乳の生産に乗り出しました。
24頭の搾乳が可能な設備のほか最大200頭を収容できる牛舎を新たに建設しました。
<ワタミファーム>の美幌峠牧場を活用して広大な敷地を生かし放牧を主体とした酪農に取り組みます。
2018年10月にアルバイトなどの勤務シフトを効率的に作れるシステムを導入しました。
<富士通ゼネラル>が開発した「ワークスケジュール作成システム」は月間の売上計画と2週間先までの時間帯ごとの売上予測をベースにモデルとなる勤務シフト表を作成します。
従業員一人ひとりのスキルに応じて必要な人数を配置して効率的なシフトを作れます。
2018年10月から中国の国慶節を祝う大型連休が始まり中華圏からの予約が20%増えました。
海外の団体客向けにランチを提供する居酒屋チェーンの<ワタミ>ならではです。
2019年2月に自民党の渡辺美樹参院議員は夏の参院選に出馬しない意向を表明しました。
参院議員の渡辺美樹氏は<ワタミ>の創業者ですが……「財政再建と原発ゼロを公約したが力を発揮することができなかった」と6年間を振り返りました。
同じく2019年2月に発表した『2018年4~12月期』の連結決算で本業のもうけを示す営業利益は前期比43%増でした。
鶏料理の『ミライザカ』や焼き鳥業態の『鳥メロ』が主力としてそれぞれ成長しています。
2019年3月にコメ卸最大手の<神明ホールディングス>との資本提携を解消しました。
<神明ホールディングス>は本業以外の外食事業の多展開から本業回帰へとシフトし始めています。
2019年5月に愛知県内で弁当のプラスチック容器のリサイクルを始めたと発表しました。
バイオマス素材を含んだプラスチック弁当容器を営業所が回収し中間処理した上で炭化水素油・コークスなどを取り出し回収した油を使い再び弁当容器にする予定です。
2019年6月に人材会社の<ITbookホールディングス>と共同出資会社を設立しました。
シンガポール周辺国の日本語学校などと組み日本語教育や技能試験対策などを手掛けます。
まずは<ワタミ>の店舗があるカンボジアから人材を送り出します。
<ワタミ>の店舗だけでなく外国人材を求める同業他社への紹介にもつなげる考えです。
2019年6月24日に『第33期定時株主総会』が開催され創業者で自民党参議院議員の渡辺美樹氏が取締役候補として提案され承認されました。
参議院議員の任期満了後の7月29日以降に6年ぶりの経営復帰します。
<ワタミ>への復帰を否定していましたが『創業者の責任を果たす』として苦戦が続いている<ワタミ>を再び成長軌道に戻すため経営の第一線に復帰しました。
2013年7月に参院選の比例区に自民党公認候補として立候補して初当選を果たしました。
2013年8月には『ブラック企業大賞企画委員会』から『ブラック企業大賞』を受賞するなど『ブラック企業批判』による企業イメージの悪化で主力の「和民」や「わたみん家」の客離れを招きました。
不採算店舗の閉鎖に伴う減損損失が発生して『2014年3月期』には上場以来初の49億円の最終赤字に転落しました。
『2015年3月期』も128億円の赤字と2期連続の赤字になりました。
<ワタミ>について渡辺美樹氏は……「5000億円の売上高が当たり前」「1000億円で満足してはいけない」このように叱咤激励するのが創業者としての責任と語っています。
『ブラック企業批判』の起因でもある自分のモーレツな生き方を渡辺美樹氏が社員に強要しないか?
<ワタミ>の稼ぎ頭で主力だった『和民ブランド』の寿命が尽き鶏料理の『ミライザカ』や焼き鳥の『鳥メロ』が次の主力としてそれぞれ成長していますが外食産業の『業態』のライフサイクルはほかの産業に比べて短いため次の主力になる『新業態』を生み収益を確保できるビジネスモデルを築ける人材を育成できるかが創業者である渡辺美樹氏と<ワタミ>にとっての最大の課題となっています。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
収益が縮小して安定し始めている会社は……その『縮小均衡』を打ち破る積極大胆な戦略を打ち立てて収益確保できるビジネスモデルを築き果敢に挑戦し成果を出し続けるためのリーダーの出現が望まれる。


