第291話のテーマは『人材の育成と組織の仕組み』です。
「ミュージックフェア」のテーマ曲
「シオノギ」という名を見ると『ミュージックフェア』が頭に浮かびます。
そして懐かしくても古いと思えないあのテーマ曲が耳に聞こえてきます。
1964年から『ミュージックフェア』の放送は開始されているというのでもうかれこれ54年間というかなり長い期間を通して親しまれている音楽番組になります。
この『ミュージックフェア』の音楽番組のスポンサーを長期継続しているのが<塩野義製薬>です。
その創業は1878年ですから会社も長い歴史を続けています。
創業者である塩野義三郎氏が大阪で和漢薬問屋である「塩野義三郎商店」を開業したことから歴史は始まります。
1919年6月に塩野義三郎商店と塩野製作所を合併して<塩野義商店>として法人化しました。
1943年に<塩野義製薬>の商号に変更しました。
1949年に東京証券取引所と大阪証券取引所へ株式を上場しました。
<塩野義製薬>のビジネスモデル
2017年1月に<塩野義製薬>や<武田薬品工業>などの製薬会社である5社が認知症といった脳の難病などの治療技術の開発での提携が報道されました。
産官学連携プロジェクトとして基盤技術を今後2年程度で確立することを目指します。
安倍政権が成長戦略として設立した研究開発法人<日本医療研究開発機構>が支援していきます。
700ほどの大学の研究成果などを詳しく調べられる情報システムを運営する<大阪商工会議所>も参加します。
これまで遅れていた国内製薬業界における研究開発の提携が進めば世界的な競争力強化の可能性があります。
2017年2月に発表した「2016年4~12月期」の連結決算は純利益が前期比62%増と過去最高でした。
抗エイズウイルス薬「テビケイ」の販売が好調で販売権を供与した出資先の<ヴィーブ>などからの配当収入がありロイヤルティー収入も増えました。
2017年4月に脳の中での薬の働きを「見える化」する技術を開発したと報道されました。
薬が反応する様子を画像化することで高い精度で薬の効果や副作用が確認できます。
人間の臨床試験のリスクを減らして神経系の新薬開発を効率化できる新技術にもつながる可能性があります。
2017年6月に従来のがん治療薬より効果が高い「がんワクチン」に使う原薬の量産技術を開発したと報道されました。
国内外で「食道がん」などの治療薬として「がんワクチン」の開発を進めていますがこれから海外で臨床試験をする新薬向けに今回の開発した技術の活用を目指します。
2017年8月に創薬ベンチャーの<ペプチドリーム>と<積水化学工業><塩野義製薬>の3社で医薬品原料の新会社設立を発表しました。
効き目の高い抗がん剤などの次世代医薬品として期待されている「ペプチド医薬品」の原料の製造販売を目指します。
「ペプチド原薬」は量産が難しいため技術を持つ企業はほとんどありません。
新会社はこの量産技術を確立することで「ペプチド原薬」を輸出して新産業として成長させていく考えです。
2017年10月にワクチン開発会社の<UMNファーマ>と資本業務提携を結んだと発表しました。
<UMNファーマ>の感染予防ワクチンの技術データやノウハウに対して中長期的に支援していく考えです。
2017年12月に<アクセンチュア>とIT分野で提携契約を結んだと発表しました。
国内の医薬品メーカーでは異例のIT人材の育成に乗り出しました。
「創薬ビジネス」のデジタル化が遅れていて社内を含めて業界の専門家が少ないため現場の人材育成に加えてIT子会社の従業員を<アクセンチュア>に出向させて社内のIT部門をてこ入れします。
研究費の上昇が続いているため日々の管理コストを抑えながらAIの活用による新薬開発で先行させたいと考えています。
コンサルティング大手の<アクセンチュア>はデータサイエンティストなどの専門家を世界で1万5000人抱えていて医薬品の売れ行きの分析から市場予測や販促提案に実績があります。
<塩野義製薬>は化合物の開発や解析と効果を予測するシステム開発やその運用を目指しています。
2018年2月にインフルエンザを1回の服用で治療できる新薬の製造と販売の承認を厚生労働省から取得したと発表しました。
新薬「ゾフルーザ」の登場で患者の負担軽減や家庭や職場での感染抑制につながる可能性があります。
厚労省が2015年に新設した審査期間を短縮する「先駆け審査指定制度」に指定されていました。
医薬品では<塩野義製薬>の新薬になる「ゾフルーザ」が承認第1号になりました。
2018年5月に発表した「2018年3月期」の連結決算は純利益が前期比30%増となり2期連続で過去最高を更新しました。
2018年6月にアメリカの製薬ベンチャーである<セージ・セラピューティクス>から開発中の新型抗うつ剤の日本などでの開発・販売権を取得したと発表しました。
<塩野義製薬>は……◉インフルエンザなどの「感染症」◉うつ病などの「疼痛・神経」の2つを注力領域と定めています。
「感染症」領域ではインフルエンザ薬の「ゾフルーザ」の発売にこぎつけました。
「疼痛・神経」領域は今回の新薬の契約で手を打つことができました。
<塩野義製薬>の手代木功社長は……「独自の創薬技術を確立した企業でなければ生き残れない」「これからも全体の売上高に占める自社開発品の比率を50%以上に維持する」と述べています。
手代木社長が研究開発本部長に就任した2004年以降の「選択と集中」戦略で業界大手が注力しない感染症分野に経営資源を投入した成果が出始めています。
しかし競合他社から画期的な新薬が登場するとか提携先が再編して戦略が異なれば契約自体が見直される可能性があります。
幸いにも「営業力の塩野義製薬」から「創薬型企業」への転進は成功し新たなビジネスモデルを構築したことで高い売上高利益率で躍進していますが海外で自力での販売力が乏しいため世界の大手企業が欲しがる売れる新薬を出し続ける必要があります。
手代木社長の手腕で好業績を続けている<塩野義製薬>ですが手代木社長の後継者の育成や好業績を継続できる仕組みを構築することが最大の課題になります。
(次回ブログ=8月3日金曜投稿です)『ビジネスモデル虎の巻』を出版します!
経営者の方が自社のビジネスモデルをチェックできる本になっています。
(出版ブログ=火曜・木曜の投稿です)
このことから何を学べるでしょうか?
スーパーヒーローの登場で好業績を続ける企業は……10年、20年の長期視点に立ち後継者の育成と業績を伸ばしていける仕組みを企業内に構築することが最大の課題になる。


