第288話のテーマは『2本目の事業の柱を育てる』です。
日本の企業から中国の企業へと変貌
<ラオックス>といえば「パソコン販売店」のイメージでした。
その後中国の家電販売店の会社に買収されて免税店になったという印象です。
1939年10月に東京都墨田区に電気製品卸問屋の<谷口商店>を谷口正治氏が開店。
1947年2月に株式会社の<谷口商店>を設立。
1948年7月に家庭電化製品部門を分離して<朝日無線電機>を設立しました。
1969年4月に家庭電化製品の<朝日無線電機>が<谷口電機>を吸収合併しました。
1976年10月にCIシステムの導入により<ラオックス>を設立しました。
<朝日無線電機>から経営と店舗が譲渡されました。
1990年4月に秋葉原の名所にもなった「ザ・コンピュータ館」が開店しました。
1990年5月に中央店を「ザ・デューティフリー館」に業態を変更させ免税店を誕生させました。
2009年8月に<日本観光免税>の羅怡文社長が<ラオックス>の社長に就任しました。
蘇寧電器の孫会社<GRANDA MAGIC>が筆頭株主になりました。
羅怡文社長が経営する<日本観光免税>が第2位の株主になりました。
(*CIシステム:企業イメージの統一)
<ラオックス>のビジネスモデル
2017年2月に「2016年12月期」の連結営業損益が9億円の赤字になったと発表しました。
訪日外国人客の伸びが鈍化しているなかで円高で購買意欲が低下したため売上が伸びませんでした。
訪日外国人客の売れ筋商品は炊飯器や腕時計といった高額品から理美容家電や化粧品などの単価の安い商品へと移りました。
「来店客数は全体で10%ほど増えたが客単価は30%減った」と羅怡文社長は取材に答えています。
さらに「円高と中国の税関でチェックが厳しくなった影響が大きい」「高額消費がなくなったわけではないが耐久品から消耗品へが基本的な流れ」「リピーターが増えて滞在日数が減るので客単価は今後も落ちる」「一方で人数は増えるので全体としては拡大していく」などと中国を中心とした訪日外国人客の購買動向について答えています。
国内店舗数は前期末時点で42店となり1年間で9店増えています。
これらへの打開策として「新規事業本部」を新設をして担当の役員を置きました。
「モノ消費」からの転換に対応して「コト消費」を取り込んだ業態へと展開を広げていく狙いです。
そのため2016年2月に中国の不動産大手である<緑地集団>と合弁会社を設立して複合商業施設である千葉ポートスクエアのオフィス棟、商業棟、ホテル棟を取得してグルメやエンタテイメントなどの体験型サービスも含めた提供場所として活用していく考えです。
2017年3月から訪日外国人客向けに会員制のポイントサービスを始めました。
スマートフォン向けのチャットアプリである「微信」を通じて会員登録を済ませると商品購入時にスマートフォンでポイントを「貯める、使う」ができます。
新たなポイントサービスの導入でリピーターや売上の増加を図ります。
2017年7月に京都府内のタクシー会社である<愛都交通>を完全子会社化しました。
運転手への中国語教育などを実施して訪日客需要の取り込みを狙います。
2017年8月に兵庫県の姫路市と加古川市で百貨店を運営している<ヤマトヤシキ>に将来の子会社化も視野に入れた出資をすることを発表しました。
商品の仕入れで連携を強めて商業施設の運営ノウハウの向上を図ります。
2017年10月に婦人靴卸大手の<オギツ>を買収して子会社化しました。
2015年7月には婦人靴の製造・販売の<モード・エ・ジャコモ>の子会社化など婦人靴関連の企業を相次いで傘下に入れ企画から製造まで担う製造小売り(SPA)の体制を確立して国内と訪日外国人の需要開拓を目指しています。
2018年1月にイベント運営会社の<エス・エー・ピー>を買収して子会社化しました。
日本文化に関するイベントの企画や運営を手がけているため訪日外国人向けのサービス展開などにつなげていくことを目指しています。
2018年2月に「2020年12月期」までの新たな中期経営計画を発表しました。
免税品の売上を100億円程度増やしつつ全体の売上高に占める割合を40%以下にまで下げる方針です。
飲食店などのサービス事業や婦人靴といった新たな事業の柱を育てて変動の大きい免税事業への依存を見直して免税品頼みからの脱却を目指す方針を明確にしています。
親会社である<蘇寧易購>との連携で中国の消費者への越境EC(電子商取引)や婦人靴を中心とした「生活ファッション事業」に取り組んで2020年12月期に売上高1600億円を目指しています。
2018年3月にはインターネット通販を手掛ける<ロコンド>と組んでギフト店「サラダ館」を運営している<シャディ>を買収すると発表しました。
食品や雑貨などを扱うカタログギフト販売を手がけており約3000店舗を全国で運営しています。
<シャディ>を通じて自社の店舗やネット通販の品ぞろえを増やす狙いです。
「免税店事業」を運営する一輪車のビジネスモデルから「生活ファッション事業」との二輪車のビジネスモデルへと転換できるかが生き残りへの鍵になっています。
(次回ブログ=7月23日月曜投稿です)『ビジネスモデル虎の巻』は8月出版!
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経営者の方が自社のビジネスモデルをチェックできる本になっています。
(出版ブログ=火曜・木曜の投稿です)
このことから何を学べるでしょうか?
主要事業が一つの企業は……社会や時代の変化などの外部環境によって大きく業績が変動することになる。
将来も成長できる見込みの高い新たな事業を取り込むことで業績の変動幅を小さくすることが必要不可欠になる。


