第164話のテーマは『視点と発想の転換』です。
<東急電鉄>の成り立ち
先日のブログでは<西武鉄道>のビジネスモデルをお話ししましたがきょうはライバルとも言える<東急電鉄>のビジネスモデルです。
<東急電鉄>の実質の創業者は五島慶太氏ですが元はと言えばあの渋沢栄一氏が設立した<田園都市(株)>がスタートでした。
そして開発していった田園都市の価値を高めるために交通手段としての鉄道をつくり<目黒蒲田電鉄>が設立されました。
<阪急阪神東宝グループ>の創業者である小林一三氏が<田園都市>を実質的に経営していたときに<目黒蒲田電鉄>の経営を任せられたのが五島慶太氏でした。
<東急電鉄>のビジネスモデル
その後の五島慶太氏の剛腕経営はすさまじいものでつぎつぎと競合の鉄道会社を強引に買収していきました。
このことから「強盗慶太」と異名を持つことになりました。
買収した鉄道会社はその数が30社以上になります。
1942年には商号を<東京急行電鉄>に改称しましたが買収した鉄道会社のなかには現在の首都圏の鉄道会社である
- <京王電鉄(京王)>
- <小田急電鉄(小田急)>
- <京浜急行電鉄(京急)>の3社が含まれています。
戦後に施行された「過度経済力集中排除法」によりこの3社は分離されましたが株式の持ち合いをするなど現在でも親密な関係にあるため「東急系4社」と呼ばれています。
五島慶太氏が社長になってからは田園都市の開発が主体ではなく鉄道事業を主体とした田園都市の開発をしていくという小林一三氏の事業手法を受け継ぎ鉄道沿線の開発を加速させました。
五島慶太氏の後継者である五島昇氏(長男)も有能な経営者でそれまでに拡大したグループを大幅に譲渡や分離などをして再編。
本業である「鉄道業と関連事業」に『選択と集中』を実行しました。
ところが五島昇氏が1989年に亡くなってからグループ会社の統制が厳格に効かなくなりバブル崩壊の影響をまともに受けることで深刻な業績不振にまでおちいる事態を招きました。
1998年に東急グループ代表の清水仁氏により『自立なき者の排除』宣言がなされグループ加盟のリストラを断行。
500社以上にまで膨らんだグループ企業を離脱・独立させ半分以下の加盟社数に縮小しました。
現在の<東急電鉄>は17年3月期で最高益を達成。
おおきな要因になった視点の切り換えは……ひとつは「二子玉川」などのまちづくりの視点です。
2012年に開業した「渋谷ヒカリエ」などのようにいままでの「点の開発」から「線の開発、面の開発」に発想を転換したことで2015年に開業した「二子玉川ライズ」に関連する
- オフィスビルの賃貸料
- ショップの販売収入
- 鉄道、バスの運賃
それらの相乗効果の結果で約50億円の営業利益をだしました。
今年4月開業の「渋谷キャスト」も同じ視点で開発されており23年3月期の営業利益は1000億円という高い目標で掲げています。
ふたつ目は「鉄道優先からの脱却」という視点です。
現実的にJR各社も含めた鉄道事業は運賃収入だけでは成り立たなくなっています。
ヒトやモノを運ぶだけではなくターミナル駅や周辺施設での「モノやコトの消費」や「賃貸料」などの需要によって収入や利益を確保するというビジネスモデルに変わってきたのです。
これからは同様の視点と培ってきたノウハウでアジアへの進出を経営方針に掲げています。
すでにベトナムとタイのバンコクでは賃貸住宅や分譲住宅の開発や東急百貨店を展開しています。
このことから何を学べるでしょうか?
業績を回復させる企業は……事業の「選択と集中」によりこれからの本業を絞り込む。
「本業」は市場や顧客の変化に合わせて変化(進化)させていく。
ミッション:会社の目的ビジョン :会社の目標バリュー :会社の行動指針
◉理想のお客様◉協力者◉主要活動◉選ばれる理由◉収益 ◉チャネル◉提供する価値◉コスト◉経営資源
現象をみるのではなく本質をみることでなすべきことが理解できる
今日という日は未来のスタート地点である*注1 仮想現実:(VR= virtual reality)感覚を刺激することで現実のように知覚させる技術。
*注2 ストックオプション:「株式購入権」あらかじめ決められた価格で


